J-REITを駆使した「鉄壁の守り」でFIRE生活を謳歌(おうか)する個人投資家・かつさんどさん。元海外有名ブランド社員という華やかな経歴を持ちながら、その投資スタイルは驚くほど堅実かつ論理的です。

前編では、FXやデイトレードで消耗していた彼が、いかにして不動産投資重視のスタイルにたどり着いたか、その半生と投資哲学に迫ります。


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かつさんどさんプロフィール

「投資界の大谷翔平にはなれない」元アパレル社員がFIREできた理由:REIT投資家・かつさんどさんインタビュー前編
愛知県名古屋市在住の専業投資家。幼少期から投資に興味を持ち、20代前半で投資を始める。FXやデイトレードを経て2010年代前半に不動産投資を開始。2018年にサイドFIREを達成。FIRE後はJ-REIT(ジェイ・リート:不動産投資信託)をメインとし、徹底した「守りの投資スタイル」を貫く。不動産クラウドファンディング情報サイト「トチクモ」を運営。2025年から、一般社団法人不動産クラウドファンディング協会及び一般社団法人不動産特定共同事業者協議会の「自主規制ルール検討会」(オブザーバー:国土交通省、金融庁など)委員となる。著書:「 世界一やさしい REITの教科書 1年生 」/2024年4月23日発売/かつさんど(著)/ソーテック社/1,738円(税込)

アニメより株式ニュース。東芝の株価に魅せられた少年時代

トウシル:かつさんどさんは現在、国内の不動産投資信託(J-REIT)を中心としたインカムゲイン(配当収入)重視のスタイルでFIRE生活を送られています。著書『世界一やさしい REITの教科書 1年生』を拝読しましたが、そもそも投資に興味を持たれたきっかけが「幼少期」とあり、謎でしかありません(笑)。どれくらい幼いころから、投資に興味を持たれたのでしょうか?


かつさんどさん:そうなんです、本当にちょっと変な子どもだったんですよ。小学生時代、周りの友達が「アンパンマン」や「ドラえもん」を見ている頃、私が好きだったテレビ番組は「株式ニュース」だったんです。


トウシル:ええ? なぜそんなことになるんでしょう? 小学生にしては随分と渋いですね。


かつさんどさん:私の実家は名古屋なんですが、平日夕方にテレビ愛知で株式ニュースを放送していたんです。


トウシル:ちょうどアニメの再放送をしている時間帯ですよね。


かつさんどさん:はい(笑)。ただひたすら、画面の中で株価がスクロールしているだけの番組なんですが、それがたまらなく面白くて。当時、実家の家電に東芝製品が多かったものですから「今日の東芝は1円下がってる」とか「今日は2円上がったな」とか、ひたすらに東芝の株価をチェックしていました。


「投資界の大谷翔平にはなれない」元アパレル社員がFIREできた理由:REIT投資家・かつさんどさんインタビュー前編
毎日くるくる変わる数字に夢中になったという、自称「ちょっと変わった子」だったというかつさんどさん。親族に投資をしている方などもおらず、突然変異的に誕生した「投資家の卵」だった様子

トウシル:かつさんど少年は、株価のどのようなところに興味を引かれたんでしょうか。


かつさんどさん:小学生ですから、もちろん会社の仕組みなんて全然分かっていません。ただ「昨日は100円だったものが今日は101円になっている。世の中は何も変わっていないのに、なぜ数字だけ動くんだろう?」という不思議さが気になってしかたなかったんです。


 算数が得意だったわけでもないんですが、毎日変動する数字の向こう側に、何か面白い世界があるような気がしていました。


トウシル:実際に投資を始めたのはいつごろですか?


かつさんどさん:20代前半の就職前後の時期ですね。当時は今ほど投資信託やFXといった商品は一般的ではなく、ネット証券も黎明(れいめい)期でした。知識も情報も少なく、証券会社に口座さえ開けば誰でも参加できる株式投資だけが、唯一自分にもできそうな手段でした。


華やかなハイブランドの世界で感じた他責への違和感

トウシル:大卒で就職された先は、金融業界ではなくアパレル業界だったそうですね。なぜその業界を選んだのでしょう。


かつさんどさん:いろいろな業種を受けていて、携帯電話会社の最終面接まで進んでいたんですが、辞退して海外の有名ラグジュアリーブランドに入社しました。なんとなく…としか言えないのですが、自分は「サラリーマン」という生き方に向いていないな…と自覚していました。就職してもきっとつらい思いをするだろうと。


 だから、「どうせ働くなら自分が好きな服や靴に囲まれていたい」と思い、アパレルを選びました。

また、ラグジュアリーブランドのお客さまの多くは富裕層の方々です。接客を通じて交流する中で「どうすればこの方たちと同じステージに行けるのか?」ということを肌感覚で学びたかったというのもあります。


トウシル:実際に働いてみていかがでしたか?


かつさんどさん:入社して1週間で「あ、これダメだ、すぐ辞めたい」と思いました(笑)。


トウシル:1週間ですか(笑)。何があったんですか?


