5月8日の外国為替市場では、ドル/円相場が大幅に上昇。東京市場では日中を通じて円安傾向が続き、144円台前半まで上昇した。

ニューヨーク市場では、さらに146円台まで大幅なドル高・円安となった。


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著者の荒地 潤が解説しています。以下のリンクよりご視聴ください。
「 「ドル/円続伸146円台。2日で3.50円の大幅円安の理由は? 」 」


今日のレンジ予測

[本日のドル/円]↑上値メドは147.05円下値メドは143.65円

CDオワコン:CDがアナログレコードのように復活することはない
中国:中国10年債利回りが過去最低水準の1.68%に低下。安全資産への逃避
米利下げ:クリーブランド連銀総裁「やや引締め的水準を維持するべき」
米利下げ:ダラス連銀総裁:インフレが大幅改善しない限り、これ以上利下げするのは難しい
日銀:利上げ先延ばしのリスク高まる


前日の市況

 5月8日(木曜)のドル/円相場の終値は145.90円。前日終値比2.06円の大幅「円安」だった。
2025年92営業日目は143.74円からスタート。東京時間昼前につけた143.44円がこの日の安値となって、明け方には146.18円をつけるまで大きく円安に動いた。24時間のレンジ幅は2.74円。


ドル/円続伸146円台。2日で3.50円の大幅円安の理由は?
出所:MarketSpeed FXより、楽天証券作成

この日の円安の理由は四つ

  • 米英貿易協定合意:米国と英国が貿易枠組みで合意したことで、トランプ関税による米景気先行きに悲観がやわらいだこと
  • 米中関税協議:トランプ大統領は対中関税引き下げの可能性を示唆する中で、週末行われる米国と中国の貿易協議への期待が高まっていること
  • 堅調な米労働市場:この日発表された、米国の新規失業保険申請件数は市場予想より強い結果となった。FRB(米連邦準備制度理事会)は、雇用市場が健全である以上「利下げを急ぐ必要はない」との考え。堅調な経済指標はFOMC(米連邦公開市場委員会)の6月利下げの可能性を低めることになった。
  • 1~3を受けて安全資産とされる米国債に売りが出て米長期金利が大幅上昇したことや、ダウ工業株30種平均が一時650ドル超上昇したこともドル高を強めることになった
  • 本日のブレークアウトレベル

    ドル/円続伸146円台。2日で3.50円の大幅円安の理由は?
    出所:楽天証券作成

     ドル/円の直近の高値は150.48円、安値は139.89円。その中間が、ちょうど現在のレベルである145.90円になる。

    この日の相場は円安に動いたが、ドル/円相場が円安に方向転換したとはいえない。せいぜい中立に戻った程度である。


    2025年 主要指標 終値

    ドル/円続伸146円台。2日で3.50円の大幅円安の理由は?
    出所:楽天証券作成

    今日の為替ウォーキング The Longest Time

    今日の一言

    「全てうまくいかない」と思えば「全てうまくいかない」。「全てうまくいく」と思えば「全てうまくいく」


    The Longest Time Billy Joel

    4月雇用統計振り返り FRBは利下げしない、今はまだ

     BLS(米労働省)が5月2日に発表した2025年4月の米雇用統計ではNFP(非農業部門)の就業者数は17.7万人増加して、市場予想の13.5万人増を上回る結果となった。一方で、3月の就業者数は当初発表の22.8万人から18.5万人に下方修正された。


     失業率は4.2%で前月と変わらず、安定した雇用環境が維持されていることが示された。時間当たり賃金の伸びは前月比0.2%増と予想(0.3%増)を下回り、賃金の伸びが鈍化していることが確認された。


     4月の米雇用統計では、トランプ関税の影響はまだ顕著には表れていないとする見方が多い。17.7万人という増加者数は、過去12月の平均とほぼ同じで、米企業が関税の影響を受けながらも、採用計画を大きく変更していないことを示唆している。


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     しかし、不安な要素もある。業種別では、運輸・倉庫業の雇用が急増しているが、これは企業が関税対策として輸入を急いだ結果と考えられている。来月以降にこの反動が出る可能性がある。また製造業の雇用は減少し、過去5年間で最大の縮小を記録した。関税の影響が一部の業種にすでに表れ始めている可能性を示している。


     トランプ関税の本格的な影響は今後数カ月で顕在化すると予想されていて、FRBは失業率が7月以降に急速に悪化する可能性があることを指摘している。


     今回の雇用統計は、米国の労働市場がまだ強いことを示しており、景気先行きに対する不安を和らげることになったが、今後は企業の採用計画や経済全体への影響を慎重に見極める必要がある。


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    今週の注目経済指標

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    ヒートマップ分析

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    出所:楽天証券作成

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    (荒地 潤)

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