毎年お盆の渋滞情報では“定番”だった、東名高速の「大和トンネルを先頭に●km」というフレーズ。ところが、近年は大和トンネル起点での渋滞情報をあまり聞かれなくなりました。

なぜなのでしょうか。

さまざまな混雑の要因が集まる「大和トンネル」

 2025年も、8月のお盆期間は各地で激しい渋滞が見込まれています。クルマでの帰省やレジャーにおいて、通行する道路の「渋滞情報チェック」は、ドライバーにとって欠かせません。

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東名大和トンネル。2021年に付加車線が追加されたが…(画像:NEXCO中日本)。

 ところで、首都圏のドライバーの間で“渋滞の名所”として知られていたものの、近年、テレビやカーラジオの渋滞情報でその名を聞かなくなったスポットが存在します。そのひとつが、東名高速道路の「大和トンネル」付近です。

 大和トンネルは、東名高速の横浜町田ICから、綾瀬スマートICの間に位置しています。この区間の周辺は、一般道のキャパシティが軒並み不足しているほか、海老名JCTや厚木ICからの合流など複数の要因も重なって、交通が集中している状態です。そのため、1日の平均交通量は14万台にものぼるといわれています。

 さらに、トンネル付近には「サグ」と呼ばれる、下り坂から上り坂へと緩やかに変わる箇所があります。ただでさえ混雑しているなか、漫然と運転していると勾配の変化に気付けず、知らず知らずのうちに速度が落ちてしまうため、激しい渋滞が発生しやすいポイントとなっているのです。

「付加車線の整備」で対策! しかし…

 こうした状況を改善するため、NEXCO中日本は対策に取り組んでいます。そのひとつが、大和トンネルを含む前後区間に上下とも付加車線を追加し、一部を4車線化する事業。特に上り線については、付加車線はこれまで海老名SAの合流車線から綾瀬スマートIC付近まで設けられていましたが、2021年7月に綾瀬スマートICより約1km先の地点からも付加車線が整備され、大和トンネルの先まで4車線で通行できるようになりました。

“渋滞の名所”が変わった? 「大和トンネル」聞かなくなったワケ 東名屈指の「ボトルネック」実は進化していた!
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大和トンネル付近で実施された渋滞対策の概要(画像:横浜国道事務所)。

 ところが実態として、大和トンネル周辺での渋滞は根本的な解決に至っていません。なぜなのでしょうか。

 その原因は、付加車線が上下とも付近の区間で“いったん途切れて”しまうから。特に上り線では付加車線の新設により、大和トンネル通過時の速度が回復したことがデータで確認された一方、今度は付加車線が途切れ、綾瀬スマートIC付近での通行速度が大きく低下。結果として、この地点が新たなボトルネックとなってしまったのです。

 この付加車線の“空白区間”を埋めるべく、NEXCO中日本は現在、途切れた付加車線を繋げる改修工事を実施しており、2028年度末ごろまでの完成を見込んでいます。現状では、渋滞情報で紹介される代表地点が「大和トンネル付近」から「綾瀬スマートIC付近」へと変わっただけの状態、とも言えるので、付加車線の連続化に期待がかかっています。

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