国内初のLNG燃料フェリーとなる新造船「さんふらわあ くれない」の船内が初公開。さんふらわあ史上最大の船は、旅客一人あたりの占有面積も大きく向上。

様々な世代に向けた設備もさることながら、トイレも、スゴイです。

ついに大阪南港に現る「さんふらわあ くれない」

 フェリーさんふらわあが運航する大阪~別府航路の新造船「さんふらわあ くれない」が2023年1月13日に就航します。それに先立つ11日に報道陣や来賓へ船内が公開されました。

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さんふらわあ くれない。大阪南港にて(乗りものニュース編集部撮影)。

「さんふらわあ くれない」は、温室効果ガス排出量を従来よりも大幅に削減できる国内初のLNG(液化天然ガス)フェリーです。

大阪南港のターミナルに停泊中の本船からは、船尾の大きな2つのLNGタンクが目立ちます。船の全長は199.9mと瀬戸内海を夜間に航行する船舶としては可能な限り大きくしたといい、大阪南港で並んで停泊する鹿児島(志布志)行きの「さんふらわあ さつま」(2018年就航)よりも大きくなりました。

 別府航路の現行船「さんふらわあ あいぼり/こばると」より全長で40m以上大きくなったものの、定員はたった6名増の716名にとどまっています。大きくした分、旅客一人あたりの専有面積は6.9平方メートルから10.9平方メートルに拡大。パブリックスペースなどもかなり大きくなっています。もうひとつ広がったのが、トラックの積載台数です。

13m換算で92台から137台に増えました。

 フェリーさんふらわあの赤坂光次郎社長は、LNG燃料という環境対応、また、いわゆる物流の「2024年問題」(トラックドライバーの残業規制)に起因して加速するであろうモーダルシフトへの対応、そして旅客満足の3つに対応する新造船だと話しました。

 さて、船内に入ると、天井にプロジェクションマッピングを投影した3層吹き抜けのアトリウムに目を奪われます。内装には木材が多用されており、別府の伝統工芸である竹細工をイメージした意匠や模様が随所に見られます。レストランは席数が現行の1.5倍、大浴場の面積は2倍に拡張されました。

 もうひとつ、大きくなったのがトイレです。

男性トイレもさることながら、女性トイレの豪華さは公共交通であることを忘れるほど。便所とパウダールーム、更衣室などの個室が壁沿いにズラリ、その中央には、鏡面埋め込みのライトを備えた円形の鏡のある洗面台が並び、もはやテレビで見る芸能人の楽屋さながらです。フェリーさんふらわあによると、女性社員の意見を取り入れながら、当初よりも規模を拡張して設えたのだそうです。

客室には“違い棚”まで

 客室は全部で20種類以上のバリエーションがあるといいます。

 上級の「スイート」と「デラックス」には、今回の目玉である「コネクティングルーム」が設けられています。これは、和洋2つの客室をつなぐことができるというもので、複数世代での家族利用を想定。

4~7名を収容できます。和室にも様々な和の意匠が施されており、壁際に“違い棚”が設えられた部屋もあります。

 また、ペットと利用できる「ウィズペットルーム」は7室あり、ペット用のケージなども大きくなっているといいます。客室やケージのエリアからすぐ甲板の「ドッグラン」に出られます。

 ちなみに今回は、「スマートチェックイン」機能を搭載しており、チェックインで利用した自分のスマートフォンを、そのまま部屋の鍵として利用できます。

 今回は全て個室もしくはプライベートベッド(ベッドが壁で仕切られたタイプ)化され、従来船にあった雑魚寝の大部屋は廃止されましたが、その代替となりそうなのが「グループ和室」です。

一部屋3~4名で、畳にマットレスを並べて寝る形です。ただ、同一グループごとに部屋を割り振るといい、見知らぬ人と相部屋になることはないといいます。

国内初LNGフェリー「さんふらわあ くれない」船内公開 ホテル凌ぐ? 豪華船内 トイレもすごい!
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3層吹き抜けのアトリウム(乗りものニュース編集部撮影)。

 多様な客室タイプの狙いとして、赤坂社長は、ファミリー層だけでなく「修学旅行」を挙げました。いま、船を活用した修学旅行は消滅しかかっているといいますが、「修学旅行での利用は、将来の潜在需要になり得ます。実際、むかし修学旅行で乗った、とおっしゃる方がかなり多いのです」とのこと。

「さんふらわあ くれない」は前出の通り1月13日、大阪発の便でデビューします。また、2番船の「さんふらわあ むらさき」も、今回のお披露目の場で、4月14日就航と発表されました。