7月7日のドル/円は、トランプ大統領が日本への25%関税を発表したことの影響で、米国の長期金利が上昇して円が売られた。
今日のレンジ予測
[本日のドル/円]↑上値メドは146.65円↓下値メドは144.65円トランプ関税:外国企業が米国に工場建設するのは合理的ではない。労働供給力不足や部品輸入が困難
ドイツ:メルツ首相「欧州は米国の安全保障から独立すべき」
トランプ関税:カナダは対中関税で米国に同調するべき
カナダ経済:カナダ中銀総裁「トランプ関税でカナダ人の生活水準は低下する」
米インフレ:5~10年インフレ期待が1991年以来の高水準に上昇
前日の市況
7月7日(月曜)のドル/円相場の終値は、前日比1.51円「円安」の146.05円。1日のレンジ幅は2.02円だった。
2025年134営業日目は144.38円からスタート。東京時間昼前に144.22円まで下げたが、前日の安値(144.18円)には届かなかった。東京時間明け方には、146.24円まで上昇してこの日の高値をつけた。
トランプ関税の猶予期限である7月9日を前に、神経質な相場が続いていたが、トランプ大統領が、ブラジル、ロシア、インド、中国、南アフリカ(BRICS)に対する追加関税に言及したことで新興国通貨が売られる中で、週明けは全体的にドル買いの動きが強まった。
海外市場では急速に円安が進んだ。トランプ大統領が日本への25%関税を発表したことがきっかけとなった。貿易友好国の関税を引き上げという「セルフ経済制裁」で米国のインフレ懸念がさらに強まる中で、米長期金利が上昇した。
一方トランプ関税の悪影響で日本銀行の利上げは先延ばしされる公算が大きくなっている。金利差拡大の面からもドル買い・円売りが強まった。ただ、関税発動が8月1日まで延期されたことで、その後はドルの上昇幅がやや抑えられた。

レジスタンス:
149.17円 04/03
148.65円 05/12
148.45円 05/13
148.03円 06/23
146.24円 07/07
サポート:
144.22円 07/07
144.18円 07/04
143.44円 07/03
143.32円 07/02
142.68円 07/01
主要指標 終値

今日の為替ウォーキング Let's Dance
今日の一言
小さな損を受け入れられる人こそが、次の大きな利益をつかめる
Let's Dance
トランプ関税とイラン・イスラエル戦争の関係イスラエルによるイランへの軍事作戦が始まったのは、6月13日。当初は距離を置く姿勢を示していたトランプ大統領だが、21日になって直接攻撃に踏み切った。米国がイランの核施設を空爆したことで一気に緊迫した中東情勢は、12日間の戦闘を経て停戦を迎えた。
イラン・イスラエルの軍事対立がエスカレーションした場合、最も直接的な影響は、原油価格の急騰だ。仮にホルムズ海峡が封鎖されれば、原油価格が130ドルに達するとの予測もあり、世界経済は大きな負担を強いられることになるだろう。
これはトランプ政権にとっては、特に頭の痛い問題だ。なぜなら、関税引き上げによる物価上昇とエネルギー価格の上昇のタイミングが重なる可能性があるからだ。米連邦準備制度理事会(FRB)は、トランプ関税が米国のインフレ率を夏にかけて一層押し上げ、消費者心理に悪影響を与える可能性があると懸念している。
しかし、トランプ政権にとっての問題はインフレの加速よりも、それによってトランプ関税に関わる米国の交渉力が弱まってしまうことだ。関税は増税と同じで、米国の消費者の負担を増やす効果がある。インフレで米国の消費力が減速に向かうときに、トランプ関税でさらに「増税」できる余地は狭まる。
日本や欧州連合(EU)などの主要貿易相手国は、その事情を知っているから、交渉合意を急ぐインセンティブはない。4月にトランプ大統領は「90日で90件」の貿易協定を締結すると豪語したが、現在までの実績は、英国との中途半端な合意、中国とは協議継続の確認、あとはベトナムと交渉が成立しただけである。
とはいえ、トランプ関税が完全に撤廃される見込みもない。
今週の注目経済指標

(荒地 潤)