日経平均から遅れること2週間後、TOPIXが市場最高値をつけました。日経平均をTOPIXで割った「NT倍率」の推移を見てみると、建設や銀行など内需株が買われていることが分かります。
日本株市場は弱いまま。10月の上昇に対する調整か
足元の日本株市場の方向性は弱いままです。エヌビディアが決算を発表した直後の11月20日、日経平均株価は一時、5万円台を回復しましたが、米国市場でエヌビディアなど人工知能(AI)・半導体関連株がさえなかったことなどから日本株も失速。10月中旬から11月上旬に見せた勢いは失われつつあります。
「10月は1カ月間の上昇幅が過去最大の7,478円と、さすがに上がりすぎたから」「 ソフトバンクグループ(9984) など一部AI・半導体株が急ピッチで上がったから」などと市場で言われていますが、私もその通りだと考えます。「上がりすぎたものは調整が入る」という相場の流れ通り、足元の下落は次の「上昇」に対する「調整」と理解しています。
値がさ株?内需株?「NT倍率」でみる日本株の動向
特に最近注目しているのは、日経平均を東証株価指数(TOPIX)で割った比率「NT倍率」です。市場参加者にとって「一部の値がさ(指数寄与度の大きい)株が買われているのか、それとも、幅広い銘柄とりわけ内需株が買われているか」を確認する上でよく使われます。
時価総額で算出されるTOPIXは、「内需関連株」の影響が大きい特徴があります。一般的には、銀行、不動産、建設、小売、電力、外食、倉庫など主に国内でサービスを提供している業種の銘柄を総称します。また、 トヨタ自動車(7203) や 三菱UFJフィナンシャル・グループ(8306) 、 ソニーグループ(6758) など時価総額が大きい銘柄の動向に左右される傾向もあります。
一方、単純平均株価である日経平均は、値がさ株が多い「電気機器」「情報通信」「輸出関連株」の影響を受けやすいです。
整理するとこのようになります。
11月4日、NT倍率は取引時間中に15.77倍まで上昇しました。この水準は2000年以降のデータでは過去最高です。背景はご存じの通り「AI・半導体株相場」です。
11月中旬以降、NT倍率上昇の反動、つまり是正の動きが強まっています。米国株安の影響から急ピッチで上昇していたAI・半導体関連株が売られた一方、三菱UFJフィナンシャル・グループなどの銀行株、 大成建設(1801) などの建設株が買われた結果、NT倍率は14.7倍台(11月21日時点)まで低下しました。
10月31日に史上最高値5万2,411円まで上昇した日経平均が調整局面を迎えている一方、TOPIXは日経平均に遅れること2週間後の11月13日に史上最高値3,381ポイントを付けました。一部の銘柄の上昇によって日経平均だけがぐいぐい上がっている相場よりも、TOPIXがじりじりと上がっている相場の方が、「健全」な相場展開と考えます。
「日経平均よりもTOPIXが強い」相場展開はいつまで?
