東京の離島・神津島は、ジェット船で3時間45分ですが、夜行の客船も運航されており、これが生活物資も運んでいます。12時間の船旅、以前は甲板もにぎやかなものでしたが、コロナ禍を経てどう変わったでしょうか。
東京の離島、神津島へは、東海汽船により東京の竹芝桟橋から高速ジェット船と、夜行の客船の双方が運航されています。大島、利島、新島、式根島に寄港し神津島へ向かう航路で、高速ジェット船ならば大島まで最短1時間45分、神津島まででも3時間45分で着きます。
対して夜行の客船は、東京から神津島まで実に12時間かかります。2021年11月末、筆者(安藤昌季:乗りものライター)はこの客船で神津島を目指しました。
東海汽船の大型客船「さるびあ丸」(2021年11月、安藤昌季撮影)。
客船は竹芝を22時に出航し、伊豆諸島で最初の寄港地である大島には翌朝5時、神津島には10時に着きます。現在は2020年6月に就役した新造船「さるびあ丸(3代目)」で運航されています。
コロナ以前、夏の客船は甲板で酒盛りの光景も見られたものです。コロナを経て、その光景は過去のものになったのでしょうか。
出港後、筆者は急ぎ最上甲板へと上がりました。理由は、直後にレインボーブリッジの下を通過するからです。
22時3分、52mの高さにあるレインボーブリッジの橋げたが、頭上を通り過ぎました。
下り便は金・土のみ横浜港へ 直前にも「大きな橋」「さるびあ丸」は個室やレストランを構える大型客船です。筆者はレストランに入り、神津島酒造の地酒「盛若」の水割りで乾杯。料理もご飯ものからパスタやラーメン、揚げ餃子、鳥の唐揚げといったおつまみメニューまで揃っていました。
乗船したのは土曜日でしたが、レストランの利用客は滞在時に20人ほど。空席も見られました。東海汽船によると「コロナで閉店したり、営業時間を短縮したりしたのが響き、レストランの利用客は戻りきっていない」とのことでした。

横浜ベイブリッジ(2021年11月、安藤昌季撮影)。
なお、この大島・神津島航路では、金曜日と土曜日発のみ横浜港に立ち寄ります。
23時20分、「さるびあ丸」は横浜大桟橋に横付けしました。見どころは曳船がいないのに、乗船用タラップの位置に乗船口を付ける操船。クルーによると「新型船のさるびあ丸(3代目)では、船首のバウスラスターが2基となり、操船が楽になりました」とのこと。バウスラスターとは、船首に横向きに設けられたプロペラで、舵と組み合わせて、船を横向きに移動できます。
筆者は横浜港を出たあともしばらく甲板にいましたが、乗船日が快晴だったからか、外洋に出ても揺れは小さなものでした。やはり、「新造船は揺れも軽減しています」(東海汽船)とのことです。
本格的な船旅を「お試し」できる!?いよいよ夜も更けてきました。就寝しようと予約した特等船室へ向かいます。
船室は奥行4.97m、幅2.96mの個室。
筆者は各島への到着時に、最上甲板に出ました。離島接岸時は、コンテナの積み下ろしが見られます。夜行の客船は、各島への生活物資の運搬も担っているのです。

特等船室(2021年11月、安藤昌季撮影)。
そんな「さるびあ丸」ですが、離島行きでなくとも、気軽に乗船できる区間があります。それは先ほど少し触れた、週末の竹芝~横浜港間です(上り・下りで横浜寄港日に違いあり)。この区間だけでも、1510円(2等)~4240円(特等)で乗船できます。期間限定で1000円となる時期もあるようです。
下りの場合は前出の通り、竹芝22時出港ですが、土・日曜日の上りは、18時10分に横浜出港、19時45分に竹芝到着です。
「さるびあ丸」が発着する竹芝桟橋は、JR山手線の浜松町駅(東京都港区)から徒歩8分、都営地下鉄大門駅(同)から徒歩10分、ゆりかもめ竹芝駅(同)から徒歩1分の立地。都心と直結しており、国内ではほかに例を見ないほど抜群の利便性です。