21世紀が始まってからすでに20年以上が経ち、パトカーの世界にも最新の220系クラウンが登場するなか、いまだに現役で使用される20世紀生まれのパトカーも。いまでは数少なくなった2ドアクーペタイプを集めました。

絶滅危惧種 直列6気筒エンジン搭載の「神」パトカー

 警察が使用するパトカーは酷使されることが多く、よほどのことがない限り10年以上使われ続けることは稀。しかし、なかには20年近く現役のパトカーも存在します。

 そうしたパトカーの代表例が、2ドアタイプの交通取り締まり用です。「クラウン」に代表される一般的な4ドアセダンではなく、当時、高性能を誇ったスーパーパトカーたちが挙げられます。ミニカーなどにもなった人気車も少なくありませんが、今回はそのなかでも、20世紀生まれのご長寿パトカーを紹介します。

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いまも現役、20世紀生まれの2ドアパトカーたち(柘植優介、欅まつや撮影)。

日産「スカイラインGT-R」

 日産「スカイライン」のなかでもいまだに根強い人気を保っているのが、「スカイラインGT-R」の最終型BNR34型、通称R34と呼ばれるタイプです。直列6気筒エンジンを積み、なおかつテールランプ(尾灯)のレンズ形状も丸目4灯である最後の「スカイラインGT-R」です。

「スカイライン」のパトカーは全国で用いられましたが、「スカイラインR34 GT-R」のパトカーを導入したのは埼玉県警だけです。運用数は白黒のカラーリングのものが4台、覆面パトカー仕様のものが1台の計5台ありました。

 現在は初期導入車から用途廃止が始まっていますが、いまだに複数が現役。とくにボンネット上面にエアスクープ(空気穴)がなく、ウインカーがオレンジ色というマイナーチェンジ前のモデルが残っています。

R34のマイナーチェンジは2000(平成12)年10月に実施されたので、それ以前の納入車であり、まぎれもない20世紀生まれのスーパーパトカーです。

トミカにもなった至高の和製スーパーパトカー

 日産「スカイラインR34 GT-R」よりも古いタイプの日本製スポーツカーもパトカーになっています。

ホンダ「NSX」

 ホンダ「NSX」をパトカーに使っているのは栃木県警です。開閉式のリトラクタブルヘッドライトを装備した初代がいまだ活躍しています。

「NSX」は1990(平成2)年に登場しましたが、最初のタイプであるNA1型は排気量3000ccのV型6気筒エンジンを積んだタイプで、7年後の1997(平成9)年にマイナーチェンジし、NA2型では排気量が3200ccにアップしています。

 栃木県警は、NA1型とNA2型の両方とも保有しましたが、現役なのは1999(平成11)年に納入されたNA2型の方です。

 そのスタイリングと知名度から、各地で実施されるPRイベントなどで注目を集めることが多く、ナンバープレートをあえて「・110」の希望ナンバーにして、使用され続けています。

奇跡の現役? 20世紀生まれのスーパーパトカーたち 直6! ロータリー! ツインターボ!
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栃木県警に配備されているホンダNSXパトカー(柘植優介撮影)。

マツダ「RX-7」

 ロータリーエンジン搭載のパトカーは、マツダの「コスモスポーツ」を皮切りにいくつか存在しましたが、現在も同社の「RX-7」が新潟県警などで使用されています。

「RX-7」は、初代の「サバンナRX-7」が1978(昭和53)年に登場すると1985(昭和60)年10月に2代目へモデルチェンジし、1991(平成3)年10月登場の3代目「RX-7」で「サバンナ」の名が「アンフィニ」になり、最終的に「マツダRX-7」になりました。

 この3代目が「RX-7」シリーズの最新型であり、最も長く生産されたモデルになりましたが、そのなかの1998年から1999年にかけて7台がパトカーとして採用されています。

 のちに警視庁が「RX-8」をパトカーとして採用しましたが、こちらのほうが先に用途廃止になっており、車歴として古い「RX-7」が新潟県警や埼玉県警などで現役使用されています。

V6ツインターボ搭載のマッスルパトカー

 広報部門に移管され、PR活動専用に用いられている車両もあります。

三菱「GTO」

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愛知県警が運用する三菱GTO(柘植優介撮影)。

「GTO」は1990(平成2年)10月に初代モデルの販売が開始された、当時の三菱自動車におけるフラッグシップスポーツカーです。2ドアながら車両重量は約1.7t、フルタイム4WD(4輪駆動)の足回りに排気量3000ccのV型6気筒ツインターボを組み合わせており、当時としては大柄な“和製マッスルクーペ”でした。

 総数としては少なかったものの、国費で定期的に調達されたため、北海道警から、警視庁、大阪府警、広島県警など広い範囲に配備されています。すでに最後の採用から20年以上が経過しているため、ほとんどの都道府県警察で用途廃止になっていますが、愛知県警ではいまだに現役です。

 愛知の車体は1996(平成8)年度式で、2020年10月までは県警高速隊(高速道路交通警察隊)に配備されていましたが、その後、本庁広報課に移管され、現在は各地の交通安全イベントを始めとした県警の広報活動などに使用されています。いまだに、その圧倒的な存在感は最新のパトカーと並んでも遜色ないようで、どこへ行っても注目を集めるそうです。