清掃バイトから外資系証券会社のアナリストへ、そして国会議員へ! ハリウッド映画のようなインパクトのある半生を経た杉村太蔵さんは今、実業家・投資家として着々と成功を収めている。今の高市政権をどう見るか、今後の日本経済の行方は? フリーターも経験した太蔵さんだからこそ語れる「今」と「未来」を伺った。


杉村太蔵さんインタビュー 日経平均8万円は通過点。今は「第2...の画像はこちら >>

杉村太蔵さんプロフィール

杉村太蔵さんインタビュー 日経平均8万円は通過点。今は「第2次高度経済成長期」だ!
1979年、北海道旭川市生まれ。2005年、第44回衆議院議員総選挙に自由民主党公認で出馬し、初当選。現在はタレント、投資家、実業家として多方面で活躍。自身の経験に基づいた「国策」と連動する投資哲学を提唱している。1月28日に『杉村太蔵の推し株「骨太」投資術』(文藝春秋)発売。

第2次高度経済成長期が到来!バブル崩壊はない!?

トウシル:まずは、現在の日本市場を、杉村さんがどうご覧になっているか、これまでのさまざまなご経験を経て、投資でも大成功しているからこそ見えている風景を、ぜひ伺わせてください。


杉村さん:私は今、多くの日本人が「歴史的な転換点」にいることに気づいていないんじゃないか、と危惧しているんです。


 投資で最も重要なのは「これからどう変化するか」を予測することです。そのためには、過去の歴史を学び、現在の日本がどこに立っているのかを客観的に把握する必要があります。


 昨年は、戦後80年、そして昭和100年という大きな節目の年でした。日本経済史を振り返れば、戦後の復興期、高度経済成長期、バブル期、バブル崩壊後の長いデフレ脱却期がありました。しかし、この潮目は2022年から明らかに変わりました。私は今を「第2次高度経済成長期」だと定義しています。


トウシル:「高度経済成長」ですか! ちょっと意外な単語が出てきましたね…!


杉村さん:私はかつて、父から「昔はうどん1杯30円だったのが、いつの間にか300円になった」という話を聞いて育ちました。それが第1次高度経済成長期です。現代は、おにぎり1個が100円から200円に値上げする時代であり、今後はさらにモノの価格は上がっていくでしょう。


 2025年末に対談したエミン・ユルマズさんも「おにぎりはいずれ1,000円になる」とお話しされていましたが、私も同感です。


 この値上がり現象は、経済が力強く回り始めた証拠だと私は捉えています。

岸田政権からの「資産運用立国」宣言や新NISA(ニーサ:少額投資非課税制度)の導入は、全てはこの成長期の上に国民を自立させるための準備運動だったんですよ。


トウシル:一方で、日経平均5万円を突破するほどの株価の高騰に、バブル崩壊の再来を懸念する個人投資家も少なくないようです。杉村さんは今の高騰をどのように見ていますか?


杉村さん:一つ言えるのは、バブル崩壊時と今では「ルール」が全く違うということです。最大の鍵は、2000年7月に設立された「金融庁」の存在です。バブル期の銀行は無軌道に金を貸し、それが巨額の不良債権となって日本経済をまひさせました。そうした事象を踏まえ、2000年に金融庁が発足して以降、銀行や証券会社は金融庁に徹底的に監督されています。


 金融庁の使命は「絶対にバブルを起こさせず、バブル崩壊もさせない」ということです。この「金融監督行政」の有無は、経済の安定性に天と地ほどの差を生みます。今の慎重なかじ取りを見れば、日経平均8万円、10万円といった数字は、実態を伴った成長のプロセスにおける通過点だと言えるでしょう。


杉村太蔵さんインタビュー 日経平均8万円は通過点。今は「第2次高度経済成長期」だ!
1月28日発売の『 杉村太蔵の推し株「骨太」投資術 』には、清掃会社の非正規バイトとして真面目に働いている間に才覚が認められ、外資系証券会社の正社員にスカウトされて証券アナリストとなったエピソードが印象深い。その後、郵政解散を受けて行われた2005年9月の第44回衆議院議員総選挙で、比例南関東ブロックから出馬し、小泉チルドレンとして政界デビューを果たすまでのドラマチックな展開は息をのむ興味深さ。フリーターも経験した広い視野で、独自の政治的・経済的分析に基づいた「超一流」の投資スタイルは、多くの投資家から注目を集めている。

高市政権の「危機管理投資17分野」、国策こそが最高のカンニングペーパー

トウシル:高市政権になり、経済政策はどう変化していくと予測されていますか?


