毎年2月から4月初旬くらいまでは、オホーツク海で流氷観光の遊覧船が運行されます。 氷の上を船で航行する遊覧船は、なぜ氷に阻まれて立往生しないのでしょう。
2023年2月10日、北海道の網走市は流氷接岸初日を発表しました。例年より6日程度遅い漂着だったそうですが、これから4月初旬くらいまでは、オホーツク海で流氷観光の遊覧船が運行されます。
流氷を砕きながら航行する「ガリンコ号II」と「ガリンコ号III IMERU」(画像:紋別市)。
氷の上を船で航行するこうした遊覧船はなぜ氷に阻まれて立往生しないのでしょう。実は「砕氷船」という氷が浮いている海上を航行するのに適した船だからです。
砕氷船はその名の通り、水面の氷を割りながら進む船のことで元々は北極海や南極海など、氷に覆われた海を航行するために19世紀後半頃から作られ始めました。
特徴としては氷に乗り上げて割るのに適した船首になっており、幅広な中央船体、氷の圧力を下方へ逃がすための船底、そして、氷を押し切る強力なエンジンを持っています。
大型船になると、エンジンで発電し動かしたモーターで航行する船が主流です。これは、砕氷船の操船方法のひとつである、助走をつけて分厚い氷へ突入して割る「ラミング」をするために、前後進の切り替えが容易な点と、モーターの方が低速時でのトルクが強いことが理由です。
また、紋別市のオホーツク・ガリンコタワーが運航している「ガリンコ号II」と「ガリンコ号III IMERU」は砕氷船なかでも特殊で、「アルキメディアン・スクリュー」と呼ばれる螺旋型のドリルを船体前部に装備し、それを回転させ氷に乗り上げ、船体重量を加えて氷を割ることで流氷域の航行を行っています。
日本では民間のほかに海上保安庁が「そうや」「てしお」の2隻、海上自衛隊が砕氷艦「しらせ(2代目)」を保有しています。日本の公的機関が保有する砕氷船はこの3隻のみですが、冬場に港が氷る国では、砕氷船は遊覧船などの民間のものより探査船や巡視船、軍艦であることの方が多いようです。

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