遊園地「よみうりランド」と京王相模原線の駅方面を結ぶ「ランド坂」が新道に付け替えられて約1年半、旧道が通っていた谷が、完全に埋められました。周辺の温泉施設も生まれ変わるため閉鎖が決まり、都県境の風景が一変しつつあります。
「谷が…なくなっている…!」
東京都稲城市と川崎市にまたがる遊園地「よみうりランド」、その北側にあった谷が、2023年3月現在、完全に埋められました。ここでは大規模な道路の付け替えが行われましたが、それから1年半ほどのあいだに周囲の光景が一変しています。
埋められたランド坂。2023年3月(乗りものニュース編集部撮影)。
道路の付け替えが行われたのは、京王よみうりランド駅(稲城市)から南へ、遊園地に通じる「よみうりランド通り」です。低い谷筋から急坂とヘアピンカーブを経て、遊園地のある丘の上へと一気に駆け上がるようなルートで、地元では「ランド坂」と呼ばれ、かつては走り屋も集まるような場所でした。
2021年9月、このランド坂の麓に坑口が設けられた「稲城よみうりランド坂トンネル」経由の新ルートが開通しました。ただトンネルも急勾配で、かつ麓からループを描くような線形のため、ランド坂の上までは旧ルートよりも800mほど長くなっています。
トンネルを抜けた先にあるのは土の山だけで、いかにも造成中であるかのような風景が広がっています。これは1年半を経てもあまり変わっていません。一方、旧道であるランド坂は、この付け替えから埋め立てが進み、かつての風景が消えました。
この埋め立ては、「南山」と呼ばれる一帯の山林における土地区画整理事業の一環です。
そうしたなか2023年3月、「丘の湯」が2024年1月での閉館を発表。訪れてみると、閉館までのカウントダウンボードなどが設置されていました。
ここを含めた周辺の開発構想の詳細も明らかになってきています。新ルートの区画整理事業地は「読売ジャイアンツの街」になるのです。
新ルートのループのど真ん中に「球場」 しかも水族館つき!?2023年1月25日、読売新聞と読売巨人軍、よみうりランドの3社が、遊園地の隣接エリアに計画している「TOKYO GIANTS TOWN」(東京ジャイアンツタウン)の詳細を発表しました。この東京ジャイアンツタウンこそが、ランド坂新ルートの区画整理事業地における将来の姿です。
トンネルと区画整理事業地内の道路からなるループ線の真ん中には、ジャイアンツの練習に活用される「新GIANTS球場」が設けられます。これは国内初となる「水族館一体型の球場」だそう。レフトスタンドの後方に、よみうりランドが手がける水中回廊を備えた本格的な水族館が併設され、外野席からコンコースでつながるといいます。
このほか、区画整理事業地には公園、スポーツ関連・飲食施設、駐車場、バスロータリーなどが設けられます。

埋められる前のランド坂。2021年9月(乗りものニュース編集部撮影)。
また、閉館する「丘の湯」に代わる温泉施設も、よみうりランド北側に隣接するフラワーパーク(植物園)「HANA-BIYORI」の敷地内に新設される予定。「丘の湯」の跡地には、隣接する「丘の湯プラザ」内の中華レストラン「天安」が移転します。
今後、2024年1月に「丘の湯」閉館、3月に「HANA-BIYORI」内の温泉施設開業、8月に「天安」移転開業、2023年3月に「新GIANTS球場」開業と、周辺は慌ただしく変化していく見込み。水族館もあわせた球場のグランドオープンは2026年度中の見通しだそうです。