6月20日のドル/円相場は、ドル/円は145円台後半まで円安が進みました。中東地域でのイランとイスラエルの軍事的緊張が続いており、米軍がこの紛争に介入する可能性が取り沙汰されています。

この影響で市場では「有事のドル買い」が強まる動きが見られました。


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著者の荒地 潤が解説しています。以下のリンクよりご視聴ください。
「 「選ぶ通貨はドルしかない」ドル/円146円に接近中 」


今日のレンジ予測

[本日のドル/円]上値メドは146.00下値メドは144.70円

米長期金利:米投資家は10年債利回り5%超えを予想
トランプ関税:鉄鋼・アルミニウム関税のEU経済への影響は軽微。対米輸出の3.1%
英利下げ:マンBOE委員「英経済には迅速で大幅な利下げ必要」
トランプ関税:失業率が上昇して初めて関税の影響を知ることになる
金価格:中国の生保、資産の1%までゴールドに投資することが可能に。270億ドルの潜在需要


前日の市況

 6月19日(木曜)のドル/円相場の終値は、前日比0.29円「円安」の145.44円。1日のレンジ幅は1.04円だった。19日の米国市場は、奴隷解放を記念する「ジューンティーンス」で休場となり、一時的に取引が沈静化した。イラン・イスラエル戦争は20日で1週間となるが、鎮静化する見通しが立っていない。マーケットは今週末の動きを警戒している。


いざとなれば「選ぶ通貨はドルしかない」ドル/円146円に接近中!
出所:MarketSpeed FXより、楽天証券作成

 2025年122営業日目は145.05円からスタートして、東京時間昼前にこの日の安値となる144.73円まで下げた。ただ地政学的リスクに対するドル買いで底堅く、前日の安値(144.33円)に近づかなかった。


 145円台に戻したあとは、夜の初めごろに145.77円まで円安に動き、5月29日以来の安値をつけた。

イランとイスラエルの軍事応酬が続いており、米軍がこの紛争に介入する可能性も取り沙汰されている。ドルは「安全資産」として選択され、投機家はドルのショートポジションの買い戻しを進めた。この状況でドルを売るメリットはない、というのがマーケットの判断だ。


レジスタンス:
148.45円 05/13
147.67円 05/14
146.75円 05/15
146.28円 05/29
145.77円 06/19


サポート:
144.73円 06/19
144.33円 06/18
144.33円 06/17
143.65円 06/16
142.80円 06/13


2025年 主要指標 終値

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今日の為替ウォーキング We're Not Gonna Take it

今日の一言

1万時間より短い時間で、真に世界的レベルに達した例を見つけた調査はない。まるで脳がそれだけの時間を必要としているようだ。 - 脳神経学者 ダニエル・レビィティン


We're Not Gonna Take it

6月FOMC詳細レビュー「何をすべきかわからない」

 米連邦公開市場委員会(FOMC)は、6月17~18日に開催された会合において、政策金利であるフェデラルファンド(FF)金利の誘導目標を、4.25~4.50%の範囲に据え置くことを決定した。決定は市場予想通りで、4会合連続の金利据え置きとなった。


「雇用市場が先に崩れるか、インフレが先に上昇するか」-米連邦準備制度理事会(FRB)は現在、トランプ関税の経済への影響を慎重に見極めながら、インフレ抑制と雇用最大化の両立を図る難しいかじ取りを迫られている状況だ。FRBは様子見を続けつつ、今後のデータ次第で政策スタンスを調整する構えだ。


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今回FRBが利上げを見送った理由は:


1.経済の先行き不透明感
 FOMC声明では「経済の見通しを巡る不確実性は低下したものの、依然として高水準にある」と明記され、これが慎重姿勢を維持する重要な理由としている。


2.トランプ関税による不確実性の高まり
 FRBは、「関税が価格を押し上げ、経済活動を抑制する可能性が高い」との考えで、この影響を見極める必要があるとしている。


3.インフレ懸念の継続
 FRBは、インフレ率が「まだ高止まりしている」との認識。パウエルFRB議長は、「関税のコストの大部分は消費者に転嫁されるだろう」とみていて、「夏にかけてかなりのインフレが起きる」と予想している。


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 FOMCメンバーの年末の政策金利予想を示すドットチャートの最新版が公開された。

その予測中央値は、2025年末までに0.25%の利下げを2回実施する見通しで、3月時点と変わらなかった。ただし、一部メンバーは「利下げなし」との見方にシフトしていて、全体として利下げ期待はやや後退していることが明らかになった。


 中長期的な金利見通しでは、2026年の利下げ回数予想は2回から1回に減った。パウエルFRB議長は、不確実性が非常に高い状況において、長期予想が困難であることを認めていて、当面は「短期的な見通しに最も重点を置く」との考えを示している。


 FOMCが公表した経済見通し(SEP、Summary of Economic Projections)では、経済成長率が下方修正、インフレ率が上方修正され、また失業率も上方修正された。これは、FRBが米経済の先行きに対してスタグフレーション的見通しを持っていることを示している。


今週の注目経済指標

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(荒地 潤)

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