まもなく紅葉シーズンを迎える高尾山では、麓から中腹までを2つの乗り物が連絡しています。ひとつはケーブルカー、もうひとつはオープン型のリフトです。
東京都八王子市の高尾山(599m)は、都内から気軽に電車で来て登れることから、登山者数は年間300万人に上り、世界一ともいわれます。麓から登山もできますが、中腹地点まで2つの乗りもので連絡しているのも嬉しいところで、ペットを連れた登山者も多く見られます。
高尾山のケーブルカー(乗りものニュース編集部撮影)。
その2つの乗りものが、高尾登山電鉄の「ケーブルカー」と「リフト」です。現地ではどちらに乗るか迷うかもしれません。実はどちらも乗りごたえは満点です。
●ケーブルカー
京王線の高尾山口駅から登山者の行列について歩くこと300m弱、ケーブルカーの清滝駅が見えてきます。そのすぐ横には、高尾山の1号登山路の起点があり、乗りものを使わずに登山する人も多くいますが、ケーブルカーとリフトは、1号路のなかでも最も勾配のきつい区間をショートカットしてくれます。
ケーブルカーは約1km、片道6分ほどで、標高472mの高尾山駅まで上ります。中間にある車両交換所付近までは勾配も比較的緩やかなのですが、その先は壁のように立ちはだかる山肌を上っていきます。
この終盤部分は、最急勾配31度18分、鉄道のパーミルに直すと608パーミルという鉄道では「日本一の急勾配」です。
ケーブルカーの運行時間は季節によって異なりますが、始発は8時から15分間隔。日没近くまで運行し、夏季(といっても10月まで)に高尾山駅近くのビアガーデン「高尾山ビアマウント」が営業する際は21時15分まで延長運転します。
リフトは「長い」 たっぷり楽しめる空中散歩●リフト
リフトはケーブルカーよりもあと、1964年に開業したケーブルカーの補助的な交通機関です。スキー場で見られる2人乗りオープン型の「チェアリフト」で、乗り方はスキー場のそれと全く同じです。
路線距離は872mで、12分をかけて運行します。これはスキー場以外の観光型リフトでは長く、シートベルトなどもないため、「もぞもぞして落ちたらどうしよう……」というようなスリルを感じるかもしれません。なお、上下ルートとも、終盤で写真撮影を行っており、リフトを下りてから撮影写真を有料で購入することができます(任意)。
ふもとのリフトの乗り場は清滝駅の裏手にある「山麓駅」で、乗り場の前に急な階段を上る必要があります。標高462mの位置にある「山上駅」は、ケーブルカーの高尾山駅とは別で、やや低い位置にあります。すなわちケーブルカーの方が距離はかせげますが、リフトはどんどん来るので比較的スムーズに乗れることが多いでしょう。

高尾山のリフト山上駅(乗りものニュース編集部撮影)。
営業時間は9時から16時30分(冬季は16時)とケーブルカーよりも短いです。また、ペット連れは乗れません。ペットと一緒ならばケーブルカーを利用することになります。
どちらの乗り物も大人片道490円、往復950円です。往復券はどちらに乗ってもいいので、行きと帰りで使い分けることもできます。