日経平均株価が大きく値上がりするなか、未だ年初来でマイナスパフォーマンスのトヨタ(トヨタ自動車:7203)とホンダ(本田技研工業:7267)。ここから買うならどちら?この2社で比べてみます。
今回のお題 完成車メーカーの国内ツートップ
トヨタ自動車(7203) 本田技研工業(7267)
上記両社の株価のポイントや株価データを見ながら、双方を比較し、皆さんの相場観で購入検討するならどちらにしますか?
トランプ関税のリスクが株価に直撃した自動車メーカー大手。最大の輸出相手だった米国が、日本から輸入する自動車の関税を4月に2.5%→27.5%へ大幅に引き上げるショッキングな話題がありました。その後の交渉で15%に引き下げられたのは良かったのですが、関税影響は先日発表されたばかりの中間決算にも反映されています。日経平均株価が大きく値上がりするなか、未だ年初来でマイナスパフォーマンスのトヨタ(7203)とホンダ(7267)。ここから買うならどちら?この2社で比べてみます。
銘柄A:トヨタ(トヨタ自動車:7203)
ここがGOOD
売れてる“トヨタ車”! 商品力を武器に今期も売れているのがトヨタ車。修理し易い、サービスが良い、残価が高い(リセールバリューと言いますが、車を手放す時に高く売ることが期待できるという意味です)など魅力要素から、世界的に強いブランド力を有しています。
今4-9月期の世界販売台数は前年同期比5%増の526万台。EV(電気自動車)→HEV(ハイブリッド車)の流れから、HEV中心に好調で、通期の販売台数見通しも1,040万台→1,050万台へ引き上げました。中間期決算時に掲げる通期の販売台数でいえば、ホンダの四輪事業は引下げ、マツダ、SUBARUは据え置き。10万台の上積みとはいえ、このタイミングで上方修正したのは「さすがトヨタ」!
自社株買い
トヨタといえば2014年以降、コロナ禍など特別な時期を除くと、本決算と中間決算の発表時(5月と11月)の年2回、自社株買い枠の設定を発表してきた企業です。そのトヨタが、この11月の中間決算発表時には自社株買いの発表がありませんでした。
理由は、今年はイレギュラーな6月に、自社株買い枠設定の発表をしたため。しかも、例年のような市場買付ではなく、自己株式TOBの形での実施という点でもイレギュラー。
買付株数は約11.9億株で、発行済み株数の7.5%相当。これをトヨタが消却した場合、1株当たり価値が大きく高まる要因になります。今期は関税影響もあり減益ですが、株数が減ることによる1株価値向上は株主にとって大きなメリット。また、今期は豊田自動織機のTOBに関係して通常の自社株買いは無さそうですが、来期は通常の自社株買い再開が有力です(株主還元でもトヨタはリーダー企業)。
ここが心配
“物足りない”上方修正 11月の中間決算発表時に、通期の業績予想を上方修正しました。営業利益は従来の3兆2,000億円から3兆4,000億円へ増額。ただ、市場予想の平均(コンセンサス)は3兆7,900億円程度だったため、「上方修正したけど物足りない」という評価になりました。
営業利益の上方修正要因を簡単に分解してみましょう。増額分のうち、為替が円安に振れてくれた「為替影響」の部分、これは運の要因です。それ以外では、今回のトヨタの場合「原価改善の努力」(+850億円)、「営業面の努力」(+700億円)、関税影響など「諸経費の増減・低減努力」(▲1,550億円)と記載されています。
運の要因である「為替影響」が+1,700億円…ということで、2,000億円の営業増益のほとんどが円安のおかげともいえ、為替影響除いた実質的な営業利益の増額分は300億円ということです。
パフォーマンス低迷で需給悪い
関税影響ネガティブ業種として、トヨタの属する「輸送用機器」業種は低パフォーマンスに苦しんできました。年初来騰落率(11月12日時点)では輸送用機器業種の指数が+4.1%と、同期間のTOPIX(+20.6%)、日経平均株価(+28.0%)を大幅にアンダーパフォームしています。
輸送用機器業種の指数にとっても、TOPIXにとっても、時価総額最大のトヨタは影響力最大。そのトヨタの年初来騰落率は、同+1.4%と大幅アンダーパフォーム。ヘッジファンドなど短期のプレーヤーが、パフォーマンス追求で半導体株に“持たざるリスク”を抱えた地合い。さすがにトヨタのような低パフォーマンス株を手放し、半導体株のようなモメンタム株にシフトしていたことが想像されます。
