中京圏屈指の渋滞ポイント、名神と東海北陸道が接続する一宮JCT直下に、東海北陸道の新しいICが開通します。しかし恩恵を受けるのは一部のクルマのみ。
中京圏屈指の渋滞ポイントとして知られる愛知県一宮市の「一宮JCT」。名神高速と東海北陸道の接続点であり、特に休日などは、東海北陸道から名神の上り線(名古屋方面)へ流入するクルマで混雑しますが、この状況がやや変化するかもしれません。
2021年3月28日(日)、東海北陸道に新しく一宮稲沢北ICが開通します。同ICには東海北陸道のIC番号「1」が付与され、一宮JCT直下の西尾張中央道(一般道)に接続。一宮JCTから名神へ向かうクルマを横目に、一般道へ降りられるようになります。
新たに開通する一宮稲沢北ICの概要(画像:NEXCO中日本)。
とはいえ、同ICは名神とはつながっていないうえ、西尾張中央道も岐阜と名古屋のメインルートとは言えず、恩恵を受けるのは一部と考えられます。インターネット上では、一宮JCT問題に対し、このJCT周辺の改良ではない解決策を望む声も多く見られます。
それは「名古屋高速を東海北陸道の一宮木曽川ICまで延ばしてほしい」との声です。これについては、愛知県が同ルート実現に向け、着々と計画を進めています。
愛知県は2021年2月から3月にかけ、「(仮称)名岐道路(一宮~一宮木曽川)」の都市計画決定に向け、基本方針(案)および環境影響評価方法書を県庁で公開し、これに対する意見募集を3月26日(金)まで実施しています。
「名岐道路(一宮~一宮木曽川)」の計画は、名古屋と岐阜を結ぶ国道22号「名岐道路」の高架上に形成されている自動車専用部(現在の区間は名古屋高速16号一宮線)を、一宮東出口から北、東海北陸道の一宮木曽川ICまで7.5km、延伸させるものです。
いわば、東海北陸道の一宮JCT~一宮木曽川IC間の東側に別ルートを整備し、名古屋方面から東海北陸道へのルートを二重化させるものといえます。
現状、東海北陸道の岐阜方面から高速道路で名古屋都心部へ向かう場合、「一宮JCT~(名神)~一宮IC~名古屋高速」という、線形で見ればS字を描くルートで「遠回りして名神を少しだけ通らなければならない」状態です。対して、新ルートが計画されている名岐道路は、岐阜と名古屋をまっすぐ結んでいます。

「名岐道路(一宮~一宮木曽川)」の概要(画像:愛知県)。
このため、愛知県の都市計画課によると一宮JCTの渋滞や迂回を避けたい思いから、東海北陸道を名岐道路が接続する一宮木曽川ICで下り、名古屋高速を目指すクルマも多く、これにより名岐道路も渋滞が慢性化しているといいます。その影響からか、この区間は死傷事故発生率が愛知県平均の約1.8倍に上っており、とりわけ追突事故が74%を占めるそうです。自動車専用部の延伸は、これら課題の解消につながるとされています。
ただし、実現までは「まだまだかかります」(愛知県都市計画課)とのこと。今後、都市計画を決定し、事業化と歩を進めたのち建設着手となりますが、完成時期の見通しは示せない状況だそうです。
また、この区間を名古屋高速道路公社が整備するか、NEXCOが整備するかも、まだ決まってはいません。