楽天証券ではアドバンテストの目標株価を引き上げる。2026年のAI半導体全体の生産、出荷は、エヌビディアが鈍化してもブロードコムと中国の成長で補えると思われる。
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著者の今中 能夫が解説しています。以下のリンクよりご視聴ください。
「 銘柄レポート:アドバンテスト(楽天証券の業績予想を上方修正し、目標株価を引き上げる) 」
本レポートに掲載した銘柄: アドバンテスト(6857、東証プライム)
1.アドバンテストの今期、来期業績予想を上方修正する。
アドバンテストの今期、来期楽天証券業績予想を上方修正します。理由は、以下の通りです。
1)楽天証券では、エヌビディアのデータセンター向けコンピュート(AI半導体)の売上高を2026年1月期1,560億ドル(前年比52.6%増)、2027年1月期2,040億ドル(同30.8%増)と予想している。ブロードコムのシェア拡大によって、エヌビディアの2027年1月期増収率はこの予想よりも低くなる可能性があるが、マイナス成長にはならないと予想される。
2)楽天証券の予想では、ブロードコムのAI関連売上高は2025年10月期199億ドル(前年比63.1%増)、2026年10月期380億ドル(同91.0%増)と高成長する見込み。
3)中国ではファーウェイ、バイドゥ、アリババのほか、スタートアップ数社がAI半導体を開発中。
4)AI半導体は性能の高低に関わらず一般の半導体よりも高額なので、テストには万全を期す必要があり、SoCテスタも高性能品を使う。エヌビディア製AI半導体の多くがアドバンテスト製SoCテスタでテストされていると言われている。エヌビディア、ブロードコム、中国のAI半導体の生産出荷を足すと、AI半導体の生産、出荷は数量、金額とも2026年は二桁増となり、平均的な性能も2025年よりも2026年が高くなると予想される。このため、SoCテスタの2026年暦年の需要は、2025年よりも数量が増え、性能向上によって平均単価も上昇すると思われる。
これらのことを考慮して、楽天証券ではアドバンテストの業績を、2026年3月期は売上高8,550億円(前年比9.7%増)、営業利益3,100億円(同35.9%増)、2027年3月期は売上高1兆200億円(同19.3%増)、営業利益3,930億円(同26.8%増)と予想します。前回予想の2026年3月期売上高8,350億円、営業利益3,000億円、2027年1月期売上高9,600億円、営業利益3,400億円から上方修正します。
なお、売上高の上方修正の中身は、2026年3月期はSoCテスタのみ、2027年3月期はSoCテスタ、メモリ・テスタ、サポートの売上高を上方修正します。地域別には台湾向け、中国向けの好調が予想されます。
表1 アドバンテストの業績

表2 アドバンテストの事業セグメント別売上高(新セグメント)

表3 アドバンテストの事業別売上高

表4 アドバンテストの地域別売上高

表5 アドバンテストの地域別売上高(通期ベース)

2.今後6~12カ月間の目標株価を、前回の1万2,500円から1万7,500円に引き上げる。
アドバンテストの今後6~12カ月間の目標株価を、前回の1万2,500円から1万7,500円に引き上げます。
楽天証券の2027年3月期予想1株当たり利益(EPS)397.7円に、今の評価である想定株価収益率(PER)40~45倍を当てはめました。
中長期では投資妙味を感じますが、株価は割安とは言えない水準にあるため、短期的な上下変動がある可能性もあります。
本レポートに掲載した銘柄: アドバンテスト(6857、東証プライム)
(今中 能夫)