百人一首でも有名な場所にあります。

ホームにあるベンチが明らかに傾いている!?

 京都市の御陵(みささぎ)駅と滋賀県大津市のびわ湖浜大津駅を結ぶ京阪京津線には、「日本一急勾配の駅」という称号を持つ大谷駅があります。

ホームにあるベンチが一風変わっていて、駅の急勾配を実感することができます。

日本で最も“傾いた”駅とは? ホームに立つと平衡感覚が狂う!...の画像はこちら >>

京阪京津線(画像:写真AC)

 滋賀県大津市にある大谷駅は1912(大正元)年に開業。百人一首の「これやこの 行くも帰るも分かれつつ 知るも知らぬも逢坂の関」で知られた、逢坂越えの途中に設けられました。平安時代、逢坂越えの道は京都を大津を結ぶ幹線道路で、多くの人が行き交かった歴史ある場所です。

 駅はホーム自体が40パーミルもの勾配となっており、明らかにホームが傾いています。本来、停留場の勾配は10パーミル以下にしなければならないところ、この駅は、車両を4両化する際にホームを延長する場所がなかったため特例で認められ、日本一急勾配にある駅(山岳鉄道を除く)となりました。標高も京阪線で最も高くなっています。

 ホームに設置されているベンチは座る部分こそ水平ですが、その代わり脚の長さが左右で大きく異なっています。ホームにしばらく立っていると、平衡感覚が狂いそうになるほどです。大谷駅には日中時間帯は毎時3本が停車しますが、列車はすぐに発車していきます。

 京阪電鉄は、2021年にロサンゼルス・エンゼルス在籍中の大谷翔平選手がMVPを受賞した際、その偉業を祝福すると共に、公式Xで大谷駅のベンチ画像を公開。急勾配に設置されたホームが「右肩上がり」に見えることにちなんで、更なる活躍を祈念するメッセージを贈っています。

 なお、大谷駅を発車した大津方面行き電車は、最大61‰という日本でも有数の急勾配で一気に標高を下げ、大津市街の路面電車区間へ入っていきます。

「山岳路線」である京津線ですが、京都市営地下鉄東西線へも乗り入れており、ひとつの列車の車窓で地下鉄・登山鉄道・路面電車の3つの顔を持つ、日本でも特異な路線となっています。

 この路線を走る800系電車は、地下鉄、登山鉄道、路面電車として必要な機能を全て備えています。先頭車がクロスシート、中間車がロングシートとなっており、景色が楽しめるクロスシートに座れば、目まぐるしく変化する車窓をより楽しむことができます。

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