東武線 竹ノ塚駅が完全に高架化され、懸案だった駅近くの大踏切が廃止されました。いままで必ず一時停止していたクルマも止まらなくなりましたが、新たな課題も浮上しているようです。

「踏切解消!!」に湧く足立区竹の塚

 地域の懸案だった「開かずの大踏切」が解消されました。

 2022年3月19日(土)から20日未明にかけ、東武スカイツリーライン竹ノ塚駅(東京都足立区)周辺の高架切替工事が行われ、20日始発から竹ノ塚駅の高架ホームが営業を開始しました。

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高架化された竹ノ塚駅。地上ホームもそのまま残る(乗りものニュース編集部撮影)。

 同駅周辺の鉄道高架化工事は約10年をかけて行われてきました。駅周辺には、「待った『なし』へ 平成24年鉄道高架化工事スタート」と書かれたポスターの横に、「ついに達成! 踏切のないまち竹の塚」というポスターが掲出されるなど、地域の喜びもひとしおのようです。

 その解消された「踏切」として、多くの人が駅南側の赤山街道を横断していた「伊勢崎線第37号踏切」をイメージしたことでしょう(解消された踏切はもう1本ある)。そもそも駅の高架化が進んだのも、この踏切を横断中の歩行者が電車にはねられ4人が死傷した、2005(平成17)年の痛ましい事故を受けてのことでした。

 東武線の本線部と、車庫への連絡線の計5本を横断する「開かずの踏切」による慢性的な交通渋滞を緩和し、安全性を向上、さらに鉄道と交差する都市計画道路と駅前広場なども整備する――こうした目的をもって竹ノ塚駅の高架化は進められてきました。他の路線の鉄道連続立体交差と違い、東京都ではなく区(足立区)を事業主体としています。

「とまるな」の文字も消された踏切

 高架切り替えの翌日、解消された「大踏切」を訪れると、ややスピードを落とすドライバーも見られたものの、基本的にクルマはスイスイと流れていました。

 踏切内の歩道にペイントされていた「とまるな」の文字も覆い隠されたほか、すぐ横には使われなくなった地上ホームがそのまま。

歩行者のなかには、足を止め、それらを感慨深げに眺めている人も見られました。

 ただ、旧踏切の前後で「危ない!」と思った場面も見られました。

「クルマは止まる」と思い込んでいるかのような歩行者

 クルマがスイスイ走れるようになった旧踏切、そこでは、歩行者の「乱横断」が多々見られました。クルマが通っているのを意識していないかのような、見ていてヒヤヒヤする場面もありました。

 よく見ると近くには、「3月20日(日)に踏切がなくなります。車が止まらなくなるのでご注意ください」「横断歩道のない箇所の横断は危険です。近くの横断歩道をご利用ください」といった注意書きがなされています。

 踏切の直前に赤山街道を渡る横断歩道はありませんが、これまでクルマは必ず一時停止していましたし、「開かず」だったこともあり、道路を渡れるケースも多かったのでしょう。その慣習が残っている人が少なくないのかもしれません。

 足立区の都市建設部にこの点を聞いたところ、クルマが止まらなくなるので危ないということは、以前から警察とも話していたといいます。対策は検討中としたものの、道路の中央に横断を防止するポールなどの支障物を設置することを考えているそうです。

「開かずの踏切」消えたが故の新たな課題も 東武「竹ノ塚」完全高架化後の変化
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踏切内の歩道には消された「とまるな」の文字(乗りものニュース編集部撮影)。

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 ちなみに、前出したとおり高架の竹ノ塚駅の下には、旧地上ホームや線路がほぼそのまま残っており、往時をしのぶことができます。これらは、2022年度に順次撤去し、いったんは更地にするとのこと。

 その空間の利活用も含めた駅周辺のまちづくりについて、3月31日(木)、足立区と東武鉄道に加え、UR都市機構の3社が連携して検討・推進する基本協定が締結されました。協定期間は2025年3月末までとされています。

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