2023年上期は小幅減収も増益維持へ、優良ディフェンシブ銘柄との評価

現地コード 銘柄名 00322

康師傅控股


(ティンイ)


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11.54HKD
(7/8現在)


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 中国即席麺市場でトップシェアを握る食品大手、康師傅控股の2025年6月中間(上期)決算について、BOCIは減収増益を予想。売上高は前年同期比1.5%減少するものの、粗利益率が1.3ポイント上昇し、純利益は10.5%増加するとみている。

下期に関しては、製品構成の改善や広告販促活動の強化、販路構成の優良化を背景に、主力2部門(飲料、即席麺)の売上高がプラス成長を回復するとの見方。相場全体が安定感を欠く中、利益成長見通しの明確さやキャッシュポジションの力強さ、魅力的な配当利回りから、同社を優良ディフェンシブ銘柄と位置付けている。


 2025年上期の売上高に関するBOCIの予想は、前年同期比1.5%減の405億6,800万元。うち飲料部門では、カフェチェーン、ティードリンクチェーン人気に押された中国のRTD(フタを開けてすぐ飲める)飲料市場の3月以降の低迷が響く見込み。さらにジュース・水の販売量の縮小トレンドや1リットルパック飲料の値上げを背景とした市場シェアの低下圧力に直面している。半面、無糖茶飲料と炭酸飲料の好調は明るい材料となる。


 一方の即席麺部門はおおむね堅調。「クラシック(経典)」シリーズを値上げした影響で、販売状況が競合他社を下回ったが、経営陣によれば、市場シェアは4-6月期以降、前月比で安定的に推移しているという。販路別では、ECとライブストリーミングチャネルが堅調を維持し、即席麺の売り上げ全体に占める割合は10%超。サムズ・クラブ(ウォルマート傘下の会員制倉庫型スーパー)などの新たな小売事業者との提携も有望であり、この先の販売成長をけん引する見通しという。


 続く2025年下期には、売上高がプラス成長を回復する可能性がある。BOCIは2025年通期の即席麺、飲料販売量が前年比0.7%、0.1%小幅に増加すると予想し、平均販売価格の安定や原材料・包装材(PET、砂糖、パーム油など)コストの低減により、粗利益率も改善するとの見方。

経営陣は2025年通期に前年比2桁の利益成長を見込む。一方、2025-27年の設備投資は25億元で、うち4割強をディスプレイ冷蔵庫に振り向ける見込み。また、源泉徴収税に関する問題が2024年に解消されたため、実効税率は通常レベルに低下する見通し。配当性向は100%を維持する可能性が高い。


 BOCIは2025-27年の予想売上高を3-4%減額修正したが、これは◇食品即配プラットフォームによる値引き競争のあおりで、パック食品とRTD飲料の需要が低下する可能性、◇値上げ後の市場シェアの回復にある程度時間がかかる可能性――を反映させたため。2025年予想株価収益率(PER)で17.0倍(18.0倍から引き下げ)を当てはめ、目標株価を引き下げながらも、株価の先行きに対して強気見通しを継続している。


 一方、レーティング面の潜在リスク要因としては、消費者の行動や嗜好(しこう)の変化、一段の競争激化、予想外の原材料価格の変動などの可能性に加え、食品安全問題を挙げている。


(Bank of China int.)

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