かつさんどさん:職場の文化になじめなかったんです。例えば、店舗の売上が前年より悪いとします。すると、先輩たちは「今年は暖かいからコートが売れない」「雨が降ったから客足が遠のいた」と、何かのせいにし始めるんです。


 会議資料も、いかに自分たちの成績が悪くないように見せるか、グラフのメモリを調整するようなことに注力していて…。その姿を見ているうちに「不毛だなあ」と考えるようになったんです。


トウシル:そういう会社にたまたま当たってしまったんでしょうね。


かつさんどさん:皆さん、良い人たちなんですが、仕事に関してはとにかく他責でした。しかし、私は子ども時代から「自分の人生の責任は自分で負いたい」という気持ちを強く持っていました。

幼稚園の頃、クラスがうるさくて先生が怒って教室を出て行ってしまった時にも、一人で職員室まで謝りに行くような、変な正義感を持った子どもだったんですよ(笑)。


トウシル:ここでも「変な子ども時代」エピソードが(笑)。しかし、一本筋を通す性格は大人になっても変わらなかったのですね。


かつさんどさん:ええ。だから、うまくいかないことを環境や他人のせいにする空気にどうしても耐えられませんでした。そこでふと気づいたんです。投資の世界こそ、究極の自己責任(自責)の世界だと。


トウシル:確かに!


かつさんどさん:投資なら成功するも失敗するも全て自分の判断次第であり、上司の顔色をうかがう必要もありません。その考えが心に浮かんだ日から、会社員を続けながら投資を続け、いずれ投資だけで食べていきたいという熱量を高めていきました。


 まだ当時はFIRE(Financial Independence, Retire Earlyの略。経済的自立と早期リタイア)という言葉はありませんでしたが、経済的な自立と早期のリタイアは明確な目標になりました。


「無理ゲーじゃないか?」怪物だらけの投資界で見つけた自分だけの戦い方

トウシル:会社員時代はどのような投資をされていたんですか?


かつさんどさん:当時はまだ資金も少なかったため「手っ取り早く増やしたい」という欲が強く、株のデイトレードや先物取引、FXなど、キャピタルゲイン(売買差益)を狙った短期売買を中心にしていました。


トウシル:攻めの投資ですね。

勝率はどうでしたか?


かつさんどさん:トータルで見れば悪くはなかったのですが、高いとはいえませんでした。勝つときは大きく勝てるんですが、負けるときはドカンと負けます。特に先物取引ではレバレッジをかけていましたので、一瞬で給料の何カ月分ものお金が溶けることもありました。「次こそは取り返す!」と熱くなって、冷静な判断ができなくなる…もうギャンブル脳でしたね。


「投資界の大谷翔平にはなれない」元アパレル社員がFIREできた理由:REIT投資家・かつさんどさんインタビュー前編
投資こそ、究極の「自己責任」。自分が稼いだお金を自分の判断で投資し、勝っても負けても自分の成果となる。自分の性格にマッチした世界で「戦う」ことを決意したかつさんどさんだが、投資開始時は「ギャンブル脳」で負けた経験も多かったそう。ただし、負けた経験が、次のステップへ進むきっかけをつくってくれた

トウシル:その時期は精神的にもきつかったのでは?


かつさんどさん:消耗しましたね。平日の休みをフルに使ってトレードしていましたが、ふと冷静になった時に気づいたんです。「プロと同じ土俵で戦うのは無理ゲーじゃないか?」と。


トウシル:無理ゲー、ですか。


かつさんどさん:投資の世界って特殊なんですよ。例えば野球なら、昨日始めた素人が大谷翔平選手のいるメジャーリーグの試合に出るなんてあり得ないじゃないですか。


 でも、投資の世界では、大ベテランとルーキーが同じ土俵に立つようなことが毎日起こっています。何百億円、何千億円という資金を動かす機関投資家や、百戦錬磨のプロトレーダーと同じマーケットで、われわれのような初心者の個人投資家も戦わなければいけないんです。


トウシル:確かに… 言われてみれば、恐ろしい環境ですね。


かつさんどさん:AIやアルゴリズム取引が飛び交う中で、個人のスマホトレードで勝ち続けるなんて、再現性が低すぎます。運良く勝てることはあっても、それを10年、20年と続けるのはとても現実的とは思えません。「自分は投資界の大谷翔平にはなれない」。そう痛感して、投資スタイルを見直す必要性を感じ始めました。


運命を変えたタワマン購入、そしてFIREへ

トウシル:転機が訪れたのはいつごろでしょうか?


かつさんどさん:2010年代前半ですね。名古屋でタワーマンションを購入したことが大きなターニングポイントになりました。


トウシル:タワマンですか。マイホーム購入ですか?


