2025年の利益成長率に下押しの可能性、米相互関税をめぐる不確実性で

現地コード 銘柄名 02588

中銀航空租賃


(ビーオーシー・アビエーション)


株価 情報種類

63.55HKD
(5/29現在)


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 中国銀行(03988)傘下の航空機リース大手、中銀航空租賃は2025年1-3月期も安定成長を維持した。ただ、BOCIは米相互関税をめぐる不確実性がこの先、世界経済と世界航空業界にマイナス影響を及ぼす可能性を指摘している。

また、航空機は多くのサブアセンブリ(最終組み立て前に部品を組み合わせて作成するユニット)で構成され、さまざまな地域の多様なサプライヤーがそれぞれ製造を担当するが、サプライチェーンの安定化が予想以上に遅れ、機体の引き渡しの延期が続いていると報告した。さらに、米国の金融政策は引き続き慎重であり、2025年の債務コストも予想を上回る可能性があるとの見方。こうした要因を反映し、BOCIは同社の2025年のコア利益予想を下方修正した。ただ、世界の航空旅客需要の拡大はプラス材料。2025年通期の増益決算を見込み、株価の先行きに対して強気見通しを継続している。


 2025年1-3月期にはリース契約16件を締結したが、これは前年同期の31件、前四半期の28件を下回る数字。機体引き渡し数は11機で、前年同期の13機、前四半期の5機から増加した。


 また、同社の発表によれば、1-3月期の顧客数は48カ国・地域の航空会社93社と、2024年(48カ国・地域の92社)から小幅に増えた。保有機材の稼働率は3月末時点で100%(2024年末時点では99%)。平均機齢は5.1年、平均リース残存期間は7.9年だった(前四半期は5.0年、7.9年)。


 米関税問題を含む逆風にもかかわらず、世界の航空業界は1-3月期も安定成長をとげており、同社にとっては追い風。国際航空運送協会(IATA)によれば、1-3月期の世界旅客輸送市場の有償旅客キロ(RPK)と有償座席キロ(ASK)は前年同期比5.3%増、4.9%増。

中国の国際線の旅客数の増加がけん引したためで、行き先別ではアジア太平洋地域内の渡航者が25.7%増(全体の75%超)。これに続く欧州、北米への渡航者数も20%を超える伸びだった。世界の航空業界は2025年も安定成長を維持するとみられ、燃料コストの低下とロードファクターの改善が業界全体の利益を押し上げる見込み。ただ、サプライチェーン上の成約や米関税問題、地政学リスクが足を引っ張る可能性があり、中でも関税問題は世界航空業界の成長鈍化につながる可能性がある。


 同社は世界の航空業界の持続的な成長による主要恩恵銘柄。BOCIは今回、利益見通しを下方修正したが、航空業界の成長を背景にコア利益の伸びが続くと予想。2025年予想株価純資産倍率(PBR)1.1倍を当てはめて目標株価を引き下げる半面、株価の先行きに対して強気見通しを継続した。


 レーティング面の潜在リスク要因としては、米利下げが予想より鈍いペースとなる可能性や、世界的な景気減速が航空需要に大きく影響する可能性を挙げている。


(Bank of China int.)

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