グラハンの仕事は革命前夜といった状態なのかもしれません。
佐賀、中部で経験を重ね 車両は新開発空港でよく見かける車両が、手荷物・貨物を収容した荷車やコンテナなどをけん引する車両「トーイングトラクター」です。
羽田空港で実施されたANAと豊田自動織機「自動運転トーイングトラクター」の実証実験の様子(2021年3月30日、乗りものニュース編集部撮影)。
両社はこれまで、佐賀空港や中部空港で、自動運転トーイングトラクターの実用化に向けた、実証実験ならびに試験運用を重ねてきました。今回の羽田空港での実証実験では、豊田自動織機が新開発した自動運転トーイングトラクターを導入。新型車は、取り扱い貨物が多く、走行条件の厳しい羽田空港での運用に対応するため「高度な自己位置推定性能と走行性能を兼ね備えた」車両となっているといいます。
「航空業界は労働集約型の産業で、航空機の地上支援を行うグランドハンドリングの仕事は、機種によりますが1機あたり10人ほどが作業にあたり、この何十年もこのスタイルは、変わりませんでした。コロナ禍となる2019年まで、この職種の採用には困難を極めていたこともあります。安定的なオペレーション実現のためには、空港のイノベーションが不可欠です」(ANA 要海昌樹オペレーションサポートセンター長兼空港センター長)。
なお、同氏によると「羽田空港は最大のネットワークをもつ『本丸』と考えている」そうです。
実証実験の様子を実際に取材してきたなお、30日(日)に羽田空港での実証実験の様子が報道陣に公開され、ここでは、貨物コンテナを6つけん引し、「レベル3(システムが全ての運転タスクを実施するが、システムの介入要求等に対して運転者による適切な対応が必要)」相当の自動運転で、同空港内を走りました。運転手は自動走行時、ハンドルから手を離している状態でしたが、直線はもちろんのこと、交差点での左折や一時停止などもこなしています。

羽田空港で実施されたANAと豊田自動織機「自動運転トーイングトラクター」の実証実験の様子(2021年3月30日、乗りものニュース編集部撮影)。
この自動運転の制御には、車両に搭載したカメラで撮影した路面画像と事前に作成した路面画像マップデータをマッチングすることで、車両の位置・姿勢情報を取得する技術「路面パターンマッチング」のほか、対象物にレーザー光を照射し、その反射光を測定することで対象物までの距離を正確に測定できるセンサー「3D LiDAR」といった技術が盛り込まれているそうです。
なお、今回のテストで大規模空港における運用面での課題を抽出し、2021年10月からは、実運航便での試験運用へ移る予定。2025年には、無人搬送の実現を目指します。