まもなく開通の新東名 伊勢原大山IC~新秦野IC間で、新機軸が特に詰め込まれているのがトンネルです。天井から吊り下がる巨大なジェットファンは、バナナのように曲がった特注品です。

新東名の延伸区間に新機軸もたくさん

 2022年4月16日(土)に新東名高速の伊勢原大山IC~新秦野IC(約13km)が開通します。最新の高速道路であるだけでなく、日本の大動脈となる新東名。延伸区間には新機軸も多く盛り込まれています。

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新規開通区間のトンネル。奥に非常駐車帯とジェットファンが見える(中島洋平撮影)。

 伊勢原大山ICを過ぎると、全長約3900mの高取山トンネル内で伊勢原市から秦野市に入り、さらに約2900mの羽根トンネルを抜けます。

いずれも、火災に備えて天井から水を噴出する水噴霧設備を備えるなど、「トンネル設備としては最上級」と現場見学会で説明がありました。

 新機軸の一つが、「バナナ型ジェットファン」。これも火災を想定した設備です。

 トンネルにはしばしば、巨大なジェットファンが吊り下げられていますが、新東名の高取山トンネル、羽根トンネルのそれは、円筒形ではなく、バナナのように約10度の角度をつけた特注品とのこと。これが、高取山トンネルで5か所、羽根トンネルで3か所設けられた非常駐車帯に設置されています。

「ジェットファンは従来、車線の真上に取り付けられていますが、その圧迫感を解消する目的もあり、今回のトンネルではやや左側、非常駐車帯の上に取り付けました。

これにより、ファンの点検時も車線規制を行わずに済みます」

 NEXCO中日本の担当者がこう説明してくれました。バナナのように曲げた形は、そのズラした位置で機能を満足させるためだそう。

 従来、ジェットファンはトンネル内を換気する役目もありますが、このトンネルでは火災時に煙を外に排出するためだけに設置しているとか。作動するのは火災時のみだそうです。

文字が浮かび上がるトンネル

 もう一つのトンネルにおける新機軸が、「プロジェクションマッピング」です。といっても、トンネル内を装飾するわけではありません。

天井に文字を投影するのです。

 たとえば羽根トンネルでは、3つのうち中間の非常駐車帯にて、「出口1.5km」との文字が大きく天井に点滅する形で投影されます。非常時には、停止などの行動を促す文字も投影されるとか。

 目的は、「漫然運転の防止」です。近年は長いトンネルが連続する路線が増えており、中部横断道などでは、長いトンネルの中間で青い光の環を内壁に投影する「アクセント照明」が導入されています。それに代えて、今回は具体的な文字を投影することで、案内と漫然運転防止を兼ねているのです。

開通の新東名「伊勢原大山~新秦野」トンネルに注目! 壁に浮かぶ文字 曲げジェットファン
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頭上スッキリ・煙もスッキリ!がコンセプト(中島洋平撮影)。

 また、各非常駐車帯から車線を挟んだ反対側には、非常口が設けられています。内部には通路があり、その先の扉を開けると、反対車線に出られます。非常時の避難路になるだけでなく、連絡通路を「秦野市にある最も大きい消防車が通れるサイズ」で作っており、緊急車両の通り道にもなります。

 トンネル区間以外でも、明かり区間(トンネル以外の区間)では、道路照明に路面のみを照らす「低位置照明」を採用し、周囲への光害を防止したり、橋桁や料金所の施設の随所を丹沢の自然環境に合わせてグリーンで塗ったりするなど、随所で環境への配慮と施設のスリム化を図っています。