JALに籍を置く1機のボーイング787型機は、東京オリンピック・パラリンピックの開催に先駆けて、わずか数日間だけ特別塗装をまとい「聖火輸送」を担当しました。大会が延期になったあと、この機体はどうなったのでしょうか。

3月15日~20日まで姿を見せた異例のB787特別機

 新型コロナウイルスの世界的感染拡大の影響で、延期を余儀なくされた2020年の東京オリンピック・パラリンピック。これにともなって数日間だけ、いつもと違う塗装が施された旅客機がありました。

 JAL(日本航空)に籍を置くボーイング787-8型機「JA837J」は、2020年3月18日から20日までの3日間、オリンピックの聖火をアテネ(ギリシャ)から運んでくる「聖火輸送機」の任に就きました。

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成田空港を離陸する聖火特別輸送機「TOKYO 2020号」(2020年3月17日、乗りものニュース編集部撮影)。

 この「JA837J」、機体こそJALのものではありながらも、聖火輸送のフライトはJAL、そしてANA(全日空)が共同運航。機体には「東京オリンピック」のエンブレム、そしてそれを挟むように、JAL&ANAのロゴが並ぶ特別塗装が施され、「TOKYO 2020号」と名付けられました。

 異例の特別塗装機となった「TOKYO 2020号」ですが、活躍期間も異例です。成田空港からその姿を現したのは3月15日。2日後の17日には成田から羽田に向かい、18日には羽田からアテネに出発。聖火を積んで20日にはアテネから、宮城県の航空自衛隊松島基地に到着しています。わずか5日で、その役目を終えたことになるのです。

役目を終えたあとの「JA837J」どうなった?

「JA837J」は、その後、そして現在はどうなっているのでしょうか。

航空機追跡サイト「フライトレーダー24」によると、20日中に成田空港に戻ったきり、足取りがつかめなくなったとのこと。ちなみに、同機が成田に帰ってきた直後の24日には大会の延期が発表されています。

数日だけ姿を現した異色の特別塗装機 五輪「聖火輸送機」のいま JAL&ANAコラボ

アテネに向け羽田空港を出発する聖火特別輸送機「TOKYO 2020号」(2020年3月18日、乗りものニュース編集部撮影)。

 同サイトで航跡がつかめるようになったのは、約2か月後の5月20日。成田発大連行きのJL829便を担当しました。このときには、塗装がJALの通常塗装、いわゆる「鶴丸」カラーリングに戻っています。そこからは、成田を拠点にして、メルボルン(オーストラリア)、ハノイ(ベトナム)、上海などの国際線を担当。バンクーバー(カナダ)やフランクフルト(ドイツ)など長距離便にも割り当てられています。

 その後、10月31日からは羽田空港を発着する国際線へ拠点を移しているようで、同空港を拠点に上海やホノルル、シドニーなどへもフライトしています。なお、必ずしも旅客便というわけではなく、コロナ禍で増える「旅客機を用いた貨物便」として飛ぶこともあり、国際線が発着する第3ターミナルではなく、貨物ターミナルにその姿を見せることもあるようです。

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