コロナ禍1年間の厳しい数字が明らかになりました。

厳しい状況にあるバス・タクシー

公共交通「あって当たり前ではない」運輸局が利用呼びかけ ワク...の画像はこちら >>

貸切バスなどが依然、厳しい状況に置かれている(中島洋平撮影)。

 国土交通省 関東運輸局が2021年3月30日(火)に、「コロナ禍1年バス・タクシーは依然として長いトンネルの中にいます」と題したプレスリリースを発表。関東の交通事業者における1年間の状況と、最近の動きを明らかにしました。

 関東地方のバス・タクシー事業者における直近12か月(2020年3月~2021年2月)輸送人員・運輸は、前年同期と比べて路線バスで72.6%(輸送人員)、貸切バスで21.4%(運送収入)、タクシーで56.8%(輸送人員)だったそうです。

 2020年6月以降は持ち直しつつあったものの、2度目の緊急事態宣言を受けて再び下落傾向が顕著に。とりわけ貸切バスは下落幅が大きいといいます。

 また関東管内ではこの1年で事業者の倒産も相次ぎ、貸切バスで99件、法人タクシーで21件に上っているとのこと(2020年2月以降、2021年3月19日現在)。

 関東運輸局はバス・タクシーについて、いわゆるエッセンシャルサービスとして、新型コロナウイルス禍においても最低限の業務を継続し社会を支えてきたとしつつ、こうした廃業の傾向に「一層拍車がかかることが懸念されます」としています。

ワクチン接種の利用に活路

 こうしたなか関東運輸局管内では、新型コロナのワクチン接種会場までの移動手段として、あるいは、接種会場や接種後の待機場所等として、バス・タクシーを有効に活用する取り組みを紹介しています。

 自治体がバスをチャーターして接種会場までの足とする、あるいはバスそのものを移動式の接種会場として高齢者の利便性を高める、高齢者の接種会場までのタクシー利用に一定の助成を行う、といったものです。今後、こうした取組みがより広範囲に普及していくことが期待されるといいます。

公共交通「あって当たり前ではない」運輸局が利用呼びかけ ワクチン接種の利用に活路

関東管内におけるバス・タクシー輸送人員(貸切バスは運送収入)の月別推移。2019年を100とした場合(画像:関東運輸局)。

 関東運輸局は次のメッセージを掲げ、国民に改めて公共交通の利用を呼び掛けています。

「バス・タクシーなどの公共交通機関は、“あって当たり前”と思われがちですが、実はそうではありません。お客様にご利用いただくことで初めて成立するものです」

「公共交通機関が直面する現下の窮状を打破するため、国や地方公共団体等も補助等の支援を実施していますが、厳しい財政事情の中、それには当然ながら限界があります。将来にわたって国民一人ひとりの生き生きとした社会生活を確保するためには、地域の貴重な公共交通機関を社会全体で支えていくことが大変重要です」

 関東運輸局は、こういう時期だからこそ、マスクの着用などの必要な感染予防対策を講じたうえで、「ぜひお気軽にバス・タクシーをご利用いただきますよう、お願い申し上げます」と結んでいます。

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