「この前は良かった」…クレーマーが言いがちなセリフ!
40代以上が70%を占める航空・鉄道・バス・タクシー・観光業など、おもに交通運輸や観光産業で働く約60万人が加盟する労働組合「交運労協」は、カスタマーハラスメント(カスハラ)の悪質クレームに関するアンケート結果を発表しました。回答数は2万908人での各公共交通機関や物流、観光産業の現場で働くスタッフより集計したとのことです。
離陸する旅客機(乗りものニュース編集部撮影)。
業界通じてカスハラ被害の経験をもつ回答者は46.6%。暴言や同じ内容を繰り替すクレーム、威嚇・脅迫などが印象に残っているとのことです。カスハラ加害者の傾向は、男性が86.4%。また40代以上が70%を占めたといいます。
なお、業界通じて「直近2年以内にカスハラは増加していると感じる」と回答した人は57.1%。うち、増加の実感が高かった産業は「航空」とのことです。同業界で働く人からは、次のような声が挙がっています。
・お客様からの盗撮や、呼ばれる際に臀部や腰を触られることが多々あります。CA(客室乗務員)の同僚との会話の中で、同じ経験をしている者が10名近くいました。
・航空業界は接客をしているのが若い女性が多いこともあり下に見られやすいのか、クレームを強く言われることが非常に多いです。特に50代~60代の男性の威圧的で理不尽なクレームが多く、それが非常に苦痛になっています。
航空業界従事者のカスハラを訴える声はまだあります。
・「この前は良かった」「今までそんなこと聞いたことない」など、威圧的に「こっちは客」という態度をする人が多くいます」
・新型コロナウイルス予防に関する取り組みに対してのトラブルが多いです。マスク着用協力、隣席や周りに十分な空席の確保を希望される、お鞄のお預けの協力、お鞄をご自身で運んでもらう、改札機でご自身で紙をお取りいただくなど。コロナがうつる!と言われ距離を取られたり、対面や接触を極度に嫌うお客様もいらっしゃいます。
また、航空業界では会社側の対応に改善を求める声も聞かれます。
・現場のスタッフでは対応に限界があり、報告書を出しても、会社が当該客になにか対応するわけでもないため、同じような事象が起きても現場はなにも変わっていない。
・会社として対策を講じることもなく、泣き寝入りしている状態。
・カスタマーハラスメントに対して諸外国のような法の整備、搭乗拒否、警察通報などを積極的にすべきだと思う。日本はカスタマーが優先される事に問題があるので、社員を守る制度を早急に作るべきであり、カスタマーにもカスタマーハラスメントに対して罰則がある事をもっと認識させるべきだと思う。
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これらの結果を踏まえ、交運労協は次のように締めくくります。
「消費者によるカスタマーハラスメント(カスハラ)が社会問題として認識され、2020年6月施行『改正労働施策総合推進法』指針で、初めて国として『顧客等からの著しい迷惑行為に関し行うことが望ましい取組』が示された一方、本調査結果から、交通・運輸・観光産業を支える現場の『キーワーカ―』に対する理不尽なハラスメント実態が浮き彫りになりました」