週明けの東京外国為替市場では、ドル/円が大きく動きました。146円台前半でスタートしたドル/円は、米中貿易摩擦の緩和期待を受けて、148円台前半まで急速に円安が進み、米中が関税を115%引き下げることで合意したことがあり、市場ではリスクオンの動きが強まりました。

今日は米国のCPIの発表があります。


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今日のレンジ予測

[本日のドル/円]上値メドは149.65下値メドは146.00円 

AI:AIでエネルギー需要急増:米国は今後5年で80基の火力発電所を建設
トランプ政策:企予測不可能な政治のもと、企業や家庭は長期的投資を控える 
欧州エネルギー:天然ガス価格が供給不安で上昇。備蓄も減少 
欧インフレ:ラガルド総裁「年内にインフレ目標を達成する」 
トランプ政策:グローバリゼーションが後退へ 
ECB:2%の中立金利まで利下げ継続の考え 


前日の市況

5月12日(月曜)のドル/円相場の終値は148.47円。前日終値比3.09円の大幅「円安」となった。
グラフは色が変わってるところがドル高とドル安のボーダーゾーンです。


トランプ師匠「よっしゃ、関税はこれくらいにしといたろ」で一気にリスクオン!ドル/円149円台に迫る
出所:MarketSpeed FXより、楽天証券作成

 2025年94営業日目は146.15円からスタート。
 週末に行われた米中貿易協議で合意された関税引下げ幅の115%は、50%程度と予想していた市場を大いに驚かせた。結果を受けてセーフヘブン(安全資産・避難先)資産とされる金やスイス、円が大きく売られることになった。


 ドル/円は東京時間朝につけた145.70円がこの日の安値にして、明け方には約1カ月半ぶりの高値となる148.65円をつけた。24時間のレンジ幅は2.95円。


 米中の貿易協議では、関税率の引き下げを含む重要な合意がなされた。米国は対中関税を145%から30%に、中国は米国製品への関税を125%から10%に引き下げることで合意した。ただし、この措置は90日間の期間限定の予定。両国は経済・貿易を巡る協議継続のためのメカニズムを確立することにも合意した。


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4月CPI

 本日は米国の4月CPI(消費者物価指数)の発表がある。直近の3月CPIでは、インフレ鈍化のサインが見られたが、今回はトランプ関税の影響で再び上昇するとの予想だ。


 総合CPIは、3月の2.4%から加速して、前年同月比で2.7%程度の上昇の見通し。コアCPI(食品とエネルギーを除く)は、前年同月比で3.0%程度の上昇が見込まれている。


 FRB(米連邦準備制度理事会)は直近の5月6~7日のFOMC(米連邦公開市場委員会)会合で政策金利を4.25%-4.50%に据え置いた。現在のFRBの姿勢は、インフレの持続的な鈍化を確認するまで「利下げを急がない」という姿勢だ。4月CPIが下振れした場合、FRBが6月のFOMC会合で利下げを検討する可能性が高まる。金利差という点では、ドル安要因になる。


 反対に予想を上回った場合は、利下げは9月以降になるとの見方が強まることになるだろう。現在の市場予想では、FRBは2025年に年内に政策金利を約3.625%まで引き下げるとの見方だが、トランプ関税の影響とCPIの結果では、利下げ回数は2回程度に縮小される可能性がでている。


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2025年 主要指標 終値

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今日の為替ウォーキング Somewhere Only We Know

今日の一言

どんな仕事も、外から見るほど楽でも簡単でもない


Somewhere Only We Know

 2025年3月のアメリカのCPIは前年同月比で上昇率が2.4%となり、2カ月連続で伸びが鈍化した。市場予想の2.6%も下回った。


 前月比ではCPIがマイナス0.1%に低下した。また、食品とエネルギーを除くコアCPIは、前年比3.0%、前月比0.1%の上昇にとどまった。


トランプ師匠「よっしゃ、関税はこれくらいにしといたろ」で一気にリスクオン!ドル/円149円台に迫る
出所:楽天証券作成

 内訳をみると、住居費は前月比0.4%上昇し、昨年10月以来の高水準となった。医療サービスは前月比0.5%上昇し、2月の0.3%を上回った。一方、中古車価格は前月比0.7%下落したが、供給不足が予想される新車の価格は前月比0.1%上昇した。運輸サービスは前月比1.4%低下した。


 ただ注目すべきは、PCや携帯電話の価格が上昇していることである。これは対中トランプ関税の初期的影響と捉えることができる。来月(4月CPI)はその影響がさらに大きくなると予想されるが、本格的な影響が出るのは7月以降になると見られている。FRBからはCPI低下に対する楽観的な意見はきかれなかった。むしろ追加利下げに対して、後ろ向きと言うくらいに慎重である。


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今週の注目経済指標

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タイムゾーン 分析

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(荒地 潤)

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