車両滞留は防いだ! でも……。

早めに通行止めしてヨカッタ…え、解除まだ?

 首都高速道路は2024年2月20日、今月4~7日に首都圏で発生した大雪の対応を踏まえた課題と対応策をまとめて公表しました。

今般の大雪の対応をめぐっては、通行止め解除が遅れたことから、斉藤鉄夫国土交通大臣が対応の検証と改善を指示していました。

雪に弱すぎ? 首都高「最大215km・53h通行止め」の顛末...の画像はこちら >>

首都高における除雪作業の様子(画像:首都高速道路)。

 今般の大雪では、国土交通省をはじめ道路各社が事前に出控えなどを呼びかけ、首都圏で雪が降り始める前の5日11時30分から、首都高は順次通行止めに。早めの通行止めを行うことにより、これまでの大雪でしばしば発生していた大規模な車両滞留を防げたことは、斉藤国交相も評価しました。

 ただ、翌6日に雪が止み、他の高速道路の通行止めは順次解除されても、首都高では長く通行止めが続きました。

 6日の時点で、「7日朝に通行止め解除」の見込みを発表しましたが、一部の路線ではその後も通行止めが続き、最終的に7日の16時30分、全て解除となっています。

特に、東名や中央道と接続する3号渋谷線、4号新宿線は、雪が止んでから作業を始め、解除までに最大38時間を要しました。通行止めのあいだは、一般道も大渋滞が発生しています。

 早めの通行止めは車両滞留の予防において奏功したものの、新たな課題が突き付けられた形です。なぜ通行止め解除が大幅にずれ込んだのでしょうか。

総延長の7割通行止め 現場と本部も混乱?

 首都高は高架橋が75%を占め、地熱が伝わらないため雪や氷が溶けにくいという構造的な特徴があります。路肩も狭く、ほとんどが都市部にあることから、取り除いた雪はトラックに積んで、いちいち捨てに行かなければなりません。

このため、従来から通行止め解除には時間がかかる傾向があります。

 にしても、解除見込みがずれ込んだ今回の対応について首都高速道路は「総延長の約7割(約215km)に及ぶ広範囲な通行止めに対し、除排雪体制が不足した」「不足する部隊量や応援が必要な区間等を把握した上での計画的な応援要請ができなかった」「現場の状況と投入した除排雪資機材のミスマッチ等により、作業効率の低下が生じた」「雪の降り止みが予測より早まり、それに合わせた除雪作業の着手ができない路線があった」などとまとめています。

 首都高速道路は今回の対応を踏まえ、除雪体制を見直し。新たに除排雪作業班を10班増やし計184班とし、狭い路肩や湿った雪に対応する「小型融雪氷装置」「小型除雪機」などを導入するほか、各作業班からの情報を集約する「進捗管理専任者」を新設するといいます。

 進捗管理専任者の新設は、「通行止め路線が拡大した結果、情報集約が困難となり、作業進捗管理と適正な応援要請が困難となり通行止め解除の見通しが後ろ倒しになった」反省を踏まえてのこと。現場を把握する力と本部・現場の連携を強化するとしています。