デイトレードで勝つには、機関投資家の動きを把握することが重要です。機関投資家は大量の株を一度に買わず、価格への影響を避けるため、一日かけて徐々に購入します。
デイトレードとは
今日は、「デイトレード」で勝つためのテクニックについて書きます。一日のうちに、ポジションを決済し、翌日にポジションを持ち越さないトレードを、デイトレードと言います。デイトレードには、「買いから入って売り決済する方法」と、「信用売りから入って買い決済する方法」があります。今日は、「買いから入って売り決済する」デイトレードについて、具体的な投資手法をご紹介します。
私は日頃、長期の資産形成について書いていますが、今日は、それとは全く異なる話となります。信用取引を行っている方から「デイトレードについて教えてほしい」と質問があったので、このテーマを選びました。
まず、「機関投資家の売買の仕方」を知ってください
デイトレードで勝つために、知っておいた方が良いことがあります。機関投資家の売買手口です。機関投資家は個人投資家よりも、売り買いする株数が大きいので、デイトレードで機関投資家に逆らっても勝ち目はありません。
孫子の兵法にある通り、「敵を知り、己を知れば、百戦して危うからず」。まず、機関投資家のことをよく知りましょう。デイトレードを、戦(いくさ)に例えると分かりやすいと思います。
それでは、機関投資家の買い方を説明します。
機関投資家がA社株を10万株買おうとしているとします。3社以上の証券会社に売買スプレッドを打診して、一番良いレート【注】を出した証券会社に発注します。
【注】取引所が開く前に、複数の証券会社に対して出来高加重平均価格(VWAP)対比でのスプレッドでの取引を打診します。3社以上からオファーを取ります。出てきたオファーがVWAP+15BP(0.15%)、VWAP+20BP(0.2%)、VWAP+50BP(0.5%)だったとすると、一番いいレート(相対的に安い価格)はVWAP+15BP(0.15%)なので、それをオファーした証券会社に発注します。
詳しく説明すると難解になり過ぎるので、割愛します。以下だけ覚えておいてください。
機関投資家が大口の取引を発注する時は、マーケットインパクト(買うために価格を上昇させてしまうこと)がなるべく小さくなるように、一日かけて少しずつ買っていくように、証券会社に依頼するということだけ、理解してください。
デイトレード・アイデア:寄付の値動きで機関投資家の買いが想定される場合
寄付で、出来高(売買高)が増加して大きく上昇した時、機関投資家の買いが入っている可能性もあります。もしそうであるならば、寄付で買う予定の株数を全て買うわけではなく、一日かけて少しずつ買っていくことになります。
従って、寄付で大きく株価が上がった後、少し株価が弱含んだタイミングで買うとデイトレードが成功することがあります。以下に、そのイメージをお見せします。
<A社株の日中足と、デイトレードのアイデア>

機関投資家の買いを担当するトレーダーは、VWAPに大きく負けないようにトレードするため、だいたい以下のように買うことが多いといえます。
【1】寄付は売買高が膨らむので、少し多めに買うことが多いといえます。
【2】寄付の上昇率が高い時は、そのまま買い続けないで、一度買いの手を緩めて、利益確定売りが出るのを待ちます。少し弱含めば、そこから継続的に買いを入れていくことになります。
【3】日中の売買高の推移に合わせて、買いを実行していきます。
【4】大引けも売買高が大きくなるので、大引けにも一定の買いを残すことが多いといえます。
上記のような特性を考えると、個人投資家のデイトレード・アイデアとして、寄付で売買高の増加をともなう大きな上昇があった銘柄の、少し弱含んだところが、買い場になることがあります。
以上は、実際に機関投資家の買いが入っていた場合の成功例です。現実には、そのようにうまくいく場合ばかりではありません。
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(窪田 真之)