半導体関連株をけん引役に2026年の株式市場は好スタート。1月の注目点としては、10-12月期の日米主要企業の決算発表に加えて、次期FRB議長の発表、相互関税に対する最高裁判決などが挙げられます。

また、コーポレートガバナンス・コード改定を控えているため、年前半にはキャッシュリッチ企業に関心が向かう公算が大きいと見ます。


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12月の日経平均株価はもみ合い、AI関連株への過熱警戒感が一時強まる

 2025年12月(2025年11月28日終値~2025年12月30日終値)の日経平均株価(225種)は0.2%の上昇でした。5万円を挟んでのもみ合いに終始する形となっています。高値は12日の5万1,127円、安値は18日の4万8,643円でした。ちなみに、この期間(11月28日終値~12月30日終値)のダウ工業株30種平均は0.7%の上昇でした。


 月前半は、植田和男日本銀行総裁の講演を受けて早期利上げ観測が高まったものの、米国の利下げ期待が継続して堅調な動きとなりました。10日には米連邦公開市場委員会(FOMC)が想定通りの利下げを決定して、月間の高値をつける動きにつながりました。


 一方、月半ばにかけての下落は、米ブロードコムやオラクルの株価下落を反映し、人工知能(AI)関連株の過熱警戒感が高まったことが要因となります。この局面では、日銀金融政策決定会合を控えての警戒感も先行しました。


 ただ、安値をつけた後は、日銀の利上げ決定後のドル高・円安の進行が買い材料視されました。ほか、米マイクロンが好決算を発表したことでAI関連株の過熱警戒感も和らぎ、年末にかけて下げ渋る動きとなっています。


 この期間で上昇が目立った銘柄としては、 住友金属鉱山(5713) 、 三菱マテリアル(5711) 、 DOWAホールディングス(5714) 、 JX金属(5016) といった非鉄金属株が挙げられます。金や銅など貴金属価格の上昇が手掛かりとなりました。


 また、話題となったものにフィジカルAI関連も挙げられます。フィジカルAIの推進で米エヌビディアと協業発表の ファナック(6954) 、フィジカルAIの社会実装に向けてソフトバンクと協業発表の 安川電機(6506) など、産業用ロボットの大手企業が買われました。


 さらに、半導体前工程装置の回復期待から、 KOKUSAI ELECTRIC(6525) 、 SCREENホールディングス(7735) など半導体関連の一角も強い動きとなりました。


 一方、 三井E&S(7003) 、 日本製鋼所(5631) 、 住友ファーマ(4506) など年間を通して株価が大きく上昇した銘柄の一角には利食い売りが優勢となりました。 任天堂(7974) は半導体メモリ価格の高騰による収益圧迫懸念が強まりました。


半導体関連をけん引役に2026年の日経平均株価は好スタート

 2026年の日経平均株価は好調な滑り出しを見せ、1月6日時点で、2025年11月4日に記録した史上最高値5万2,636.87円が視界に入る状況となってきています。


 米国によるベネズエラ攻撃など地政学的リスクが高まる中でスタートしましたが、半導体関連株の上昇がけん引役となっています。


 半導体関連株上昇の要因としては以下が挙げられます。


  • 米国がTSMCに対して中国ラインへの半導体製造装置の輸出を認可と伝わったこと
  • エヌビディアが中国需要からTSMCに増産を要請したと報じられたこと
  • 台湾IT企業の12月売上拡大への期待

 ただ、半導体関連株に関しては、足元での事業環境の改善は好望視されますが、問題なのはバリュエーションに対する見方です。そのため、目先は、一転して過熱警戒感が再燃する余地は残されていると言えるでしょう。


 1月の注目点としては、まず10-12月期の決算発表が下旬から本格化することが挙げられます。米国関税の影響は想定よりも軽微にとどまっているとみられ、国内企業は比較的ポジティブな決算が多くなりそうな印象です。


 一方、米国企業の決算発表では、好決算に対する株価の反応が弱ければ、あらためてAI・半導体関連株の過熱警戒感が強まる流れとなりそうです。


 ほか、トランプ米大統領による次期米連邦準備制度理事会(FRB)議長の発表が予定されています。ハト派な議長の選出が見込まれることで、早期利下げ期待につながる余地はありそうですが、一方で、財政懸念の高まりによる長期金利の動向には要注意でしょう。


 また、相互関税に対する最高裁判決も月内に見込まれています。違法判決となれば、こちらも米長期金利の上昇につながる可能性があるでしょう。なお、1月27~28日にかけてFOMCが開催されますが、こちらはさすがに無風の可能性が高いと考えます。


