個人投資家にとってプロの投資家はお手本にしたいもの。ただ、プロ投資家と同じことをしようと思っても難しい。
プロ投資家を参考にしていますか?
皆さんは、株式投資において「プロ投資家」の方を参考にしていますか?
そもそもプロ投資家といってもかなり裾野が広く、例えばテレビやネットでコメンテーターとして情報発信している経済評論家の方も当てはまりますし、私たちの年金を預かって運用しているいわゆる機関投資家もプロ投資家です。
ただ、前者はコンプライアンスなどの点からご自身で株式投資をしていないことが多いですし、機関投資家は運用方針など(基本的に安定運用を目指す)の面で、個人投資家とちょっと異なっているかもしれません。
そこで、本コラム上では筆者がプロ投資家として定義するのは「投資信託のファンドマネジャー」としたいと思います。
投資信託のファンドマネジャーは、個人投資家からお金を預かり、運用して個人投資家の資産を増やすことを仕事としていますから、向いている方向や利害が一致するからです。
そしてインデックスファンドではなく、アクティブファンドを運用しているファンドマネジャーを前提に考えていきます。
プロ投資家が行っていることとは?
アクティブファンドのファンドマネジャーが行っていることは、簡単に言えば「将来の企業価値が高まり、株価がより大きく上昇する銘柄を探す」ということです。
インデックスファンドの場合は、業績が良くない会社も混じっています。アクティブファンドのファンドマネジャーは、それらを除外し、よりよい会社に投資することで、結果としてインデックスファンドより良好な成果を目指しています。
ただ、アクティブファンドにもさまざまな種類があり、手数料がインデックスファンドより高い(ファンドマネジャーが手間暇かけて銘柄選定しているので当たり前ですが)こともあって、割合でいえばインデックスファンドよりリターンが低いものが多いです。
でも過去の運用成績など、しっかり見極めれば優秀なアクティブファンドを見つけることは十分に可能です。
個人投資家でもマネできることは?
このように、一言で言えばアクティブファンドのファンドマネジャーが行っているのは、「将来の企業価値が高まり、株価がより大きく上昇する銘柄を探す」ことです。
これを個人投資家でもマネできるのか?といえば、「完全にはできないが、ある程度はマネできる」というのが正解に近いと思っています。再現性はそれなりにあります。
あるファンドマネジャーの方に、銘柄選定について聞いたことがありますが、いわゆる業績や決算内容といった「定量的情報」で選択するのはおおよそ3割程度だ、とおっしゃっていました。
それ以外の7割は「定性的情報」であり、数字だけでは測れない部分です。
しかし、言い換えれば3割の部分については、頑張れば私たち個人投資家も、プロ投資家のマネができることになります。
最も手っ取り早いのが、過去数年間売上高も利益も伸びていて、来期以降も伸びる予想の銘柄を探すことです。
こうした銘柄は、会社四季報に載っている「投信持ち株比率」を見ると結構な割合になっていることも多く、実際にアクティブファンドのファンドマネジャーがこのような銘柄を選んで投資していることがうかがえます。
個人投資家がマネできないこととは
残りの7割のいわゆる「定性的情報」については、さすがに個人投資家がマネできない部分だと思います。再現性はかなり低いといえましょう。
まず個人投資家は企業訪問ができませんから、社内の雰囲気を感じ取ったり、社長と話して将来の明確なビジョンを持っているかを知ったりすることも難しいです。
また、プロ投資家は5年後、10年後にこの会社がどれだけの利益を上げ、企業価値を高めるかを分析しているわけですが、個人投資家には知識も経験も情報も不足していますから、プロとまったく同じことはできないでしょう。
個人投資家のSNSを見ていると、自信満々に個別銘柄の将来性について語っている発信も見かけますが、個人投資家が得られる情報の全てはプロも得ており、プロはそれ以上の知識・情報を用いて銘柄選定をしていると思えば、その自信が逆に命取りにならないかと心配になります。
現実的な落としどころを探り、個人投資家の「強み」を生かそう
ではこれらを踏まえ、個人投資家がどのように銘柄選定と売買をしていけばよいのでしょうか?
まず、上で述べたように、会社四季報や、企業が発表している決算情報、中期経営計画などで、業績が今後も伸び続けると思われる銘柄の目星をつけることはできます。
ただ、それが正しいこともあるし、そうでもないこともありますから、後者になったときに損失が膨らむのを避けることが重要です。
そのためには、
- 株価が下がっている途中は買わない(何らかのネガティブな理由によりプロ投資家が売り越している可能性が高いので)
- 損切り価格を決める(見込み違いの株を買って塩漬け株になることを避けるべきなので)
といった工夫が必要です。
プロ投資家と違って、個人投資家は「危ない」と思ったら一気に現金化することもできますし、ここぞという機会にキャッシュを投下して株を買うこともできます。
こうした、個人投資家ならではの利点を生かしながら、プロのマネをできる部分は取り入れていくことで、投資成果を上げることが可能となります。
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(足立 武志)