トヨタのパフォーマンス改善は、そうした半導体株からの資金シフトが始まることが何より重要(そのためには半導体株が下がる、日経平均が下がるが必須?)。それまでは上値で買った投資家の戻り売り圧力も強そうです。また、来年5月の本決算発表まで、市場買付してくれる自社株買い枠の設定は無いと見られます。需給面での下支えが無いことも需給が悪い理由といえそうです。
トヨタ自動車 レーダーチャート ※各指標の数値に基づき独自基準でスコア化
銘柄B:ホンダ(本田技研工業:7267)
ここがGOOD
文句なしのバリュー株 9月に年初来高値を付けるまで、ホンダの株価は自動車メーカー大手では相対的に好パフォーマンスでした。ただ、その後の株価調整と、11月の中間決算発表時の下方修正がネガティブサプライズとなり、年初来騰落率(11月12日時点)は+0.6%。これは、輸送用機器業種の指数(+4.1%)、TOPIX(+20.6%)を大幅にアンダーパフォームしています。
株価が下落した結果、株価をベースに計算する株価指標は割安化します(当然ですが…)。PBRは0.50倍と、PBR1倍の半分。自動車メーカー大手のPBR平均は0.9倍ですので、圧倒的に割安水準といえます。また、配当利回りも4.53%と高く、自動車メーカー大手ではマツダの4.95%に次ぐ高水準。プライム市場に上場する輸送用機器業種35銘柄の中でも10位の高配当利回りで、高配当利回り系ファンドや個人のNISAマネーなどからの支持は今後高まりそうです。
ここが心配
ネクスペリア問題 中間決算発表時の下方修正はネガティブサプライズでしたが、その原因となった“ネクスペリア問題”が心配材料に。通期の営業利益を従来比1,500億円減額したのですが、要因の中に「半導体供給不足影響」(▲1,500億円)がありました。具体的には、オランダの中国系半導体メーカーであるネクスペリアの輸出規制で、北米での車両販売台数が大きく減少する事態に。
今年の9月末、オランダ政府が中国への技術流出を食い止めようと、ネクスペリアを政府管理下に置きました。これに中国政府が反発し、ネクスペリア中国工場からの半導体出荷をストップ。これにはホンダに限らず、多くの自動車メーカーが影響を受けました。
そこで浮上したホンダの問題は、該当する半導体製品をネクスペリア1社から調達していたこと、そして、在庫の確保が不十分だったことでした。11月下旬には生産も正常化に向かう見通しですが、今回のネクスペリア問題で、ホンダは供給体制に関するリスク管理の見直しに迫られそうです。
巨大自社株買い終了
24年12月に最大1兆1,000億円の自社株買い枠を設定したことが大きな話題になりました。ホンダとして過去最大の自社株買い枠。1日当たりの売買代金は約250億円ですので、1兆1,000億円枠を消化するには、丸44営業日の売買に相当するインパクトでした。
これが自動車メーカー大手の中で、株価がホンダだけ妙に強い“優位性”として発揮されてきました。年初来高値を付けたのは9月5日…だったのですが、高値を付けたのは、ホンダの巨額自社株買いが終了したタイミング。それだけホンダの株式需給にとって自社株買いが大きかったということです。自社株買い終了後にパフォ―マンスは強烈悪化し、下落による逆張りの信用買い残(短期の個人投資家の買い)も増加…上値の重たい展開が想定されます。
ホンダ レーダーチャート ※各指標の数値に基づき独自基準でスコア化
あなたなら、どっちを買う?
商品力の高さを示したトヨタは、利益減額のホンダに比べて予想PERでは割安感のある水準。ただ、PBRではホンダが半分以下と圧倒的割安。日経平均が史上最高値を更新する地合いにあって、年初来プラス圏、マイナス圏を行き来する出遅れ感では双方似たところですが…ここから買うならトヨタかホンダか、あなたならどちらを選びますか?
▼銘柄投票にぜひ参加してみてください
【銘柄を投票】トヨタ vs ホンダ 国内車メーカーのツートップ 日経平均上昇に出遅れ? いずれも年初来でマイナスの割安株2銘柄 いまから買うならどっち?
各指標の説明 予想PER 1株当たり利益の何倍(何年分)まで株価が買われているかを示す指標。
(岡村 友哉)

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