成長株・割安株の違いを、実在の企業を例として、クイズを解きながら学んでいただきます。最後に、高配当利回りの買い推奨銘柄を二つ紹介します。


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今日のクイズ

 今日は、最高益を更新する予想なのに、株価指標で割安な銘柄を当てるクイズを出します。株価収益率(PER)が低い株、株価純資産倍率(PBR)が低い株、配当利回りが高い株を、株価指標から見て割安な株と言います。それを当てるクイズです。


 2015年以降の株価の動きも、参考までにご覧ください。


 クイズを二つ出します。


【第1問】
 以下に、A社、B社の、2025年7月1日時点のPER、PBR、配当利回りと、2015年以降の株価推移が出ています。A社・B社は、それぞれ以下2社のどっちでしょう?


【1】 トレンドマイクロ(4704)
 ウイルス対策ソフト大手。「ウイルスバスター」が主力商品。クラウドワークロードセキュリティで世界トップ。法人向けサービスが成長。


【2】 サカタインクス(4633)
 印刷用インキで世界第3位。飲料缶や食品パッケージ印刷で強み。海外売上高比率が7割超。

北米、アジアで売上伸ばす。


<A社・B社の株価指標:2025年7月1日>
最高益予想の2社、割安株はどっち?PER、PBR、配当利回りから考える
出所:QUICKより筆者作成

<A社・B社の株価推移比較:2014年末~2025年6月末>
最高益予想の2社、割安株はどっち?PER、PBR、配当利回りから考える
出所:2014年末の値を100として指数化、QUICKより筆者作成

【第2問】
 以下に、C社、D社の、2025年7月1日時点のPER、PBR、配当利回りと、2015年以降の株価推移が出ています。C社・D社は、それぞれ以下2社のどっちでしょう?


【3】 ショーボンドホールディングス(1414)
 橋・高速道路などの補修で国内最大手。社会インフラ老朽化で補修需要が拡大。ゆっくり成長。


【4】 MonotaRO(3064)
 通販サイト「モノタロウ」を運営。事業者向け資材・工具を専門とする。中小企業から大企業まで顧客に持ち、2024年度まで15期連続の最高益。


<C社・D社の株価指標:2025年7月1日>
最高益予想の2社、割安株はどっち?PER、PBR、配当利回りから考える
出所:QUICKより筆者作成

 <C社・D社の株価推移比較:2014年末~2025年6月末>
最高益予想の2社、割安株はどっち?PER、PBR、配当利回りから考える
出所:2014年末の値を100として指数化、QUICKより筆者作成

PERとは

 株式投資をするとき、投資する銘柄のPERを見ていますか? PER10倍だから株価は割安とか、PER40倍だから割高といった話を聞いたことがありますか?


 PERは以下の式から計算されます。


PER=【株価】÷【1株当たり利益(今期予想)】


 詳しい解説は、以下のレポートからお読みください。


クイズでわかる!資産形成 2024年12月14日: PERの高い株・低い株、どちらを買うべき?PER何倍なら割安?


PBRとは

 株式投資をするとき、投資する銘柄のPBRを見ていますか? PBR0.7倍だから株価は割安とか、PBR5倍だから割高といった話を聞いたことがありますか?


 PBRは以下の式から計算されます。


PBR=【株価】÷【1株当たり純資産】


 詳しい解説は、以下のレポートからお読みください。


クイズでわかる!資産形成 2024年4月6日: PBR1倍割れってどういう意味?今、注目される理由とは


正解

【第1問】
 A社は【1】トレンドマイクロ、B社は【2】サカタインクスです。


<トレンドマイクロ・サカタインクスの株価指標:2025年7月1日> コード 銘柄名 株価:円 配当
利回り PER:倍 PBR:倍 4704 トレンドマイクロ 9,750.0 2.2% 32.9 12.7 4633 サカタインクス 1,946.0 4.6% 8.9 0.9 出所:各社決算短信・QUICKより作成、配当利回りは2025年12月期1株当たり配当金予想を7月1日株価で割って算出、1株当たり配当金はトレンドマイクロ214円(市場予想)、サカタインクス90円(会社予想)

 トレンドマイクロは、世界的にサイバーセキュリティの重要性が高まるにつれて、法人向けを中心に高い成長が続いてきました。株式市場で「成長株」と認識されています。過去の売上・利益の成長率が高く、株価上昇率も高かったからです。そのため、PER・PBRで高い評価となっています。


 一方、サカタインクスは、株式市場で「割安株」として認識されています。過去の売上・利益の成長率・株価の上昇率があまり高くなかったからです。そのため、PER・PBRで低い評価となっています。


 ただし、飲料缶や食品パッケージなどが米国、アジアで伸び、サカタインクスは最高益を更新するようになっています。割安な成長株として投資価値は高いと考えており、投資判断は「買い」です。


【第2問】
 C社は【4】MonotaRO、D社は【3】ショーボンドHDです。


<MonotaRO・ショーボンドHDの株価指標:2025年7月1日> コード 銘柄名 株価:円 配当
利回り PER:倍 PBR:倍 3064 MonotaRO 2,870.0 1.1% 47.1 13.5 1414 ショーボンドHD 4,635.0 3.1% 16.3 2.3 出所:各社決算短信・QUICKより作成、配当利回りは今期1株当たり配当金(会社予想)を7月1日株価で割って算出、1株当たり配当金はMonotaRO31円、ショーボンドHD142.5円

 MonotaROは、株式市場で「成長株」として認識されています。過去の売上・利益の成長率が高く、株価上昇率も高かったからです。

そのため、PER・PBRで高い株価評価となっています。


 一方、ショーボンドHDは、株式市場で「割安株」として認識されています。過去の売上・利益の成長率・株価の上昇率があまり高くなかったからです。そのため、PER・PBRで低い株価評価となっています。


 ショーボンドHDのビジネスに追い風が吹いています。日本全国で、橋梁(きょうりょう)・高速道路など社会インフラの老朽化が進み、今後、補修需要の拡大が続く見込みです。増益率は高くありませんが、ゆっくり成長していく株と評価しています。


 ショーボンドHDも、割安な成長株として投資価値は高いと思います。投資判断は「買い」です。


テクニカル・ファンダメンタルズ分析を詳しく勉強したい方へ

 最後に、株式投資を書籍でしっかり勉強したい方に、私の著書を紹介します。ダイヤモンド社より、株価チャートの読み方をトレーニングする『株トレ』(黄色の本)と、決算書の見方などを学ぶ『株トレ ファンダメンタルズ編』(水色の本)が出版されています。どちらも一問一答形式で株式投資の基礎を学ぶ内容です。


『 2000億円超を運用した伝説のファンドマネジャーの株トレ 』


『 2000億円超を運用した伝説のファンドマネジャーの株トレ ファンダメンタルズ編


最高益予想の2社、割安株はどっち?PER、PBR、配当利回りから考える
「株トレ」 シリーズ2点の書影

(窪田 真之)

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