今日は、読者からの質問「NISAの投資枠がいっぱい余ってしまうが、iDeCo(イデコ) は続けて良いですか?」に回答したい。結論としては「iDeCoは続けるべき」。
※このレポートは、YouTube動画で視聴いただくこともできます。
著者の窪田 真之が解説しています。以下のリンクよりご視聴ください。
「 iDeCo(イデコ)ファースト!NISA(ニーサ)より節税メリット大。デメリットも理解して活用 」
iDeCo(イデコ)を最優先で考えるべき理由
「NISAの投資枠がいっぱい余ってしまうが、iDeCo(イデコ) は続けて良いですか?」という問いに対しては、私は「はい、もちろん」と答えます。iDeCo(イデコ:個人型確定拠出年金)は続けるべきです。もう一つ、非課税貯蓄制度として代表的なものに、「iDeCo」「NISA(ニーサ:少額投資非課税制度)」があります。
2024年から、NISAの非課税投資枠が1年につき360万円と、大幅に拡充されましたが、なかなかそれを全部使い切れる人は少ないでしょう。NISAでの投資を少しでも増やせないか、いろいろ頭を悩ませている方がいらっしゃるようです。
ただし、NISA投資枠が拡大しても、「節税メリットが一番大きいのはiDeCo」という位置づけは、変わりません。加入資格のある方は、まずiDeCoを枠いっぱいまで使って貯蓄することを目指してください。iDeCoを枠いっぱい使い、「さらに余裕資金があればNISAもやる」で良いと思います。
iDeCoの加入資格がない方、あるいは、既に「iDeCo」を枠いっぱい使っている方は、さらに「NISA」をうまく使っていきましょう。
今日は、最初に検討すべき「iDeCo」について、解説します。
iDeCo、三つの節税メリット
iDeCoには三つの節税メリットがあります。
【1】拠出金が所得控除になります
すぐに恩恵を感じられるのは、この「拠出金が所得控除になる」という点です。年末調整、または確定申告によって所得控除を受け、所得税・住民税の納税額を減らすことができます。ただし、課税所得がゼロの場合は、このメリットは受けられません。
例えば、民間企業の勤務者で、給与収入が650万円(課税所得350万円と仮定)の方は、iDeCoで拠出額の約30%分、節税できます(復興特別所得税を勘案しない計算)。年間27万6,000円(月額2万3,000円ずつ)拠出を行うならば、単純計算で、年間8万2,800円の節税となります。
このメリットは、iDeCoのみに存在し、NISAにはありません。NISAで投資しても投資額が所得控除になることはありません。iDeCoファーストというのは、このメリットが得られるからです。
【2】運用益が非課税となります
運用期間中に得られる利息、配当金、売却益が、非課税となります。
【3】受け取り時にも節税メリットがあります
一時金で受け取るならば、退職所得控除の対象となります。年金方式で受け取る場合は、公的年金等控除の対象となります。詳細は割愛しますが、非課税で受け取れる可能性が高いといえます。
iDeCoに入る三つのデメリット
主なデメリットとして、以下の3つを説明します。
【1】原則60歳まで引き出しができない
60歳になるよりも早い時期に、住宅購入や子供の教育などで使う予定があるお金ならば、iDeCoではなく、NISAで運用した方が良いと考えられます。
【2】投資信託を通じて株などに投資する場合、値下がりリスクがある
投資信託で運用する場合、当然ですが、必ず値上がりするとは限りません。値下がりリスクを避けたい場合は、iDeCoで定期預金に加入することも可能です。
ただし、私は、60歳まで長期運用できる資金を低利回りの定期預金に置いておくのは、おすすめしません。利回りが低くて、ほとんど資産が増えないからです。
【3】加入先によっては運営管理手数料がかかる場合があります
ただし、楽天証券ならば、運営管理手数料は、条件なしで誰でも無料となっています。
iDeCoに加入する際知っておきたい注意点
【1】課税所得ゼロだと「所得控除」メリットは無い
iDeCo(イデコ)の三つの節税メリットのうち、すぐに恩恵があらわれるのは、拠出金が所得控除になることでした。ただし、課税所得がゼロで、所得税を納めていない場合は、そのメリットがありません。
【2】課税所得ゼロだと「所得控除」メリットは無い
以下の通り、加入資格・年間の拠出金上限などが決められています。加入資格、年間拠出上限額などは以下の通りです。
<iDeCoの概要>

iDeCoに年間いくら拠出できるか、上の表に示した通り、勤務先や働き方によって異なります。iDeCo枠は、目いっぱいまで使い、三つの節税メリットをフルに活用していくことが良いと思います。
加入資格や拠出可能額は、さらに拡大することが検討されています。例えば、加入年齢の上限について、70歳まで引き上げる案があります。
iDeCo(イデコ)の加入資格があるかないか、ご存じですか?
iDeCoには、三つの節税メリットがあります。ところが、加入資格があるのに、入っていない方が、いまだに多数います。とてももったいないことです。
【1】公務員・自営業の方
【2】加入資格の無い会社からある会社に転職された方、
【3】60歳以上64歳以下の方
などが、ご自身に加入資格があるのをご存じない方が多数いらっしゃると、うかがっています。
2022年5月より、60~64歳の方で一定の条件を満たす方もiDeCoに加入できるようになりました。60~64歳で加入できるのは、以下の【1】~【3】のいずれかに該当する方です。
【1】60歳以上65歳未満で会社員・公務員など(国民年金第2号被保険者)
【2】60歳以上65歳未満で国民年金に任意加入している方
【3】国民年金に任意加入している海外の方
加入資格について、詳しいことは、勤務先などで確認してください。加入資格があり、加入するメリットもあるのに未加入の方は、節税メリットを受ける機会意を逃している状態と言えます。早めにスタートした方が、良いと思います。
(窪田 真之)