杉村さん:私は経済財政諮問会議で議論されてきた「骨太の方針(経済財政運営と改革の基本方針)」をずっと読み続けているんですが、実は岸田政権、石破政権、そして高市政権を通じて「資産運用立国を目指そう」というメッセージは一貫していると見ています。


 高市総理になって明確になったのは「危機管理投資」というキーワードです。高市さんは「日本成長戦略会議」を立ち上げ、重点投資対象としての17の戦略分野を掲げました。


杉村太蔵さんインタビュー 日経平均8万円は通過点。今は「第2次高度経済成長期」だ!
内閣官房ホームページ「 日本成長戦略本部/日本成長戦略会議 」より抜粋

 この17分野は、今の日本経済にとっての最大の課題であり、弱点です。

ここを補強しないと国が立ち行かなくなるという分野を、官民一体で伸ばそうとしています。投資家にとって、これは国が答えを教えてくれている「最高のカンニングペーパー」と言ってもいいと思いますよ。


トウシル:17分野が課題であり弱点とは…。これからの日本はやることが多すぎる気がします。


杉村さん:その通りです。だからこそ私が今年の骨太の方針で注目しているのは、この17分野のうち政府がどこを最優先課題として捉えるかです。


 17個全部を均等にやるのは不可能である中で、どこから手をつけていくかという優先順位が明確に伝わってくれば合格と言っていいと思いますね。「全部やります!」ではなく、何が最優先であるかと示されるなら、そこが2026年の最強セクターになります。


新NISAは「新しいトリクルダウン」の受け皿。給与所得と配当所得が分かつ格差とは

トウシル:杉村さんは、新NISAを「新しいトリクルダウン*」だと表現されていますね。


*トリクルダウンとは:富裕層や大企業が経済活動を活性化させることで、その結果として低所得層にも富が行き渡るという考え方


杉村さん:それこそが新NISAの本質です。2000年から2025年までの財務省の法人企業統計を見てください。

上場・非上場合わせた企業の純利益は10兆円から80兆円へと8倍に増えました。内部留保は300兆円も積み上がっています。一方で、私たちの給料はほとんど変わっていません。さらに法人税収が横ばいなのに対し、消費税収は2.4倍に増えています。


 これが何を意味するかというと、企業は空前の利益を上げているのに、庶民の負担だけが増えて富が下に降りてこなかったということ。これが「失われた30年」の正体です。


トウシル:かつての自民党が掲げた「トリクルダウン」は失敗した、ということでしょうか。


杉村さん:失敗とは言い切れませんが、シャンパンタワーが途中で止まってしまったのは間違いないでしょう。政府もそれを理解しているからこそ、岸田さんは「企業に給料を上げろとお願いしても限界がある。


 国民が直接株主になって、企業の利益を配当として受け取ってほしい。その配当には税金をかけないから」というメッセージを込めて新NISAを打ち出したんです。これが、国が用意した新しいトリクルダウンの受け皿であると私は捉えています。


杉村太蔵さんインタビュー 日経平均8万円は通過点。今は「第2次高度経済成長期」だ!
日本のいわゆる「所得中間層」が真っ二つに分かれる時代が近い、と杉村さん。「上に残りたいか、下で我慢するか…。今が、今後の人生を選ぶべき時。第2次高度成長期の波に乗れるか、置いていかれるかで、あなたの人生の『後半戦』は決まります」

 私と同世代の就職氷河期世代は、分厚い中間層です。その中間層の中で、今後は「中の上」と「中の下」に大きな格差が出てくるでしょう。その差を生むのは、給与所得だけの人か、それとも「配当所得」もある人か、という違いです。


 給与所得を上げるのはこれからの時代、非常に難しい。だったら、もうかっている企業の株を買い、配当という形で富を分配してもらうのが正解です。国が「配当の2割の税金はいらない」と言っている今こそ、私たちはこの富の受け皿を自ら用意しなければならないんです。


「良い投資家」=「良い有権者」。日本を良くする資産運用とは?

トウシル:具体的にどう運用すべきか、杉村さんの投資哲学を教えてください。


杉村さん:私は資産運用における「資産形成」と「投資」を明確に分けて考えています。資産形成は「守り」であり、老後の備え。三菱商事伊藤忠商事のような、キャッシュが潤沢で優秀な人材が集まる最強の組織に「自分の代わりに働いてもらう」感覚です。


 一方、「投資」は攻めであり、社会課題の解決への参加です。

国策と連動し、日本の弱点を克服しようとする企業に応援の資金を投じる。例えば、私が注目している 北海道電力(北電:9509) がそうです。


トウシル:北電は、指標だけを見ると厳しい状況にも見えます。どのような点に注目しているのでしょうか。


杉村さん:最悪の状況だからこそ、解決した時の夢があるんです。北海道にラピダスの工場ができ、データセンターが進出し、泊原発が再稼働し、洋上風力発電が軌道に乗れば、電力供給力は現在の3倍に達する可能性があります。すなわち、北海道がアジア最大のクリーンエネルギー供給地へと変貌するんです。


 社会課題が解決されるプロセスで、株価は劇的に変わります。これがワクワクするような「投資」の本質です。あまりリスクを取りたくない人は資産の8割で資産形成、2割で投資。これが半々でできるなら10年で資産を5倍、投資にフルシフトできるなら10年で10倍も夢ではありませんよ。


杉村太蔵さんインタビュー 日経平均8万円は通過点。今は「第2次高度経済成長期」だ!
最新刊『 杉村太蔵の推し株「骨太」投資術 』には、2026年の高市政権が目指す経済の行方、そして「資産形成」と「投資」を明確に分ける杉村流の極意が詰め込まれている。2026年1月28日発売/文藝春秋/1,870円(税込)

トウシル:北電の例は非常にワクワクしますね。

そして杉村さんの理論なら、資産10倍も不可能ではないと。


杉村さん:そうです。ここで私が新刊の中でも特に、これだけはまねしてほしいと伝えたい極意を付け加えさせてください。


トウシル:ぜひお願いします! 一番教えたいこととは何でしょうか。


杉村さん:はっきり言いますけど、素人は「いくらで買うか、いくらで売るか」を考えがちですが、日経平均がこれだけ上がった今、買えるタイミングはありますか?


