ラグビーワールドカップ、東京オリンピック・パラリンピックの特別仕様に次ぐ、新たな全国版「図柄入りナンバープレート」の導入が検討されています。既存の全国版で圧倒的人気の「軽自動車の白ナンバー」も、実現するのでしょうか。
国土交通省が2020年10月30日(金)、第3回「新たな図柄入りナンバープレートの導入に関する検討会」を開催しました。
これは、自動車のナンバープレートにおいて、ラグビーワールドカップ(2019)、東京オリンピック・パラリンピックの特別仕様ナンバープレート(以下、ラグビーナンバー、オリパラナンバー)に次ぐ、新たな「全国版」図柄入りナンバープレートの在り方を検討するものです。なお、ラグビーナンバーは2019年11月で申し込みを終了しましたが、オリパラナンバーは大会の延期にともない、申し込み期間が2021年9月末まで1年延長されています。
国土交通省自動車情報課によると、新たな「全国版」は、特定のスポーツイベントなどの開催機運を盛り上げるためでなく、新型コロナを踏まえ、「日本を元気に!」「立ち上がれ!美しい日本」といったテーマで、恒久的なものとする予定だそうです。
図柄なしのオリパラナンバーをつけた軽自動車。いわゆる「軽自動車の白ナンバー」(2019年1月、中島洋平撮影)。
ただ、これまでの図柄入りナンバープレートを踏まえ、課題も浮上しています。そのひとつが「視認性」です。
国土交通省自動車情報課によると、新たな全国版ナンバーでは視認性の観点から、ラグビーナンバーとオリパラナンバーで取得できる「軽自動車の白ナンバー」を設定しない方針だそうです。
番号で軽かどうか判別できると考えられたが……ラグビーナンバー、オリパラナンバーでは、申し込み時に寄付をすれば、白地のプレートに大きく図柄が、寄付をしない場合は、図柄なしで右上に小さく大会のエンブレムが入ったものが交付されます。このうち軽自動車(自家用)の「図柄なし」ナンバーは、軽自動車でも白地のものが得られることから、圧倒的な人気を誇っています。
オリパラナンバーの場合、登録車(自家用/事業用)と軽自動車(自家用のみ)を合わせた申し込み枚数206万7804枚のうち、実に175万7223枚が軽自動車用の「寄付なし」、つまり「軽自動車の白ナンバー」という状況(2020年9月末現在)。
これについて、当初はナンバープレートの分類番号(プレート右上の3桁数字)で軽自動車か普通車かを見分けられると考えられたものの、有人の有料道路料金所で判別しにくいなどの問題が生じたそう。このためオリパラナンバー後に設定された「地方版」の図柄入りナンバープレートでは、軽自動車用の寄付なし(図柄がモノクロになる)はプレートの外周に黄色い枠が施されました。

オリパラナンバーをつけた事業用車(都営バス)。プレートの外側に緑色の枠が施されているが、プレートフレームを装着すると枠が見えにくくなる(2018年12月、中島洋平撮影)。
同様に、登録車の事業用ナンバープレート(通常は緑地に白地)は、ラグビー、オリパラとも外側に緑の枠が施されていますが、やはりプレート自体が白く事業用車と判別しにくいことから、地方版図柄入りでは緑枠の色が濃くなっています。
しかし、こうした外枠は、プレートフレームを装着すると判別が困難になるとの指摘もあることから、たとえば「色枠プラス何かアクセントをつけることなどが考えられます」(国土交通省自動車情報課)とのことです。
「見やすさが軽視されている」指摘も検討会ではこのほかにも、「デザインよりも視認性を重視すべき」「可読性を高くする必要がある」といった指摘がなされています。
そもそもデザインのために番号が読みにくく、「有事の際、瞬時にナンバーを読み取れることが重要」「ナンバープレートの本来の目的である見やすさが軽視されている」といった指摘も。軽自動車の白ナンバーについては、「ひき逃げや当て逃げがあった場合、軽四輪は黄色のナンバーの方が警察や目撃者も分かりやすいと思う」という意見も見られます。
このため、新たな「全国版」のデザイン策定にあたっては、ナンバープレートの視認性に配慮したデザイン作成に関するガイドラインを設ける方針です。これについて資料では、「これまで図柄入りナンバープレートのデザインについては、過度にデザインを制約することになるため、色味等の基準は示してこなかったが、デザイン制作過程における手戻りを防ぎ、視認性に配慮したデザインの提案がなされるよう指針として示すものである」とされています。