パトカーの側面に「○○県警」などの所属名以外にエンブレムなどを描く都道府県警察も多くなっていますが、その先駆けといえそうなのが青森県警。ドアに大きく描いたマークの始まりと由来について探りました。

県のシンボル 歴史あるご当地マーク

 日本のパトカーというと、基本的には白黒のツートンカラーをまとい、フロントグリルには金色に輝く警察章(旭日章)を配置、屋根の上には赤色灯を備えるというのが全国共通といえる基本的なスタイルです。

パトカーのドアに全国唯一のビッグマーク 「らしさ」貫く青森の...の画像はこちら >>

青森県警のパトカー(柘植優介撮影)。

 ただ、一方で統一されていないのが、警察名を含むボディ側面のデザインです。県警によっては「POLICE」の英語表記がない車体もまだまだ存在します。また大阪や京都、兵庫や岡山などは「○○府警」「○○県警」なのに対して、北海道や多くの県では「北海道警察」「○○県警察」と略さず“察”の字まで記すといった違いもあります。

 加えて東京を管轄する警視庁では、当たり前のように入っている盾のような形をした金色の警察エンブレムも、それ以外の道府県警察では描いていないところの方が多いです。

 このように、パトカーの側面デザインは意外と都道府県ごとにバラバラなのですが、そのなかで唯一、ドアに動物をデザインしたシンボルマークを大きく描いているのが青森県警察のパトカーです。

 青森のパトカーに描かれるのはハクチョウのマーク。なぜ他に類を見ないデザインを用いているのか青森県警に聞いてみました。

青森県警でハクチョウを使わない組織も

 青森県警察本部の警務部警務課によると、そもそもハクチョウは青森県の県鳥であり、警察活動に対する理解を高めてもらうために描くようになったといいます。

 始まったのは1975(昭和50)年で、すでに半世紀近く続いている歴史あるマークとのこと。具体的には、警察官ならびにパトカーへの親近感の醸成、活動に対する理解の浸透を目的としたそうで、いまでもそれは続けられているそうです。

パトカーのドアに全国唯一のビッグマーク 「らしさ」貫く青森の警察車両 県警に聞いた

青森県警のパトカー。ハクチョウのマークは左右で反転しており、両側ともくちばしが前を向くように描かれている(柘植優介撮影)。

 ちなみに、警察官が着用する制服の右上腕部に付いているエンブレムワッペン、これにも青森県警ではハクチョウが用いられています。

 ほかにも、青森県警のシンボルマスコットである「アピーくん」「レピーちゃん」、これもデザインのモチーフはハクチョウだそう。しかも、このふたりが被るヘルメットの正面部分にも青森県警のパトカーに描かれたハクチョウとほぼ同じデザインのマークが入っています。

 一方、青森県警の機動隊マークには、青森県の形を図案化した意匠に、伝統芸能である「ねぶた」の武者をイラスト化したものを組み合わせたデザインが用いられています。

 むしろ県外の人にとっては、ねぶたの武者の方が「青森らしさ」という点ではわかりやすいかもしれません。

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