毎年届く住民税の決定通知書、確認せずに放置したり、捨ててしまったりしていませんか?「分からない」「面倒くさい」と確認を怠ると、大損してしまう可能性があります。今回は、特別徴収・普通徴収、ふるさと納税、住宅ローンでの通知書の落とし穴を紹介します。


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住民税の決定通知書、確認しないと損するかも?!

 皆さんのお手元には、住民税の決定通知書が届いていることと思います。この通知書の中身、ちゃんと確認しましたか? 収入については何となく分かるけど、所得や控除となるともう何のことやらよく分からず、見て見ぬふりをしている人も少なくないのではないでしょうか。


 住民税の決定通知書には、皆さんが受けた収入や適用された控除、そして支払う住民税の金額が記載されています。控除がきちんと反映されているか、しっかりと確認しておかないと、本来受けられるはずの控除を受けることができずに損してしまう可能性があります。


 今回は住民税の決定通知書の確認をしなかったことで、思わぬ落とし穴にはまってしまった三つのエピソードをご紹介します。


税金未納に!?特別徴収と普通徴収の落とし穴

 ある日封筒が届いたものの、「きっと住民税のお知らせだろう」と思い放置していたAさん。数日後、何気なく開けてみると、住民税決定通知書と住民税の納付書が同封されていました。


 確定申告は済ませていましたが、住民税は給与天引きの特別徴収になっていると思ったAさんは大慌て。納付期限にはなんとか間に合いましたが、もし気づくのが遅れていたら延滞税が発生していたかもしれません。


 給与天引きの特別徴収の場合、住民税は毎月の給与から自動的に分割して差し引かれます。一方、自分で納める普通徴収の場合は、数カ月分をまとめて納付する必要があります。まとまった金額を一度に支払うのは家計にとっては大きな負担です。


 もし、普通徴収になっていたものを特別徴収に変更したい場合は、納付期限前であれば、勤務先に申し出て手続きをしてもらうことで特別徴収に切り替えることができます。Aさんも無事に8月分から特別徴収に切り替えることができました。


ふるさと納税が無効に!ワンストップ特例制度の落とし穴

 毎年ふるさと納税を楽しんでいるBさん。これまでは確定申告はせずに毎回手軽なワンストップ特例制度を利用していました。昨年も同様にワンストップ特例制度を利用し、申請書類を返送していましたが、妻の出産があったため医療費控除の申告のために慣れない確定申告を頑張ったそうです。


 このとき、Bさんは「ふるさと納税はワンストップ特例制度を申請済みだから、確定申告には何も記入しなくていい」と考え記載しませんでした。しかし、これが思わぬ落とし穴だったのです。


 実は、確定申告をした時点でワンストップ特例制度の申請は全て無効になってしまいます。つまり、ふるさと納税以外の理由で確定申告をすることになった場合は、ワンストップ特例制度を申請していても、ふるさと納税についても確定申告が必要となります。このままでは、Bさんはふるさと納税による控除を受けることができず、寄付をしただけになってしまいます。


住宅ローン減税が受けられない!初年度の確定申告を忘れて大損!

 住宅ローンを組んで自宅マンションを購入したCさん。住宅ローン控除を受けるには、初年度のみ確定申告が必要です。


 会社員のCさんは、これまで確定申告はしたことがありませんでした。いつも通り年末調整の書類を会社に提出し、確定申告のことはすっかり忘れてしまっていたのです。住民税決定通知書を確認すれば、控除が受けられていないことに気づいたかもしれませんが、Cさんは確認をせずに捨ててしまっていました。


 このままでは、せっかく受けられるはずの住宅ローン控除の恩恵を一切受けることができません。

控除額が大きい住宅ローン控除を受けられないとなると、数十万円単位の税金を余分に支払うことになりかねません。


 では、住民税の間違いや控除を申告していないことに気づいたらどうするべきなのでしょうか?


 BさんやCさんのように、ふるさと納税による控除や住宅ローン控除の申告をしていないことに気づいても、慌てる必要はありません。今から修正申告をすることで、控除を受けることが可能です。過去5年間にさかのぼって申告をすることができます。


住民税決定通知書はいつ届く?なくしてしまったらどうする?

 中にはいつ届いたのかも分からない、という人もいらっしゃるかもしれません。住民税決定通知書は、住民税が給与天引きになっている会社員や公務員の場合、勤務先から渡されます。自営業やフリーランスの方、また副業をしていて住民税を自分で納める普通徴収にしている方は、市区町村から郵送で届きます。通知書が届く時期は5~6月ごろです。


 このコラムを読んでいる皆さんの手元にはもう届いているはずです。万が一、なくしてしまった場合、残念ながら再発行はできません。ですが、住民税額を確認できる代替書類として、住民税の課税証明書を自治体に作成してもらうことができます。マイナンバーカードがある場合は、コンビニなどで発行することもできます。ただし、発行には手数料がかかりますのでご注意ください。


まとめ

 年末調整、確定申告、住民税決定通知書、控除…。これらの言葉を聞くと「分からない!」「嫌だ!」「面倒くさい!」と思ってしまうかもしれません。でも、これらによって頑張って働いて稼いだ収入から納める税金額が決まってきます。控除される額が大きいほど、納める税金が少なく済みます。


 ほんの少しの手間を惜しむことで、本来受けられるはずの税金のメリットを逃してしまうのは非常にもったいないことです。面倒くさがらずに確認するようにしてください。


 今回は、実際に多くの人が経験しがちな、あるあるなケースをご紹介しました。自分にもあてはまるかも?と思ったらぜひ一度チェックしてみてくださいね。


(橋本 絵美)

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