国内の空港のなかには、かつて別の場所にターミナルビルがあったものの、空港そのものの移転や新ターミナルの建設などで役目を終えた施設が存在します。そのなかには、別の施設として異色の転身を遂げたものも存在します。

旧花巻空港ビルは「文化交流館」に

 国内の空港のなかには、かつて別の場所にターミナルビルがあったものの、空港そのものの移転や新ターミナルの建設などで役目を終えた施設が存在します。これらの旧ターミナルは取り壊しとなってしまうことも多いですが、そのなかには、別の施設として異色の転身を遂げたものも存在します。

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徳島空港の旧ターミナルビル(乗りものニュース編集部撮影)。

 岩手県にある花巻空港は2009年に現在のターミナルビルが新設され、これにともない、旧ターミナルは役目を終えました。

 しかし旧ターミナルは花巻市の文化交流館として活用されており、市の観光協会・森林組合などが館内に入居しています。館内は一部エリアこそリニューアルされているものの、たとえばかつて到着機の旅客が預けていた荷物を返却する「バゲージクレーム」だったエリアと一般エリアがガラス越しで仕切られたまま、別のコーナーになっているなど、レイアウトや内装をはじめ多くの部分で“そのまま”感が残っています。

 徳島空港では2010年に現ターミナルの運用を開始。その後、空港施設としての役割を終えた旧ターミナルは2014年に新たな役割を与えられます。県の「運転免許センター」です。

 それまで徳島市内にあった免許センターは、老朽化が進んでいたほか、狭く、耐震性にも問題があったそうです。そのため、徳島空港の旧ターミナルへ移設されました。

 免許センターとなった旧ターミナルは、駐機場だった部分が広大な駐車場となっています。

しかし、ビルの外観はまさに”地方空港”。館内もキレイにリニューアルされており、一般エリアと航空便利用者のみが入れる「制限エリア」との仕切りも無くなっている反面、階段や2階の出発フロアの広告の位置など、空港時代そのままの場所もあります。

 ここまでは公共の施設として再利用が図られている模様ですが、もっと斬新な「旧空港ビルの使い方」が存在します。

「旧空港でお酒作ります」などの驚愕転身

 沖縄本島から東、350kmに位置する南大東空港。現空港は1997年に供用開始していますが、それ以前は別の場所に空港がありました。旧空港のターミナルビルは取り壊されず、2004年には「ラム酒工場」へ転身を遂げています。

 ここを運営するのは、グレイスラム社。施設内はラム酒などが置かれているなど酒造メーカーらしい側面があるものの、入口に「搭乗旅客待合室」と書かれたドアやDHC-6型機の座席表、かつての南西航空(現・日本トランスオーシャン航空)や琉球エアコミューターの看板などがそのまま掲げられ、かつての空港を想起させるものが随所に残されていました。

県の免許センター=「空港でした」!? 役目を終えた「旧空港ビル」驚きの転身例 大人がムフフな“工場”にまで!
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旧南大東空港。いまだ名称板は掲げられたまま(乗りものニュース編集部撮影)。

 このほか、中部空港開港以前にこの地域の空の玄関としての役割を果たしていた「名古屋空港」こと県営名古屋飛行場の旧国際線ターミナルは、ショッピングモール「エアポートウォーク名古屋」として2008年にオープンしました。

「エアポートウォーク名古屋」は、空港ではない施設に大変身を遂げたものの、インフォメーションカウンターは空港の案内板を再利用するなど、元空港らしさを存分に残しているのも特徴です。