高配当銘柄5選:2026年はキャッシュリッチ銘柄に関心向かう

 2026年半ばにかけ、コーポレートガバナンス・コードの5年ぶり改定が行われると想定されています。現時点では、上場企業が現預金をため込みすぎず、適切に活用しているかについて説明を求める方向で検討されているようです。


 資金の配分先としては、設備投資だけでなく、研究開発投資や人的資本も重視するとされていますが、株主資本の充実化につながる余地もありそうです。この分野は高市早苗首相も関心が強いとされており、過去には著書で、企業の現預金に課税する案を披露した経緯があるようです。


 キャッシュリッチ銘柄においては経営改革の進展、株主還元拡充などが想定されることになり、年前半の株式市場の有力なテーマとなり得るでしょう。


 下表は、楽天証券のスーパースクリーナーにおいて、配当利回り3.5%以上、時価総額1,000億円以上、当座比率300%以上でスクリーニングをかけ、その中から、ネットキャッシュ(現預金-有利子負債)が総資産の30%以上ある銘柄、時価総額の25%以上ある銘柄をピックアップしたものになります。


 高配当利回りのキャッシュリッチ銘柄と位置付けられ、中には、一段の株主還元強化が想定されるものも出てくるでしょう。


(表)キャッシュリッチの高配当利回り銘柄


コード 銘柄名 配当
利回り
(%) 1月5日
終値
(円) 時価
総額
(億円) ネット
キャッシュ/
総資産
(%) ネット
​キャッシュ/
時価総額
(%) 2121 MIXI 4.42 2,713.0 1,935 43.55 50.75 3076 あいHD 3.90 2,817.0 1,594 31.98 28.26 5444 大和工業 3.65 10,950.0 6,789 33.92 32.85 6345 アイチ 4.38 1,371.0 1,022 46.70 45.85 6417 SANKYO 3.55 2,537.5 6,597 53.48 27.29 注:配当利回りは会社予想
注:netcash/総資産、netcash/時価総額は3月末、あいHDのみ6月末

銘柄選定の要件

  • 配当利回りが3.5%以上(1月5日時点会社予想ならびにコンセンサス予想)
  • 時価総額が1,000億円以上
  • 当座比率が300%以上
  • ネットキャッシュが総資産の30%以上
  • ネットキャッシュが時価総額の25%以上
  • 厳選・高配当銘柄(5銘柄)

    1 MIXI(2121・東証プライム)

     SNSの草分け企業ですが、現在はスマートデバイス向けゲームを手掛けるデジタルエンターテインメント事業が主力です。中心は「モンスターストライク」となっています。


     ほか、ベッティングや観戦などのスポーツ事業が足元の成長をけん引しています。2026年3月期第2四半期(4-9月期)営業利益は72.1億円で前年同期比17.5%減となっています。投資事業における売却益計上の一巡、買収費用発生などが背景となります。


     2026年3月期通期では200億円で前期比24.8%減の見通しです。スポーツ事業の好調は上振れ要因となりますが、豪州企業買収によるのれん償却費計上が重しとなります。


     年間配当金は前期比横ばいの120円を計画しています。


     2025年3月期末の現預金は1,106億円。一方で長・短借入金は124億円で、ネットキャッシュは982億円の水準となります。総資産比で43.55%の水準にあるほか、時価総額比では50.75%と極めて高水準にあります。


     今後も積極的な買収や合併(M&A)の実施が想定されるほか、自社株買いの原資も十分とみられます。株主還元方針としては、配当性向20%または株主資本配当率(DOE)5%を目安としているほか、配当総額と翌期の自社株買いを合算して、総還元性向を100%にするとしています。


    2 あいHD(3076・東証プライム)

     セキュリティ事業のドッドウエル ビー・エム・エスと情報機器事業のグラフテックが統合して2007年に設立されました。現在は、監視カメラやレコーダーなどのセキュリティシステム機器、世界トップシェアを有するカッティングマシン(情報機器)、オフィス向けのビジネスホンなどが主力製品となっています。


     2026年6月期第1四半期(7-9月期)営業利益は20.4億円で前年同期比14.7%増となっています。セキュリティ機器がマンション向けや一般法人向けに好調なほか、コスト削減効果によって、ビジネスホン事業も黒字転換しています。


     2026年6月期は107億円で前期比20.4%増の見通しです。カッティングマシンの収益回復、大型の耐震診断受注による設計事業の拡大を見込んでいます。


     年間配当金は前期比10円増の110円を計画しています。


     2025年6月期末の現預金は450億円。一方で長・短借入金はゼロで、ネットキャッシュは450億円の水準となります。総資産比で31.98%の水準にあるほか、時価総額比では28.26%の水準にあります。