では、このNT倍率の低下はいつ頃まで続くでしょうか。私は少なくても年内は続くと考えます。高市政権が掲げる「責任ある積極財政」に対して、市場は「円安」「国債安(金利上昇)」の反応を示しており、足元のAI・半導体株安に伴う「株安」も加わり「トリプル安」となっています。
片山さつき財務大臣が積極的に為替に対して言及していることもあり、為替介入警戒が高まっています。しばらくは市場の急変を嫌う投資家は積極的な投資を手控えるでしょう。様子見ムードが強まれば、投資家はポジション調整に動き、リスクオフのスタンスとなります。サナエノミクスに対する期待感先行の相場展開はいったん一休みと見ます。
次回開催される日本銀行による金融政策決定会合は12月18~19日ですので、中央銀行の政策金利の方針が明確になるまでは、市場の様子見ムードが続くと考えます。しばらくは、2.の状況を想定しておいたほうがいいでしょう。
配当利回り3.6%以上!12月期決算5銘柄
こうした状況下、11月11日の記事でもお伝えした通り、「調整」入りした際は冷静な視点に立ち、株主優待や配当の概念に注目したほうがいいと考えます。
関連記事: 「【2025年12月】過熱相場に焦らない!「株主優待で長期投資」銘柄」
前回は12月優待銘柄でしたので、今回は営業利益予想が過去最高水準で配当利回りが3.6%以上の2月期決算5銘柄をご紹介したいと思います。
長期的な視点でじっくり配当銘柄を保有する方が、日々の上げ下げに一喜一憂しなくて済みます。落ち着いた投資を好まれる方は、優待や配当銘柄への投資を検討してみてください。12月最終権利取りは12月26日(金)です。
銘柄名 証券コード 株価(円)
(11月26日終値) 予想配当利回り グローバル・リンク・マネジメント 3486 2,188 3.68 サカタインクス 4633 2,305 3.90 ジャパンインベストメントアドバイザー 7172 2,204 3.95 ダイトロン 7609 4,635 3.67 スペース 9622 1,442 4.16 予想配当利回りは2025年12月期配当予想と11月26日終値で計算
グローバル・リンク・マネジメント<3486>
東京23区を中心に投資用マンションブランド「ALERO(アレーロ)」シリーズを展開しています。足元、バルク販売(複数の不動産をひとまとめにして、一括で売買すること)の拡大と都心マンション価格上昇を背景に業績は好調です。
インフレ・資産防衛需要の高まりを背景に、国内外投資家による都心収益物件への投資需要が継続しており、同社の企画ブランド物件は完成前から売却先が決まるケースも増えています。
サカタインクス<4633>
国内最大級の印刷インキメーカーでパッケージ用インキに強みを持ちます。足元では、円安メリットと海外パッケージ需要の強さが収益を押し上げています。特に北米・欧州の包装需要が底堅く食品向けを中心に販売量が増加しているほか、原材料価格の安定化も採算改善に寄与しています。
コスト抑制や海外子会社の収益改善も加わり、2025年12月期純利益予想に対する2025年1~9月時点の進捗率は9割超と高進捗です。上方修正期待も高いとみています。
ジャパンインベストメントアドバイザー<7172>
オペレーティング・リース事業(航空機、船舶など)を中核とし、M&Aアドバイザリー、保険代理店、環境関連投資などを展開しています。足元、航空機リース需要の回復とストラクチャードファイナンス(仕組み金融)案件が増加しているほか、金利高環境下でもリース契約は相対的に魅力が高まり、案件数が増加。
さらに、買収や合併(M&A)仲介など非リース部門も好調で、利益の分散化が進みつつあります。2025年12月期予想に対する2025年1-9月期各利益の進捗率が高いことから、通期予想の上振れ余地が残る状況にあります。
ダイトロン<7609>
半導体製造装置・電子部品の専門商社兼メーカーです。電気機器関連は苦戦していますが、在庫調整の峠を越したことなどからパワー半導体・車載向けの引き合いが堅調です。また、独自装置の販売増や利益率の高い製品構成へのシフトも収益改善に寄与。
海外事業も持ち直し利益体質が強化されたことで、2025年1-9月期各利益は堅調に推移しています。
スペース<9622>
商業施設、店舗、展示会などのディスプレイ事業大手で、ショッピングモール、テーマパーク、公共施設、オフィスなど幅広く手掛ける空間プロデュース企業です。企画から設計、施工、保守まで一貫で提供できる点が強みです。足元、商業施設の投資意欲回復で大型案件の受注が増加しているほか、DX化対応によるデジタルサイネージ・空間演出ニーズも拡大。
また、受注単価の高いプロジェクトが増えたことで利益率も改善し、2025年1-9月期各利益は大幅増益でした。2025年12月期業績予想に対して進捗率が高いため、上方修正が期待できます。
(田代 昌之)

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