かつさんどさん:いえ、住居兼用にはしていましたが、目的は完全に投資です。当時、名古屋駅周辺で再開発が進んでいました。本来は市の条例で駅周辺はタワマンを建てられないのですが、例外で建設される一棟を見つけました。


 この先、このエリアに新たなタワマンが建つことはありません。「ここは絶対に価値が上がる」という確信がありましたので、住宅ローンを借りて購入しました。


トウシル:投資家の視点ですね。結果はどうでしたか?


かつさんどさん:アベノミクス以降の不動産価格上昇の波にうまく乗り、購入時よりも数千万円高く売却することができました。その売却益と、それまでコツコツためてきた資金を合わせると、ある目標金額に達したんです。


トウシル:目標金額…? いよいよFIREできる見通しが立ったと?


かつさんどさん:はい。いわゆる「*トリニティ・スタディ」で示された「生活費の25倍の資産を築き、年4%で運用すれば資産を減らさずに暮らせる」という、いわゆるFIREの4%ルールです。計算してみたら、「あれ、これ会社辞めても生きていけるんじゃないか?」と。


*トリニティ・スタディとは…1998年、米国・テキサス州のトリニティ大学の教授によって発表された研究論文。引退後の生活費を維持するために、ポートフォリオから年間4%を引き出すのが安全、という「4%ルール」を提唱。


トウシル:会社員としてのキャリアに未練はなかったですか?


かつさんどさん:全くありませんでした(笑)。先ほど言った通り、会社員生活はずっと「適応しようと努力する期間」だったので。2018年に退職届を出して、晴れて自由の身になったという気分でしたよ。


資産を「増やす」から「守る」へ。たどり着いた答えがJ-REIT

トウシル:念願のFIRE達成ですね! ただ、会社を辞めると毎月の給料という安定収入がなくなりますよね。不安はありませんでしたか?


かつさんどさん:もちろんありました。だからこそ、FIREの前と後で、投資スタイルを180度変えたんです。


トウシル:具体的にはどう変えたのですか?


かつさんどさん:「資産を増やす投資」から「資産を守る投資」へのシフトです。デイトレードのようなキャピタルゲイン狙いの投資は、どうしても「運」の要素が絡みます。


 幸いこれまでの投資では、負けっぱなし、というわけでもなく、一定の成果を上げていましたが、FIRE後の生活資金を運に委ね、大きく資産を減らすわけにはいきません。必要なのは、自分が寝ていても遊んでいても、チャリンチャリンと入ってくる定期収入、「インカムゲイン」です。


トウシル:そこで目をつけたのが不動産だったんですね。


かつさんどさん:はい。富裕層の方々を見ていても、ほとんどの方は資産のベースに不動産をお持ちでした。ただ、現物不動産は管理が大変ですし、流動性も高くありません。欲しいときに手に入れられず、不要になっても手放せないのは、安定した資産運用を実現するには大きなリスクでした。そこでたどり着いたのが「J-REIT」です。


「投資界の大谷翔平にはなれない」元アパレル社員がFIREできた理由:REIT投資家・かつさんどさんインタビュー前編
投資界の「大谷翔平」にはなれなくても、大谷翔平レベルの「物件」を見つけてそこに投資すればいい。タワマン購入で目覚めたREITの魅力を、できるだけ多くの人に知ってほしい!と語るかつさんどさん

トウシル:読者の中には、株式投資はしていてもREIT(リート)についてはあまり詳しくないという方も多いと思います。改めて、どのような仕組みの商品なのか教えていただけますか?


かつさんどさん:簡単に言えば、「不動産の投資信託」です。たくさんの投資家から資金を集めて、オフィスビルやマンションなどの不動産を購入し、そこから得られる賃料収入や売却益を投資家に分配する金融商品です。一つの銘柄で複数の不動産物件に投資しているため、REITへの投資が分散投資になるという特徴があります。


トウシル:現物の不動産投資とは何が違うのでしょう?


かつさんどさん:最大の違いは「手軽さ」と「流動性」です。現物の不動産を買うには多額の資金やローンが必要ですが、J-REITなら数万円から購入可能です。しかも証券取引所に上場しているので、株と同じようにスマホでいつでも売買できます。


トウシル:なるほど。資金のハードルが低く、換金もしやすいわけですね。


かつさんどさん:そうです。わずかな投資金額で、六本木ヒルズや高級マンション、有名リゾートのオーナーになれるようなものです。さらには管理の手間はゼロで、運用もプロがしてくれます。


 それでいて、東証REIT銘柄の平均分配金利回りは約4.5%と、日経平均株価採用銘柄の平均配当の2%を大きく上回ります。これらの条件から、J-REITこそが個人投資家が選べる「鉄壁の守り」だと確信しました。


トウシル:鉄壁の守り…! 非常に興味深いです。具体的にどのような銘柄を選び、どう運用すれば、その鉄壁を構築できるのでしょうか? ぜひ後編で詳しく教えてください!


▼後編はこちら

利回り4.5%超!新NISA成長投資枠はJ-REITの指定席!:REIT投資家・かつさんどさんインタビュー後編


(トウシル編集チーム)

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