羽田空港へ延びる京急と東京モノレール。利用割合は3対2という状況で、京急が値下げを実施したため運賃にも開きがあります。

ただ、選ぶポイントは運賃や、居住地からの利便性だけではないようです。

運賃・アクセス性の広さも京急に軍配?

 山手線から羽田空港への鉄道アクセスは、品川駅から京急(京浜急行)、浜松町駅から東京モノレールの2路線が担っています。国土交通省の資料によると、2017年度の時点で、その利用割合は京急が3に対し、東京モノレールが2です。

 加えて、京急は2019年10月に空港線の値下げ(加算運賃を最大120円引き下げ)を実施したため、京急の品川~羽田空港間は292円になりました。東京モノレールの浜松町~羽田空港間492円と、200円もの差が生じています。

 しかしながら、運賃だけが路線を選ぶ理由ではないようです。大きなポイントとしては、居住地からのアクセス性が挙げられますが、それぞれどう選ばれているのか、ユーザーに聞いてみました。

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京急と東京モノレールの車両(画像:photolibrary)。

京急

京急の利用が多い背景には、アクセス性の広さが挙げられます。都営浅草線・京成線などとの相互直通運転により、東京の北東部や千葉方面からも乗り換えなしで直通しているほか、空港から横浜方面にも直通列車が走っています。ちなみに速さの面では、品川~羽田空港(国際線ターミナル)間はエアポート快特で11分。東京モノレールの「空港快速」とほぼ遜色ないといえるでしょう。

 そのため、東京モノレールと競合するのは、山手線からの乗り換え客といえます。たとえば池袋からの場合、浜松町と品川まではどちらも30分ほどですが、西武池袋線の沿線に住む40代男性は、池袋で乗り換え、山手線の内回りで品川へ出て京急を利用するといいます。

 これが新宿や渋谷からとなれば、距離的にも浜松町より品川の方が近くなります。京王線沿線の30代男性も同様のルートをとるといい、このように山手線の西側に乗り入れる私鉄沿線から京急を利用するというパターンが多いと考えられます。

 また、東急田園都市線の沿線に住む30代男性からは、「モノレールは高いイメージがあり、自宅からでなくても京急を利用する」という声も聞かれました。

東京モノレールはどんな人が利用するのか

 東京モノレールは、他路線と直通はしていないものの、浜松町~羽田空港間ノンストップの「空港快速」が日中は12分間隔、空港まで途中3駅に停車する「区間快速」も12分間隔と、その頻発ぶりで京急に対抗しています。

「自分はもっぱらモノレールですね」と話すのは、自宅の最寄りが京浜東北線の王子駅という30代男性です。なぜなら、浜松町には京浜東北線で日中に運行されている快速が停まるため利用しやすいのだとか。山手線の北側や、総武線各駅停車など東側から乗り入れる路線のユーザーにも「東京モノレール派」が想定されます。

 一方、東京の西部、中央線沿線が実家だという20代女性も、「新宿から山手線に乗り換えて京急」ではなく、中央線で東京駅まで出て、そこから山手線に乗り換えて浜松町からモノレールを利用するとのこと。これは、中央線に並行する私鉄沿線に住む人とは異なるかもしれません。

 別の観点から「東京モノレールを使っていた」と答えた人もいます。

実家が千葉県山武市だという20代男性は、高速バスで浜松町に出られるから、ということでした。千葉県内は各地から高速バスが東京へ発着しており、その主要ターミナルのひとつが浜松町バスターミナルだったのですが、同ターミナルは建て替えのため2020年9月に営業を終了。男性は「自分としてはとても痛い出来事」と話します。

羽田に行くなら京急・東京モノレールどっち? 利用割合は3対2 選ぶポイントは

2020年9月に営業を終了した浜松町バスターミナル(乗りものニュース編集部撮影)。

 今回、運賃や居住地に関係なく、東京モノレールを利用するという声も少なからず聞かれました。そのひとつは、「景色がいいから」ということ。ビルとビルの隙間をすり抜け、首都高や運河を眼下に望み、飛行機が並ぶ駐機場や整備場を車窓に映していく東京モノレールは、確かにその景色も見どころのひとつといえるかもしれません。

 もうひとつ、「子どものときにモノレールを使っていたから」と答えたのは北海道出身の30代男性です。京急空港線が空港ターミナルに乗り入れたのは1998(平成10)年のことで、それまでは長年にわたり、東京モノレールが空港アクセスの多くを担っていました。男性は、親や祖父母にも「羽田空港=東京モノレール」というイメージがあるといいます。

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