全国58地域で交付されている「地方版図柄入りナンバープレート」について、他地域の図柄を取り入れられるようにすることが検討されています。たとえば熊本ナンバーの「くまモン」柄を、品川ナンバーに取り入れることもできるのでしょうか。
熊本ナンバー地域で展開されている「くまモン」を使ったナンバープレートの図柄を、品川のナンバープレートに導入するといったことが、今後、可能になるかもしれません。
国土交通省が2020年10月30日(金)、第3回「新たな図柄入りナンバープレートの導入に関する検討会」を開催し、そのなかで、現在交付されている「地方版図柄入りナンバープレート」の今後について話し合いました。
「地方版図柄入りナンバープレート」は2018年10月から41地域で交付が始まり、2020年5月には、新たに「ご当地ナンバー」が創設された17地域(知床、江東など)が追加、計58地域で展開されています。地域ゆかりの物産や観光名所などを図柄にし、地域の「走る広告塔」としての役割が期待されているものです。
地方版図柄入りナンバープレートで申し込み件数が突出している熊本ナンバーの図柄(部分)。「くまモン」があしらわれている(画像:国土交通省)。
しかし、その申し込み件数は地域によって大きな差が存在します。2020年9月末時点の申し込み件数は、熊本ナンバーの図柄入りが全国最多となる2万552件(登録車、軽自動車の合計。以下同)、次いで福山ナンバーの図柄入りが1万3757件ですが、最下位の世田谷ナンバーは、2年でたった387件という状況です。
なお、熊本ナンバーの図柄は県のキャラクター「くまモン」が、福山ナンバーは広島カープのキャラクター「カープ坊や」があしらわれていることから、これらは他地域と比べて申し込み件数が突出しています。
これに関して国の検討会では、「交付期間を設けておらず、図柄変更も認めていないことから、人気のない地域については、広告塔としての効果が十分に発揮されない状況が続いている」といった意見が出されました。
そこで、今後の論点のひとつとして、「他地域の図柄を付けられるようにする」という話が浮上しています。
検討会では現状の課題として、「継続需要を確保するためには、導入後においても導入地域自治体等における継続的な普及活動が重要」「導入地域でしか取り付けることができないため、付けたい図柄があっても他地域のユーザーは取り付けることができない」といったことが挙げられています。これに対応するものとして、次のような論点が示されています。
・交付開始後に導入地域の判断による図柄変更を認めるような制度の必要性。
・導入地域ごとに申込件数、普及率の目標値を設定させ、目標値達成のための普及促進活動等を自治体等の関係者に促す制度の必要性。
・ふるさと納税のような、他地域の図柄を付けられるようにする必要性。
国土交通省 自動車情報課によると、自動車の登録地に応じた地域名は変えられないものの、たとえば熊本ナンバー地域に寄付をすることで、品川ナンバーに「くまモン」の図柄を導入するといったことが考えられるとのこと。その問題点なども含めて、今後検討していくといいます。

熊本に次ぐ人気を誇る福山ナンバーの図柄。「カープ坊や」があしらわれている(画像:国土交通省)。
ただし、地域による普及活動が十分になされず、申込件数が大きく低迷した場合、自治体のデメリットはないものの「標板(ナンバープレート)製作者側が不良在庫のリスクを負うことになる」という指摘もあります。仮に他地域の図柄を取り入れる場合、その製作や交付の行程から見直しが必要になるでしょう。
また、いわゆる「ご当地ナンバー」については、導入意思がありながら、地域における保有車両数の基準を満たせず、導入できない自治体があるとされています。