埼玉県が主催する八潮市道路陥没事故の住民説明会に同席した大山 忍市長が、事故をきっかけに開設したふるさと納税サイトの趣旨が誤解して伝わっている恐れがあると、SNSなどの批判に反論しました。
自治体から「ふるさと納税を使って」という話ではない埼玉県八潮市の県道松戸草加線中央一丁目交差点内で起きた大規模な道路陥没について、八潮市はふるさと納税で被災自治体の災害支援に寄付できる納税サイトを、「ふるさとチョイス災害支援」「ふるなび災害支援」を通じて2025年2月13日と18日にそれぞれ開設しました。
八潮市の道路陥没現場(2月1日)。1月28日の発生から1か月が経過しようとしている(中島みなみ撮影)
八潮市は被災状況について次のように説明。25日現在、両サイトで約900万円の支援が寄せられています。
「国、県をはじめとする関係機関と協力しながら、要救助者の救出はもちろんのこと、一日も早い復旧に努め、避難されている方々をはじめ影響を受けている市民の安全・安心な生活を取り戻すべく、総力を挙げて取り組んでまいります。皆様からの温かいご支援をよろしくお願いいたします」
災害支援サイトでのクラウドファンディングは、災害時に被災自治体の復旧・復興のための寄付金を募る仕組みです。しかし今回の陥没は、地域住民や事業所が公共料金を支払い、インフラ整備のための財源が確保されている中で起きた事故だけに、寄付金を募るのは筋違いではないか、という批判がネット上にあふれました。寄付金の使途に制限はありません。
これについて、大山 忍市長が22日の住民説明会後に行われた記者会見で質問に答える形で、こう説明しました。
「誤解のないように申し上げますが、私どもの方からふるさと納税を使ってという話ではなく、皆さんからご寄付をしたいという申し出があったので、そういったシステムの方が寄附をいただける。させていただくんであればしやすいという話をしてるんであって、私どもの方からふるさと納税を使ってという話ではないんです」
災害ではなく人災ではないか、という批判を前提にしてか、災害救助法が適用されたことがきっかけになったことも強調しながら、さらに、こう繰り返しました。
「誤解のないように申し上げますけど、巷ではいろんな噂が出てまして、市がとんでもないことをやっているという話をされますけど、私たちはみなさまの善意に答えるためにそうした制度がありますよ、ということを申し上げたところであります」
陥没現場となった交差点は埼玉県が管理する県道下にあります。
善意をつなぐためには、寄附金を何にどう使って安全・安心につなげるのかという説明が、地方自治体のインフラ事業への信頼を高めることになるのではないでしょうか。