首都高速道路が老朽化した路線の「大規模更新」を進めている1号羽田線の「東品川桟橋・鮫洲埋立部」。1.9kmにわたる同区間の「更新下り線」への切り替えが2025年10月29日に実施されます。
【え…!勿体ない!】これが取り壊し予定の「首都高の迂回路」と“道路計画”です(地図/写真)
これにより、開通からまもなく62年となる同区間には、上下線とも、造り替えられた新しい道路(更新線)が完成します。約10年にわたる大規模更新工事が最終段階を迎えていますが、この工事のために建設された本格仕様の「迂回路」は今後、どうなるのでしょうか。
京浜運河に面した陸地の際で、東京モノレールと並行する「東品川桟橋・鮫洲埋立部」の大規模更新工事は、次のようなステップで進められてきました。
まず陸側に「迂回路」を新設し、2017年に上り線を切り替え。その後本線を一部取り壊し、2020年に「更新上り線」を完成させ、暫定的に下り線として運用してきました。さらに残り部分の取り壊しと新設線の工事を進め、ついに今回、「更新下り線」が完成しました。
10月の切り替えにより、上り線は引き続き「迂回路」を使用するものの、下り線については更新後の最終形となります。今後は下り線として運用してきた「更新上り線」の標識などの施設を改築するなどして、上り線として運用する準備が進められます。
これまで8年間、暫定の上り線として使われてきた「迂回路」は、まだ新しい印象の高架道路です。湾岸線から通じる大井JCTのランプも接続していますが、今後、このランプは一時的に通行止めとなり、「更新上り線」への接続に切り替えるための工事が行われます。
これが完了すると「迂回路」はその役目を終えることになります。その後、何かに使われるのか首都高速道路に聞いたところ、「取り壊します」と断言しました。
まだ新しいのに勿体ない……そう思って地元の品川区にも聞いたところ、やはり「跡地の活用は具体に決まっていない」「区民からの要望もない」とのこと。迂回路は取り壊され、更地化される模様です。
「道路計画」あるじゃないか!活用は決まっていないという首都高1号線の「迂回路」ですが、実は都市計画上は、別の道路を通す計画があります。
大田区側、迂回路と本線との切り替え部分を鮫洲運転試験場の裏手から撮影。2017年(乗りものニュース編集部撮影
それは「放射18号線」。都心部から首都高C1都心環状線、1号羽田線の高架下に沿う「海岸通り」に当たります。
海岸通りの愛称そのものは、港区東新橋の昭和通りから、大田区平和島(環七通りの南側)までとされていますが、途中で首都高の高架は京浜運河に張り出す線形となり、その部分は側道がありません。ここが「東品川桟橋・鮫洲埋立部」であり、その側道にあたる路線として「放射18号線」未整備区間の計画があるわけです。
しかし、この区間は現道で十分、代替が可能であるためか、東京都のなかでも「事業の実現性や施工性の観点から検討が必
要」であるとされる「再検討路線」になっています。
完成から8年しか経っていない首都高の「迂回路」ですが、その本体はもちろん、跡地すら活用されずに終わる可能性があります。