1-3月期に初の四半期黒字化、白血病治療の旗艦製品ザヌブルチニブが堅調

現地コード 銘柄名 06160

百済神州


(ベイジーン)


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140.70HKD
(5/9現在)


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 中国のがん治療薬の創薬ベンチャー、百済神州の2025年1-3月期決算は、売上高が前四半期を小幅に下回る中、コスト管理の強化と営業レバレッジ効果で四半期別で初の黒字化を達成した。自社開発のザヌブルチニブ(Zanubrutinib)は慢性リンパ性白血病(CLL)を適応症とするブルトン型チロシンキナーゼ(BTK)阻害剤として引き続き世界をリードしており、多様なパイプライン(新薬候補群)は短期的な支援材料であると同時に、同社にとっての明確なロードマップ。

BOCIは長期成長見通しを楽観し、株価の先行きに対して強気見通しを継続している。


 1-3月期の売上高は前年同期比49%増の11億米ドルに達したが、前四半期比ではやや減少。市場予想を小幅に下押しした。旗艦製品ザヌブルチニブの世界売上高は7億9,200万米ドルと、前年同期比で62%増加したが、前四半期比では4%減。主力の米国市場向けの売上高は前年同期比60%増、前四半期比9%減の5億6,300万米ドルだった。主に年初という季節要因が、前四半期比の減収を招いた。BTK阻害剤の競合薬を見ると、イブルチニブ、アカラブルチニブの米国での売上高は、1-3月期に前四半期15%減の5億2,900万米ドル、12%減の5億700万米ドルと、さらに下げ幅が大きく、ザヌブルチニブの需要の底堅さをうかがわせている。一方、自社開発したPD-1阻害薬チスレリズマブの売上高は、前年同期比18%増、前四半期比11%増の1億7,100万米ドル。経営陣は2025年通期の全体の売上高見通しを49億-53億米ドルに据え置いている。


 1-3月期には純利益100万米ドルを計上(前年同期は純損失2億5,100万米ドル)。初めてGAAPベースで黒字化した。ザヌブルチニブの貢献度とコスト効率の改善で、粗利益率は85.1%に上昇。

販管費(前年同期比7%増)、研究開発費(5%増)を含む費用の増加率が全般に売上伸び率を下回り、予想より前倒しの黒字化を後押しした。


 同社は米追加関税や地政学リスクによる影響を2025年の業績見通しに反映させるとともに、関税問題への対応策として、米ニュージャージー州ホープウェルに製造拠点(8億米ドルの施設を含む)を構築した。ここから米国市場向けに、ザヌブルチニブ、チスレリズマブ、その他新薬候補を供給する。


 直近のパイプラインを見ると、腫瘍治療分野で複数のプロジェクトが進行中。うち「sonrotoclax(BCL-2i)」は未治療および再発・難治性CLL向けの治験フェーズ3の患者登録を完了し、中国で新薬承認申請(NDA)の審査段階にある。マントル細胞リンパ腫(MCL)への適応に向けたグローバル申請は2025年下期に予定している。


 BOCIはディスカウントキャッシュフロー方式に基づく目標株価を据え置き、株価の先行きに強気見通しを継続した。レーティング面の潜在リスク要因としては、競争激化、地政学リスク、主要パイプラインの進捗(しんちょく)の遅れあるいは失敗などの可能性を挙げている。


(Bank of China int.)

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