「ムーンライトながら」が2021年に廃止されたあと、東京から西日本方面へは、普通列車のみで1日でどこまでいけるのでしょうか。廃止前後で比較しました。

最後の長距離夜行普通列車

 東京駅と大垣駅(岐阜県大垣市)を結ぶ臨時夜行快速列車「ムーンライトながら」(以下、「ながら」)が、ことし2021年1月に廃止されました。

「ながら」廃止 18きっぷで東京から西へ「一日で行ける極限」...の画像はこちら >>

2021年1月に運転終了が発表された「ムーンライトながら」(画像:PIXTA)。

「ながら」下り列車は東京駅を23時台に出発。大垣駅に6時前に到着します。特急料金のいらない普通列車であるため、指定席券を購入すれば乗り放題きっぷ「青春18きっぷ」で乗車できます。普段は列車の走っていない夜間にも長距離移動ができることから、18きっぷを最大限活用できるとあって、人気を博していました。

 その「ながら」が廃止になったことで、東京~大垣間410kmは日中に地域輸送の列車を乗り継いで行かなければならなくなりました。その影響で、東京から普通列車で1日で行ける最西端も変わりました。もともとどこまで行けて、今はどこまでしか行けなくなったのでしょうか。

「ながら」を利用した場合(2020年3月時点の土休日ダイヤ)

 東京発が前日の23時10分、大垣着が5時45分。そこから東海道線・山陽本線を乗り継ぎ、九州上陸が18時28分(門司着)。さらに先へ最終列車まで乗ると、宮崎方面へは佐伯、熊本方面へは八代、長崎方面へは佐世保まで到達可能です。

なお長崎駅へは到達できず、途中の肥前浜までです。

 また、岡山から四国地方へ向かうと、高知方面へは高知に19時4分着、その日のうちに須崎まで到達します。愛媛方面へは松山に17時30分着、その日のうちに宇和島まで行けました。高松には11時49分着、そのまま徳島を経て牟岐線の海部駅へ夕方に到達します。さらに山陰方面へは、京都から山陰本線を経由しても、岡山から伯備線経由でも、山口県の東萩まで到達できました。

「ながら」廃止後(2021年3月時点のダイヤ)

 そして現在の状況です。東京駅発5時20分の東海道線始発列車で西へ行くと、1日で到達できるのは新山口。九州には行けません。しかし、実は4時41分発の京浜東北線大船行き(田端始発)があり、これを利用して品川5時10分発の東海道線に乗り継ぐと、小倉着0時5分でギリギリなんとか九州に到達するのです。この列車に乗ること自体が大変ではありますが……。

 この品川発を利用すると、山陰方面では米子まで、四国地方では松山、牟岐(徳島県南部)まで到達できます。ただ、高知方面へは、徳島・高知県境にある大歩危(おおぼけ)駅へ19時48分に到着し、そこで終電を迎えてしまいます。

とはいえ、その後特急列車は4本も発車するので、高知市内へは2500円程度の追加出費により十分到達可能です。

 ちなみに、18きっぷユーザーの間で「お約束」だったことがあります。「ながら」が東京駅を出発するのは23時台なので、ここで18きっぷを使うと、わずか1時間乗っただけで日付が変わって、1日分を使い切ってしまいます。そのため大半の人は、日付が変わってから最初に停車する小田原駅までは通常のきっぷを購入し、小田原発車後に18きっぷを使用開始していました。

 西の果てまで行けなくなったとはいえ、小倉、松山、米子など、旅の拠点へはそれぞれまだ18きっぷで一日で到達できます。あるいは別途、夜行バスを利用すれば、東京を深夜に出発した翌朝に西日本から旅を出発することも可能になります。

※一部修正しました(12月25日13時43分)。

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