「4万5,000円まで下がったら買おう」と思っているうちに、株価はどんどん先へ行きます。逆に4万円まで下がったら下がったで「もっと下がるんじゃないか」と怖くなり結局買えません。価格を気にしてしまうと、いつまでも買えなくなってしまうんですよ。


 これは売る時も同じです。100万円投資して120万円になったとしましょう。「今売れば20万円もうかる」という誘惑が襲ってくるからです。しかし考えてみてください。その20万円で、あなたの老後はなんとかなるんですか? 20万円で人生が変わるわけじゃないでしょう。実は資産運用で一番つらいのは、含み損の時より「含み益」が出ている時なんです。


 私がプロとして、超一流の資産運用の人間としてお伝えしたいのは、「いくら」ではなく「いつ」売るかを大事にしてほしいということです。


トウシル:含み益があるからこそ苦しいのは盲点でした。では、その「いつ」の正体とは何なのでしょうか…?


杉村さん:ズバリ「働いて収入を得られなくなった時」です。これが私の言う、資産運用の世界における「老後」の定義です。


 私は今46歳ですが、頑張って75歳、80歳まで働きたいと思っています。人生100年時代、2026年になれば70歳雇用も当たり前になるでしょう。そう考えると、本当の意味で給与所得がなくなるのはずっと先です。


 だから私は、働けなくなるその日まで、株価が上がろうが下がろうが目をつぶってコツコツ買い続けます。そして、所得がなくなった時に、初めて少しずつ売っていきます。


 この「いつ売るか」という出口戦略が定まっていれば、日々の値動きに一喜一憂しなくて済みます。私が本の中で本当に伝えたかったのは、この「資産形成」と「投資」の使い分け、そして「いつ売るか」なんです。


トウシル:「資産形成」はあくまで自分の老後、つまり働けなくなった時のための資金確保だということですね?


杉村さん:そうです。皆さんがまずは資産形成をしたいと考えるなら、自分の老後のために安定企業に働いてもらい、自分も現役として働き続け、買い続けてください。一方で「投資」は、社会課題を解決しようとする企業を応援し、その成長の果実をいただきましょう。この二つを完全に分けて考えられるようになれば、投資はもっとシンプルで、楽しいものになりますよ。


杉村太蔵さんインタビュー 日経平均8万円は通過点。今は「第2次高度経済成長期」だ!
急騰する日経平均株価、「売り時」「買い時」に迷う投資家も多い中、短期的な「いくらで売るか」に惑わされてはいけない、と杉村さん。「売るのは人生の最後でいい」という進言は、本当の意味での「長期投資」に立ち返らせてくれる。

トウシル:投資家の迷いを断ち切る一言に納得です。最後に、これから投資を始めるトウシル読者へメッセージをお願いします。


杉村さん:投資を始めると、必ず「骨太の方針」のような政策に関心を持つようになります。実はこれらの文書は、18歳以上の有権者なら誰でも読めるように、高校卒業程度の方なら十分理解できるような言葉で書かれているんです。


 投資を通じて社会を知り、国の予算の使い道を厳しい目でチェックすれば、おのずと伸びる業界が見えてきます。つまり、良い投資家になるということは、良い有権者になるということなんですよ。


「明るい日本!」などという中身のないスローガンにだまされず、数字とデータで国を見ましょう。その姿勢こそが、結果的にあなた自身の資産を守り、より良い日本をつくることにもつながります。私のやり方はマネーゲームではなく、日本という国の成長を信じ、国策という大きな流れに乗る、最も日本人に合った方法だと自負しています。


トウシル:杉村さんの投資術、その具体的な手法は新刊『杉村太蔵の推し株「骨太」投資術』に詳しく書かれているそうですね。


杉村さん:その通りです。資産500万円を最低で5倍、そしてさらに10年で10倍にすることを目指す具体的な戦略など、語り尽くせなかった「骨太」な内容を全て詰め込みました。勇気を持って一歩を踏み出し、私と一緒にこの第2次高度経済成長期を謳歌(おうか)しましょう!


杉村太蔵さんインタビュー 日経平均8万円は通過点。今は「第2次高度経済成長期」だ!
楽天Koboからの購入者だけの特典もあり。令和を勝ち抜く投資術を学ぼう。『 杉村太蔵の推し株「骨太」投資術 』2026年1月28日発売/文藝春秋/1,870円(税込)

(トウシル編集チーム)

編集部おすすめ