2021年10月下旬、工事のため2日間にわたって池袋~大崎間で全ての内回り列車が運休したJR山手線。このとき、目白駅が「陸の孤島」だと話題になりました。

山手線以外にアクセス手段はなかったのでしょうか。

山手線「単独駅」のひとつ目白駅

 2021年10月23日(土)と翌24日(日)、JR山手線は渋谷駅での工事のため、池袋~大崎間で全ての内回り列車が運休しました。都心を環状運転する同線は、多くの区間で並行路線があるほか、多数の路線と交わっていますが、たった2駅だけ、山手線「単独駅」があります。今回の運休区間にある目白と新大久保です。

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目白駅(乗りものニュース編集部撮影)。

 山手線が運休した日、SNSでは「目白は陸の孤島だ」といった声が多く聞かれたほか、報道では「目白へのアクセス手段がないため、駅近くのレストランではキャンセルが出た」といった様子も紹介されました。はたして当日、目白は本当に“陸の孤島”だったのでしょうか。

 目白駅周辺の地図を見ると、西武池袋線と新宿線が駅の南北でそれぞれ山手線から西に折れています。地下鉄や都電もやや離れた場所に位置し、一見“陸の孤島”感があります。しかし裏を返せば、これだけの路線が利用できる可能性があるともいえます。もっとも、山手線も減便していたとはいえ外回り列車は走っていました。

 北隣の池袋駅をターミナルにする西武池袋線沿線から目白へ行くことを考えます。

終点の1つ手前の駅は椎名町。ここから目白へ最短距離で行くと、住宅街を経由して約1.3kmです。道は直線とはいかないまでも、迷わなければ約15分で到達できます。

 同じように、駅の南側を走る西武新宿線からアクセスする場合は、高田馬場の1つ隣、下落合駅からが考えられます。ただ同駅は神田川沿いの低地にあるため、目白を目指すと上り坂。カーブも多く距離は1.8kmほどあるため、椎名町駅を起点にするよりも難儀しそうです。

 西武新宿線を利用するなら高田馬場駅まで出て山手線沿いに歩いた方が、距離も1kmあまりと短く、また道も直線に近くなります。

目白通りを路線バスが頻繁に走っている

 目白駅の東側には、学習院大学の敷地を隔てて東京メトロ副都心線と都電荒川線が通っています。駅(停留場)もあり、それぞれ雑司が谷と鬼子母神前です。

 目白へは、大通りである目白通りを経由して約900m。ほぼ迷わず約10分で到達できます。特に副都心線は池袋や渋谷といったターミナル駅を経由するので、いつもはこれらの駅から山手線に乗り換えるところを副都心線にすれば、近くまでアクセスが可能です。

 鉄道以外の手段ももちろんあります。

目白は本当に「陸の孤島」だったのか JR山手線が止まった日

目白通りを行く都バス「白61系統」。写真はホテル椿山荘東京行き(中島洋平撮影)。

 目白駅前を通る目白通りには、都バス「白61系統」や「池65系統」などが走っています。停留所名は「目白駅」。白61系統は練馬駅~新宿駅間を、牛込柳町を経由して「コの字」を描くように通ります。運行本数は比較的多く、土休日でも例えば14時台は毎時10本あります。

 池65系統は、主に練馬車庫~池袋駅東口間を結びます。落合南長崎駅~目白警察署間は白61系統と並行。土休日でも日中時間帯は毎時5~6本運行されており、決して少なくはありません。

 バスは雑司が谷駅と鬼子母神前停留場の至近も通ります。最寄りの停留所名は「目白警察署」。

次がすぐ目白駅停留所なので、乗車するかは迷うかもしれません。

 このように目白駅周辺にも複数の代替交通はあるものの、「乗り換え路線」として認識されていないことが、“陸の孤島”との声につながったのかもしれません。ちなみに新大久保についてはあまり“陸の孤島”との声は聞かれませんでした。駅から300mほどの場所にJR総武線の大久保駅があるほか、西武新宿駅からも徒歩圏内です。

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