一般市民に親近感を持ってもらうべく、自衛隊は様々なグッズを作って配ります。近年ではオリジナルキャラクターを多数そろえ、PR活動に積極活用するのも当たり前に。
春、それは全国各地にある自衛隊の教育隊が新入隊員を迎える季節です。ちなみに、海上自衛隊では春と秋の年2回、新入隊員を受け入れており、それぞれ「春っ子」「秋っ子」と呼ばれます。
自衛隊神奈川地方協力本部のオリジナルキャラ。中央が「はまにゃん」、その右の迷彩服姿が「タマ」。ちなみに「はまにゃん」の左に立つ緑色の防火服姿のキャラは川崎市消防局の「太助」(画像:自衛隊神奈川地方協力本部)。
日本の防衛を担う頼もしい若者たちを、筆者(たいらさおり:漫画家/デザイナー)はひとりの国民として全力で応援しますが、残念なことに自衛隊の人員不足は慢性化しており、募集窓口のひとつである地本(自衛隊地方協力本部)も、あの手この手で広報活動を行い、自衛隊員の魅力を知ってもらおうと日夜「奮闘」しています。
そのような広報活動で欠かせないのが、いわゆる「ノベルティグッズ」。民間企業のような広報グッズは防衛省・自衛隊でも数多く作られており、各地で行われるイベントなどに行くと、もらえるケースが多々あります。
実は、こういったノベルティグッズ、横須賀などではイベントのない平日の日中などでももらえるケースがあります。実際、娘を連れて市内を散歩しているときに、広報活動中の広報官からパンフレットと一緒にグッズをもらいました。
グッズは作る部署によっても差があり、たとえば地本であればゆるキャラなどがあしらわれているほか、子供が好きなキラキラシールやコレクター心をくすぐるトレーディングカード、大人も使えるクリアファイルなど、どの世代へもアプローチできる抜け目ないラインナップになっています。
娘は、小さい頃にもらったシールを今も大事にしている一方、最近ではボールペンなどの実用品を愛用するようになってきました。それを見た海上自衛官である夫やこさん。何を思ったか「パパが持っている自衛隊グッズをあげようか」と、我が子に広報官ばりの“勧誘の手”を広げます。なんというリクルート魂。
しかし、差し出されたのは「防衛省・海上自衛隊」「防衛省共済組合」と書かれただけのボールペン。そう、自衛隊は広報用の華やかなグッズを作る一方で、隊員向けグッズになると唐突に色気をなくすのです。
私から見たら、内部でしか流通しない、このぶっきらぼうなデザインの方がポイント高く、逆にこよなく愛しているのですが、子供からすると、やはりキャラクターや乗りものがあしらわれたグッズの方に心ときめくよう。広報グッズの奥の深さを思い知った出来事でした。

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