JR九州が特急「有明」の運転取りやめを発表。およそ半世紀の歴史を持ち、九州の看板列車だった時期もある特急「有明」とは、どんな列車なのでしょうか。

実は初代「スーパー」特急であるなど、特徴の多い列車でもあります。

「スーパー有明」として走った時代も

 JR九州が2020年12月18日(金)、およそ半世紀の歴史を持つ特急「有明」の運転を、2021年3月13日(土)のダイヤ改正で取りやめると発表しました。

 現在、特急「有明」は大牟田駅(福岡県大牟田市)を6時43分に発車し、博多駅へ7時37分に到着する、通勤特急的な性格を持った平日朝1本のみの運転。定期運行されるJRの特急で、もっとも運転本数が少ない列車です。

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特急「有明」に使われている787系電車(2012年、恵 知仁撮影)。

 特急「有明」は1967(昭和42)年に運転を開始。九州の有明海側(熊本県側)を通り福岡と鹿児島の都市間を結ぶ特急列車として、鹿児島本線の代表的な列車になっていきます。

 1987(昭和62)年には、ディーゼル機関車にけん引され、当時はまだ非電化だった豊肥本線に直通するという珍しい運行形態も始まります(熊本駅から水前寺駅まで)。のちには、ディーゼル特急「オランダ村特急」と電車特急「有明」が連結、協調して走るという珍しい運行形態も行われました。

 1988(昭和63)年には、国鉄の分割民営化後初(=JR発足後初)の新型特急車両として登場した783系電車「ハイパーサルーン」による運転を開始。もっとも速い列車は「スーパー有明」という列車名になります。これがその後、全国に広がる「スーパー○○」という特急列車名の先駆けです。

大きな転機を迎えた「有明」の1992年と2011年 そして…

 JR九州の看板列車であった特急「有明」は、1日最大32往復もの運転本数がありましたが、大きな転機が1992(平成4)年に訪れます。

 福岡と鹿児島を有明海側経由で結ぶ列車として1992(平成4)年、特急「つばめ」が、ホテルがイメージされた内装やビュフェを持つ新型の787系電車で運転を開始。こちらがJR九州の新しい看板列車になり、特急「有明」は、福岡と熊本を結ぶ列車に立場を変えました。

名門特急「有明」引退へ 九州の顔としても走った半世紀 実は初代「スーパー」特急

「ARIAKE」の文字が入っていた時台の787系(2007年、恵 知仁撮影)。

 2011(平成23)年にも、大きな転機が訪れます。九州新幹線の博多~鹿児島中央間が全線開業し、特急「有明」は従来の都市間輸送メインではなく、通勤通学特急的な色彩が強くなりました。運転区間は博多~長洲・熊本に短縮され、15往復あった運転本数も3.5往復に激減してしまいます。

 縮小は以後も続き、2018(平成30)年3月から現在の大牟田発博多行き1本のみの運転に。そして2021年3月、走り続けた特急「有明」はひとまず終着駅に到着することになりました。JR九州によると、コロナ前(2019年11月)と比べ、2020年11月は利用状況が20%減少しているとのこと(鳥栖~博多間)。

 なお特急「有明」の代わりにJR九州は、大牟田~鳥栖間の快速を運行。鳥栖駅で長崎本線からの博多行きの特急「かもめ」102号に対面接続するとしています。

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