タイの首都バンコクは、安くて美味しい屋台や街食堂、フードコートなどがあちこちにあり、「食べる楽しみ」を満足させてくれます。ただそんなバンコクでも、こと空の玄関であるスワンナプーム国際空港については「空港の食事は高い」という、世界共通の課題が旅行者を悩ませます。
【知っとくと救われる!?】これがスワンナプーム空港の「激安フードコート」です(写真)
空港内では、街中の食堂なら50~60バーツ(約300円弱)で食べられる「カオパット(タイ風炒飯)」や「パッタイ(タイ風焼きそば)」が、やや具材が豪華になったりはするものの、300バーツ(約1400円)することも珍しくありません。またタイではポピュラーなファストフードである「サブウェイ」も、街中のお店より大幅に高く、こちらもひとり300~400バーツ(約1400~1800円)は必要になります。
しかしそんなスワンナプーム国際空港にも、街中に近い価格でタイの地元料理を食べられるお店があります。それはターミナルビル1Fにあるフードコート「MAGIC Food Point」です。
ここはタイで一般的なフードコートの作りとなっていて、椅子とテーブルが並ぶフロアを囲むように小間割のお店が並びます。お店は揚げ物、炒め物など、それぞれ専門に扱う料理が決まっていますが、麺類などはさらに細かなジャンルに分けられ、複数のお店で提供されています。
値段は、だいたいひと皿70~80バーツ(約350円前後)です。これは街中の食堂に比べれば1~2割ほど高めではあるものの、空港内の食事としては破格の安さです。
なぜここは、空港内なのに安く食事ができるのでしょうか。じつはバンコクの空の玄関が、現在ではLCCを中心に就航する「ドンムアン空港」だった時代、空港ターミナルビル内に空港職員やエアライン関係者向けの格安フードコートが、駐車場ビル内にありました。スワンナプーム国際空港が2006年に開業し、新たな空の玄関となったときも、その流れを受け継ぎ、空港内の一角に同様の目的のフードコートが設けられたと考えられます。
お会計は専用のICカードで行います。
支払いは現金のみですが、たとえば1000バーツなど大きな紙幣しかないときでも、必要な金額を伝えれば、チャージされたICカードとお釣りをもらえます。
英語が苦手でも注文カンタンそれぞれのお店には料理の写真が掲示され、メニュー名がタイ語と英語で書かれています。またメニューには「No.3」など番号も振られているので、英語があまり得意でない人でも、数字だけで注文が可能です。
お店での支払いは、注文と同時にICカードを渡せばOK。お店のスタッフが、ICカードから必要な額を引き落とし、レシートとともに戻してくれます。
また、お店のカウンターには唐辛子、ナンプラー、グラニュー糖などの調味料が用意されているので、好みで加えてからお料理を運びましょう。箸、スプーン、フォークなどの食器類は、店内の一角にまとめて置かれています。
あれ、バーがあるぞ…? 最高じゃないか!そしてここで食事をする際、見逃してはならないのが、フードコート内右奥の目立たないところにある「Magic Bar & Coffee」です。
フードコートで「バミーシーコンムゥトゥンサイカイ」(豚スペアリブ煮込みのせ麺 玉子入り)80バーツと、Magic Bar & Coffeeでビールをオーダー。ゆで置きの麺がやや柔らかかったが、全体としては及第点(植村祐介撮影)
じつはタイには厳格な酒類販売規制があり、一部地域を除き、酒類の販売(レストランなどでの提供)は「11時から14時、17時から24時」のみに制限されています。
しかも価格はチャーンビールの330ml缶で45バーツ(約200円)と、食事同様に格安です。そして購入したビールは、フードコート内で食事と一緒にいただくことができます。
食べ終わったあとの食器は、片付けの専門スタッフが回収してくれるので、そのままテーブルの上に残したままで席を立って大丈夫です。
なおICカードを購入したキャッシャーでは、ICカードに残った残額を現金で払い戻してくれるので、帰るときに忘れずに立ち寄りましょう。
「アクセス良好」「24時間営業」この有難さ!このMAGIC Food Pointの場所は、スワンナプーム国際空港ターミナルビルの1F西側です。飛行機で到着した場合は2Fの到着ロビーから1フロア下がり、タクシー乗り場などがある車寄せに向かって左の方に突き当たるまで、空港ターミナルビル内を進みましょう。
バンコク市街から鉄道のエアポートレールリンク(ARL)で到着した場合は、地下のコンコースから空港ターミナル地下1Fに入り、右手に進んでスロープ状になったエスカレーターを上がったところになります。
営業時間は24時間なので、早朝便で到着して街が動き出すまで時間をつぶす、深夜便に乗るためにARLの終電で来てチェックインがはじまるまで待機するといった使い方にも対応できて、とても便利です。
なおMAGIC Food Pointの利用にあたっては、注意点もあります。まず、空港内で使える荷物用カートを店内に持ち込むことはできません。荷物を載せたまま店の入口手前に放置しているカートも見られますが、盗難などのリスクから、おすすめはできません。
また日本の感覚で、バッグやスマホをテーブルに放置しての”席取り”をすると、置き引きに遭う可能性が高くなります。ふたり以上の旅なら誰かに席確保を任せる、ひとり旅ならお料理をもらってから席を探しましょう。混雑している時間帯でも、空いている席があれば、(とくに空港職員など制服を着て食事している人は)ひとこと声かけするだけで、相席に快く応じてくれるはずです。