2021年7月就航が予定されている横須賀~北九州間の「東京九州フェリー」。その新造船が新日本海フェリーで先行デビューすると決まった一方、横須賀ではターミナルをめぐっていざこざが起きています。
2021年7月の就航が予定されている横須賀~北九州(新門司)間の「東京九州フェリー」をめぐる状況が、にわかに慌ただしい動きを見せています。
2020年12月には、同航路に投入する新造船「はまゆう」の先行デビューが明らかになりました。グループ会社である新日本海フェリーの関西~北海道航路で、既存船のドック入りにともなう代替として、2021年3月から運用される予定です。
「はまゆう」は全長222.5m、トラック約154台、乗用車約30台を積載できる大型カーフェリーで、新日本海フェリーによると、その後は予定通り東京九州フェリーの就航用に投入するといいます。
三菱重工業 長崎造船所で2020年8月に行われた「はまゆう」命名進水式の様子(画像:新日本海フェリー)。
一方、横須賀では建設中のターミナルをめぐり、港湾関係者や地元住民と市が対立していることが報じられています。
横須賀側のターミナル予定地「新港ふ頭」は、市街地に近く、京急の横須賀中央駅からも歩ける距離です。「記念館三笠」からすぐ近くの海に突き出た埠頭、というとピンと来る人もいるかもしれません。ここは現在、主に自動車輸出の拠点として使われており、船積みを待つ乗用車がズラリと並ぶ光景も見られます。
フェリー就航に向けた工事が始まるなか、港湾関係者からは、この自動車運搬に支障をきたすとして、フェリー就航計画の撤回が求められており、これに応じない市が提訴されています。また、周辺の渋滞などを心配する住民からも反発の声が上がっています。
横須賀市港湾整備課によると、2021年7月の就航スケジュールは変わらず、ターミナルの工事を進めていくといいます。
東京九州フェリーの就航計画では、日曜を除く週6便の運航で、横須賀発は23時45分、北九州着は翌21時00分というダイヤです(北九州発は24時00分、横須賀着翌20時45分)。このため、「新港ふ頭は自動車運搬と共存する計画です。昼間は運搬される自動車が、夜はフェリーを利用するトラックなどが埠頭を使用するイメージです」(横須賀市港湾整備化)と話します。
ただ、市民への説明不足だった点は、市として謝罪しているとのこと。今後、不安解消に向けた環境調査を実施し、早い段階で説明していくといいます。
横須賀側のターミナル建設予定地である新港ふ頭。船積みを待つ自動車が並ぶ(2020年11月、中島洋平撮影)。
北九州側はどうでしょうか。ターミナルは門司港のある企救半島の東側、新門司港地区に建設中です。新門司には阪九フェリーやオーシャン東九フェリー、名門大洋フェリーなどが発着していますが、東京九州フェリーのターミナルは、そのなかで最も海側の埋立地(津村島緑地の南側)に設けられます。
北九州市の港営課によると、荷捌き場などは市が、ターミナル建屋は東京九州フェリーが整備中で、12月中旬時点で建屋の基礎もできてきているそう。
また、東京九州フェリーによると、「はまゆう」と同型の2番船の建造も進んでいるといい、2隻体制で就航するということです。