2025年3月期は減収減益も明るい兆し、新3カ年計画で海外展開に照準

現地コード 銘柄名 00590

六福集団国際


(ルック・フック・ホールディングス)


株価 情報種類

20.10HKD
(6/30現在)


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 宝飾品を販売する六福集団の2025年3月本決算は純利益が前年比39.3%減の10億6,800万HKドルにとどまり、BOCIの予想を下回った。ヘッジ損失の拡大が背景。

ただ、純粋に事業運営面を見ると、年度下期の業績は一種のポジティブサプライズともなった。金価格の上昇に加え、人気俳優である成毅(Cheng Yi)のブランドアンバサダーへの起用、中国伝統の意匠を採用した新シリーズの投入などが下期の業績回復を後押しした。こうした中、同社は2026年度下期にも、再び店舗網の拡大にかじを切る方針。BOCIはこれをポジティブなサインと受け止めている。また、金価格の変動とヘッジの影響で、利益の振れ幅がより大きくなる可能性を指摘しつつ、金の高額化に対する同社の適応力を評価。海外展開に照準を合わせた新たな3カ年計画を前向きに受けとめた。利益の安定化と再評価への期待にも言及し、株価の先行きに対して強気見通しを付与している。


 2025年3月通期の売上高は前年比12.9%減の133億HKドル。金価格上昇を受け、BOCIの予想を5%上回った。4億9,300万HKドルのヘッジ損失が響き、39.3%の減益となったが、この要因を除く純利益は6.3%減の15億6,000万元。粗利益率が5.9ポイント上昇の33.1%となった。また、25年1-3月期には小売販売額が前年同期比2%の小幅減に踏みとどまるなど、経営陣の見通し以上に堅調。

金の高止まりの常態化で金製品需要が再び上向いたことや、固定価格での金製品販売の強化などが奏功した。


 2026年度には既存店売上高が回復する見込み。Cheng Yiのブランドアンバサダー起用が販売増と顧客層の拡大に寄与し、2025年4月1日-6月21日には中国本土の既存店売上高が前年同期比約20%上向いた。前年実績の低さもあり、経営陣は2026年度の既存店売上高が全地域で2桁増加するとみている。


 経営陣によれば、2026年度下期には、買収した金至尊集団(3DG)を通じて全体の店舗数が純増に転じ、本土の店舗総数が期中に50店舗増える見込み。さらに2026-28年度には、海外で50店舗を出店するとの目標を掲げている。BOCIはこの戦略は実現可能とし、同業他社を超える新たな成長けん引役の創出につながるとみる。


 BOCIは2026年度、2027年度のコアEPS(1株当たり利益:ヘッジ損失調整後)予想を44%、26%増額修正した。売上高の上振れに加え、記録的な金価格を反映した粗利益率予想の引き上げ、2026年度の店舗拡大計画による効果、コスト管理の強化などを反映したため。2025年予想株価収益率(PER)7倍を当てはめ(2026年度予想PER7.5倍から変更)、目標株価を上方修正。株価の先行きに対する見通しを中立的から強気に引き上げた。


 レーティング面の潜在リスク要因としては、本土の消費低迷が続く可能性や金価格の変動で粗利益率が低下する可能性、店舗拡大ペースが予想を下回る可能性、競争環境下で販管費が膨らむ可能性、予想外のヘッジ損失が発生する可能性を挙げている。


(Bank of China int.)

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