     直近では岩崎通信機やナカヨなど上場企業を買収し、M&Aによって着実に成長を遂げている企業であり、今後も積極的なM&A展開が期待されます。株主還元方針としては、配当性向を50%以上としています。5期連続での増配見通しとなっており、業績成長に伴う着実な配当増加が期待されます。


    3 大和工業(5444・東証プライム)

     大手電炉メーカーでH形鋼が7割近くを占める主力製品です。米ニューコアとの合弁会社ニューコアヤマトスチールの持分法利益が収益の多くを占めていることが特徴です。


     2026年3月期第2四半期(4-9月期)経常利益は279億円で前年同期比32.2%減となっています。中国の内需低迷を背景に、ASEAN地域を中心に安価な中国材との競争が激化しているほか、一過性の持分法損失も響いています。


     2026年3月期通期では560億円で前期比2.9%増の見通しです。従来予想の500億円からは上方修正されています。世界的に鋼材需要の低迷は継続の見通しですが、米国政府による関税強化の恩恵を受ける米国事業が下支えとなります。


     年間配当金は前期比横ばいの400円を計画しています。


     2025年3月期末の現預金は2,249億円。一方で長・短借入金は19億円で、ネットキャッシュは2,230億円の水準となります。総資産比で33.92%の水準にあるほか、時価総額比では32.85%の水準にあります。


     株主還元方針としては、配当性向40%をメドとし、当面は最低配当金300円としています。また、2024年に続いて2025年にも自社株買いの実施を発表しています。豊富なキャッシュ水準からは今後も継続的な自社株買い実施が想定されるでしょう。

    同社に関しては、米国企業第一主義政策に伴う関税、対中圧力などがストレートにメリットとなる点も再評価の余地があるでしょう。


    4 アイチコーポレーション(6345・東証プライム)

     トラック式高所作業車で国内トップシェアを誇っています。自走式高所作業車、橋梁(きょうりょう)点検作業車なども扱い、電力、レンタル、通信、鉄道業界などが主要ユーザーです。製品販売後のメンテナンスなども収益源となります。


     2026年3月期第2四半期(4-9月期)営業利益は22.8億円で前年同期比17.1%減となっています。シャシ認証問題によるトラックマウント式繰越売上の影響で減収減益となりましたが、7-9月期は増益に転じています。


     2026年3月期通期では76億円で前期比2.1%増の見通しです。上半期末の受注残高が積み上がっており、下期に向けて挽回が期待できる状況のもようです。売価改定効果なども織り込んでいます。


     年間配当金は前期比5円増の60円を計画しています。


     2025年3月期末の現預金は468億円、一方で長・短借入金はゼロで、ネットキャッシュは468億円の水準となります。総資産比で46.70%の水準にあるほか、時価総額比では45.85%の水準にあります。


     株主還元方針としては、安定的に向上させることを基本に、配当性向60%以上を基準としています。2026年3月期は7期連続での増配見通しとなっています。


     注目点は、2025年3月に資本提携を行って伊藤忠商事が筆頭株主となっていることです。中期計画で掲げている海外事業売上拡大に向け、今後のシナジー発現が期待できると考えます。


    5 SANKYO(6417・東証プライム)

     パチンコ・パチスロ機の大手メーカーです。1980年に開発したパチンコ機「フィーバー」が大ヒットするなど、開発力の高さに定評があります。


     2026年3月期第2四半期(4-9月期)営業利益は390億円で前年同期比7.6%増となっています。人気アニメ作品との新規タイアップ機、「LT3.0プラス」搭載機種の業界第1弾投入などラインアップ充実によって、パチンコ機が販売を伸ばしました。


     2026年3月期通期では630億円で前期比14.4%減を見込んでいます。パチスロ機の販売スケジュールに遅れが生じる可能性も、パチンコ機の販売は上振れが見込める状況でしょう。


     年間配当金は前期から10円減の90円を計画しています。


     2025年3月期末の現預金は1,800億円。一方で長・短借入金はゼロで、ネットキャッシュは1,800億円の水準となります。総資産比で53.48%と極めて高水準にあるほか、時価総額比でも27.29%の水準にあります。


     株主還元方針としては、配当性向40%を目安とした業績連動型配当を行うとしており、2026年3月期は業績上振れに伴う増配の余地がありそうです。


     ただ、業績変動リスクの大きい業界だけに、累進配当の導入などは望まれるところです。2025年12月にかけて大規模な自社株買いを行いましたが、良好な財務体質を背景に今後も機動的な自社株買いが実施される可能性はあるでしょう。


    (佐藤 勝己)

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