2025年1-3月期決算は予想上振れ、AI投資の加速とマネタイズの進展で好循環

現地コード 銘柄名 00700

騰訊控股


(テンセント)


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 中国の有力ネット企業、テンセントの2025年1-3月期決算は市場コンセンサス予想を上回る内容だった。売上高は前年同期比13%の1,800億元と、市場予想とBOCIの予想を3%上回る水準。

AIの活用による事業効率の改善で、粗利益率の改善傾向も続いた。BOCIはソーシャルプラットフォームと各種フォーマットをカバーする中国最大のコンテンツプロバイダーである同社にとって、AIの応用は生産、配信やマネタイズ(事業の収益化)面の持続的な利益につながるとの見方。目標株価を引き上げ、引き続き同社をインターネットセクターのトップピック銘柄としている。


 テンセントは独自のソーシャル・エコシステムへのAI投資や統合の加速、さまざまなシナリオで参加者のニーズを満たし、着実に収益化を進める。BOCIは持続的かつ高利幅の収益から営業レバレッジ効果を生む好循環を構築したとして、同社を高く評価している。


 主力の付加価値サービス(VAS)部門のゲーム売上高について、BOCIは2025-27年の予想を3-4%増額修正したが、これはPC向けを含むゲーム全般の好調やパイプライン(製品候補群)の更新などが背景。一方のオンライン広告部門の売上高に関しては、AI活用によるプラス効果やユーザーエンゲージメントの向上などを反映させ、予想値を3-8%増額修正した。主力3部門のうち残る「フィンテックおよび企業向けサービス(FBS)」部門に関しては売上高見通しを据え置いている。また、売上構成比の変化やモバイルゲームのチャネル・フィーの最適化、コスト効率の改善見通しなどを理由に、同社全体の予想粗利益率を上方修正。AI投資の増加を受け、営業費用に関する想定値を1%引き上げながらも、2025-27年の調整後1株当たり利益(EPS)予想を1-2%増額修正した。


 1-3月期決算を振り返ると、ゲーム売上高は国内、海外で前年同期比24%増、22%増と、いずれも予想を超える伸び。定番の人気タイトル「王者栄耀(Honor of Kings)」と「穿越火線モバイル(CFM)」は四半期別で過去最高のグロス売上高を記録した。

また、動画アカウント(60%超の増収)やアプリ上のミニプログラム、「微信」検索のけん引で、広告収入も加速し、前年同期比20%増。FBS部門は5%の増収を回復した。全体の粗利益率は55.8%の高水準。海外子会社再編に伴う一回性要因を除いた調整後コア営業利益は17%増加し、調整後コア営業利益率は34%と、市場の予想通りの水準に達した。


 BOCIはサム・オブ・ザ・パーツ(SOTP)方式に基づく同社の目標株価を引き上げた。目標値の算出に当たっては引き続き、ゲーム、オンライン広告、FBSの3部門にそれぞれ、2025年予想株価収益率(PER)18倍、20倍、15倍を適用。クラウド事業には株価売上高倍率(PSR)6倍を当てはめた。レーティング面の潜在リスク要因としては、国内の規制強化の可能性や、各事業の市場競争の激化、マクロ経済の下振れ、投資の失敗、主要株主による持ち株売却の加速などの可能性を挙げている。


(Bank of China int.)

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