あなたのポートフォリオはドットコムバブルを超えるような株価の上昇と、1929年以来最悪の株価の暴落の両方に対して、どのような立場にあるのか?
通貨を大量に発行しているので株式市場が急上昇している
先日、世界の債務が300兆ドルを超えたことをお伝えしたが、通貨を大量に発行していることから、株式市場が資産インフレで急上昇している。米国の連邦債務は37兆ドルを超えた。この負債バブルを止めるものは何もない。
トランプ大統領は3%以上の金利引き下げを求めている。ベッセント財務長官は9月に1%の利下げを求めている。株価、不動産、暗号資産が最高値付近にある現在の景気下での大幅な利下げは、「短期的には相場の起爆剤」としての機能を果たすだろう。
S&P500CFD(日足)

ナスダック100CFD(日足)

ユーロ/ドル(日足)

米国のM2マネーサプライは今年の5月から急増し過去最高の22兆ドルに達した

The Kobeissi LetterのXへの投稿によると、テクノロジー株はかつてないほど大きくなっている。ナスダック総合指数の時価総額が米国のM2マネーサプライ(通貨供給量)に対する比率は、過去最高の145%に達したという。この比率は、2000年のドットコムバブルのピークを超えている。また、2022年の弱気市場の底から、この比率は2倍以上に上昇している。
言い換えれば、テクノロジー株の価値は、M2マネーサプライの成長の2倍の速さで急上昇している。ちなみに、この比率は2008年の金融危機(リーマン・ショック)の際には25%まで低下した。
ナスダックのマーケットキャップは2025年第2四半期にM2マネーサプライの145%を記録

逆張り戦略とは「どうすれば最も少ない損失で済むか」を考えること
名著『ブラック・スワン』の著者であるナシーム・ニコラス・タレブは、「バブルに賭けて全てを危険にさらさないでください。誘惑に駆られるのは分かりますが、我慢してください。目を閉じて、20%の利益と50%の損失を想像してください」と述べた。
タレブの見方では、米国の債務問題は、「ブラック・スワン」より想定しやすい「ホワイト・スワン」であり、この問題の解決には「奇跡が必要だ」と発言している。
ブラック・スワン的なイベントに備えるファンドを運用するタレブの弟子のマーク・スピッツナーゲル(ユニバーサ・インベストメンツ)は、以下のように述べている。
「私の見解(相場観)よりも重要なのは、ユニバーサの顧客が、顔を引き裂くような上昇と、1929年以来最悪の暴落の両方に対して、どのような立場にあるのかということだ」
現在の米国株式市場のサマー・ラリーの原動力は「1兆ドルを超えるレバレッジ」だ。伝え聞くところによれば、「株式市場を支えるレバレッジ全額の5分の1が、過去1年間で詰み上がった」という。これは買い方の資金効率が良い一方で、逆に動けばかなり怖い状況でもある。
全員が50%の損失を被る中で20%の損失で済む方が、全員が50%の利益を得る中で20%の利益を得るよりも、全体としてあなたにとって良い結果になるかもしれない。逆張り戦略とは「どうすれば最も少ない損失で済むか」を考えることだ。
しかし、この相場にはまだ打つ手が残っている。米国はまだ政策金利を下げる余地がある。まだ量的緩和(QE5)をやる余地がある。今後、20%程度の下げはいつでもあるだろうが、金利が急騰しない限りまだ相場への対処のノリシロは残っている。金利ゼロと量的緩和をやり尽くして相場が大暴騰すると、2008年からの国家管理相場はフィナーレを迎えるだろう。
8月13日のラジオNIKKEI「楽天証券PRESENTS 先取りマーケットレビュー」
8月13日のラジオNIKKEI「楽天証券PRESENTS 先取りマーケットレビュー」は、今中能夫さん(楽天証券経済研究所 チーフアナリスト)をゲストにお招きして、「テクノロジー株はドットコムバブルを超える水準?」「PER600倍のパランティアは買いか!?」「この相場にファンダメンタルズは関係ない?」というテーマで話をしてみました。ぜひ、ご覧ください。




ラジオNIKKEIの番組ホームページ から出演者の資料がダウンロードできるので、投資の参考にしていただきたい。

8月13日:楽天証券PRESENTS 先取りマーケットレビュー

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(石原 順)